読後感想文

友情の起爆力 『愛と差別と友情とLGBTQ+』

これこそが偏見なのかもしれないと薄々反省しつつ、北丸雄二著『愛と差別と友情とLGBTQ+』を手にしたとき、最初に感じたのは「友情」への違和感でした。「愛」や「差別」なら分かる。でも、「友情」はどうなの? そんな違和感です。 ただし、著者にしてみれ…

読初感想文『愛と差別と友情とLGBTQ+』  エイズと社会ウェブ版581  

新聞記者時代のよきライバルであり、同時に友人でもある北丸雄二さんの新著『愛と差別と友情とLGBTQ+』を読み始めています。・・・とはいえ、450ページ近い大著です。しかも、個人的に読書のスピードが遅いという事情もあります。さらに付け加えれば、小さい…

蟹江憲史著『SDGs(持続可能な開発目標)』 読後感想文

新型コロナウイルス感染症COVID-19が世界に広がったことで、最近は国連の『持続可能な開発目標(SDGs)』の重要性と今日性を改めて認識する機会が増えたように思います。 経済のグローバル化が進んだ結果、現在の世界の仕組みが実は、どうもうまく機能しなく…

これは必読『「医薬品特許プール」ができたわけ』

40年近くに及ぶHIV/エイズの流行は世界の様々な仕組みや認識を変えてきました。といいつつおもむろに個人的な話になって恐縮ですが、例えば、性についての考え方は私の場合、激しく変わったと思います。いまなお、心の中にホモフォビアの傾向があるおじさん…

『LGBTヒストリーブック 絶対に諦めなかった人々の100年の闘い』 読後感想文

アメリカでジェローム・ボーレン著『Gay & Lesbian HISTORY FOR KIDS』が刊行されたのは2016年のことだった。副題は『The Century-Long Struggle for LGBT Rights』となっている。この部分を訳者の北丸雄二さんは『絶対に諦めなかった人々の100年の闘い』と…

『世界最強組織のつくり方 ─感染症と闘うグローバルファンドの挑戦』

世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)戦略・投資・効果局長の國井修さんが8月7日、新著を刊行しました。ちくま新書の一冊です。 www.chikumashobo.co.jp さっそく鎌倉駅前の島森書店で購入しました。例によって遅読なもので、少しずつ…

読後感想文『歴史に生きる-国連広報官の軌跡』

冷戦後の多難な時代にニューヨークの国連本部や世界の紛争地で、国連の広報官として活躍された上智大学の植木安弘教授が新著『歴史に生きる-国連広報官の軌跡』を出版された。 https://www.maruzen-publishing.co.jp/item/b303179.html 私は1993年2月から96…

読後感想文 本田徹著『世界の医療の現場から プライマリ・ヘルス・ケアとSDGsの社会を』

シェア=国際保健協力市民の会代表理事の本田徹さんから新著『世界の医療の現場から プライマリ・ヘルス・ケアとSDGsの社会を』を送っていただきました。本田さんはNHKの『プロフェッショナル-仕事の流儀』にも登場した名医なので、ご存知の方も多いでしょ…

♪ 別れの日はきた~ 海街diary 完結

鎌倉で暮らす4姉妹を主人公にした吉田秋生さんの人気コミックス『海街diary』が12月14日発売の第9巻『行ってくる』で完結しました。 前作(第8巻『恋と巡礼』)から1年と8カ月。待ちに待った刊行です。今年の12月はなぜか忙しかったのですが、ようやく一段落…

永野健二著『経営者:日本経済生き残りをかけた闘い』(新潮社) 読後感想文

2016年に出版された『バブル』がそうだったように、永野健二さんの新著にもわずか3文字で内容を直截に表すタイトルがつけられています。多少とも本を出した経験がある者としての感想をいえば、なかなかそこまでは思いきれません。出版社によほど腕っこきの参…

ベイゴマでしたか 『東京の下町』拾遺

吉村昭さんの長編エッセー『東京の下町』の読後感想文続編です。感想にもなりませんが、「え、そうなの」という個人的な驚きを一つ追加します。 当時の子どもたちの遊びを紹介した「其の十二 ベイゴマ・凧その他」に次のような記述がありました。 『ベイゴマ…

吉村昭著『東京の下町』 読後感想文

2006年に亡くなった作家の吉村昭さんは東京の日暮里で生まれ育った。エッセイ『東京の下町』は戦前の日暮里周辺の町の様子を少年時代の記憶とともに描いている。ご自身が書かれているように雑誌の編集者に進められ、自分でも、そんなに書く材料はないだろう…

『感染症医が教える性の話』(岩田健太郎著)  読後感想文

世の中には苦手なものがごまんとあって、苦手じゃないものを探す方が早いくらいだが、ひょっとすると「感染症医」と「性教育」は数多ある苦手品目の双璧といえるかもしれない。そんな私のもとに筑摩書房から一冊の本が送られてきた。 『感染症医が教える性の…

永野健二著『バブル―日本迷走の原点―』(新潮社)  読後感想文

経済記者として40年間、市場経済を見続けてきたという永野健二氏は、自らの著書について「バブルの時代を知らない若い人たちに読んでほしい」と親しい知人に語っていたという。 私は永野氏と同年齢であり、ほぼ同じ期間を新聞記者として過ごしてきた。ただし…

読みながらにしと笑う  『窓の向こうのガーシュイン』

早産だったから小さい体のまま生まれた。体重は出生児の標準の三分の一だった。それでも両親は保育器に入れることを拒んだ。 呼吸はお線香から上る煙のように頼りなく・・・。 赤ちゃんはそのように描写されている。お線香だなんて、まるで死を予言している…

水野達男著『人生の折り返し地点で、僕は少しだけ世界を変えたいと思った。』

長い間、さぼっていたので、ずいぶん久々の読後感想文になりました。 マラリア対策について日本記者クラブで記者会見をお願いしたり、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)関係の国際会議でばったり顔を合わせたりということで、著者の…

祝・電子出版 『神社とお寺はたのしい』

もう5年も前のことですが、鎌倉の神社を訪れると、狛犬の前で志村けんさんの「あいーん」をまねる人が急増するという怪現象が巻き起こりました。幸か不幸か道行く人たちのモノマネの精度が低かったようでマスメディアに取り上げられるほどの社会現象にはなり…