『グラデーションの中の1人』 エイズと社会ウェブ版614

 前回に続き、マダムボンジュール・ジャンジに登場していただきました。連載コラムOne side / Nosideの第61回『グラデーションの中の1人』。現代性教育研究ジャーナルの第134号(2022年5月15日発行)の12ページに掲載されています。
 https://www.jase.faje.or.jp/jigyo/journal/seikyoiku_journal_202205.pdf

 

 

 You Tubeの国連チャンネルのインタビューで、ジャンジさんは自らのセクシュアリティについて、かなり踏み込んで語っています。
 ただし、浅はかな私には、じゃあジャンジさんはLGBTQのどこに当てはまるのといった疑問が残り、メールで尋ねてみました。
 『カテゴライズするならば、私はノンバイナリーです。もしくはクイア(queer)です』というお返事とともに、返信メールにはカテゴリー化の意義を一定程度、認めつつ、なお残る違和感について次のように書かれていた。
 『私はいつも自分を生きてきただけだからです。言葉はいつもあとからやってきました。ドラァグクイーンも、トランスジェンダーも、X ジェンダーも、クイアも、ノンバイナリーも』
 そうか、そうなんだよなあ・・・と思いつつ、愚問を発した自分をかすかに悔いる。
 この「かすかに」というところは、私が何歳になっても成長しない理由なんですが、自分のことはまあ、いいや。コラム、読んでください。
 

PEPFAR責任者にアフリカ出身のジョン・ヌケンガソン博士 米上院が承認 エイズと社会ウェブ版613

 空席になっていた米国の地球規模エイズ調整官(HIV/エイズ担当大使)にアフリカCDC所長のジョン・ヌケンガソン博士の就任が決まりました。調べてみると、バイデン政権は昨年9月にヌケンガソン博士を候補として発表しているのですが、議会の承認を得られずにいました。

 5月5日に議会上院がこの人事を承認したことから、米国務省が翌6日、『米上院がジョン・ヌケンガソン博士を米国の地球規模エイズ調整官任命を承認』というプレスリリースを発表しています。

www.state.gov

 地球規模エイズ調整官は米国のグローバルヘルス分野の看板政策である『米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)』を統括する極めて重要なポストです。

 そもそもPEPFARは息子さんの方のブッシュ大統領が2003年に提唱し、大統領が替わっても、民主・共和両党が超党派で支えてきた経緯があります。バイデン政権下でも、もうとっくの昔に決まっていたのではないかと私などは思っていました。

 ところが、実際には前任のデボラ・バークス博士が2020年2月28日に新型コロナウイルス対策調整官に転進した後は、トランプ政権下でほぼ1年近く、バイデン政権下でも1年余り空席の状態が続いていたんですね。

 それでも組織として機能しているのだから立派と言えば立派ですが、なんだか・・・という感じも残ります。

 米国務省のプレスリリースによると『ヌケンガソン大使は宣誓式を臨み、国務省の地球規模エイズ調整官として米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)を統括するとともに、世界エイズ結核マラリア対策基金(グローバルファンド)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)を通じた米国の多国間HIV/エイズ政策の主導、管理、監督にあたることになる』ということなので、ひょっとすると情報に疎い私がこんなことを書いているときには、新調整官体制がもう始動しているのかもしれません。

 UNAIDSは5月6日に「世界にとっても朗報です」という承認歓迎のプレス声明を発表しました。実は私が新調整官就任のニュースを知ったのも、このプレス声明をUNAIDSの公式サイトで見たからです。

 私家版で日本語仮訳を作成したので、下の方に載せておきます。よかったらご覧ください。そこにはこう紹介されています。

『ヌケンガソン博士は30年以上にわたって世界のHIV対策と取り組んできたウイルス学者であり、国際的にはアフリカ疾病管理予防センター(アフリカCDC)の創設ディレクター、そして最近のCOVID-19研究でも高い評価を受けています』

 付け焼刃で仕入れた別の情報も加えておくと、ヌケンガソン博士はカメルーン生まれで、アフリカ出身者としては初めてPEPFARを統括することになります。米国のCDCなどで長いキャリアを経た後、2017年に創設されたアフリカCDCの初代所長に就任し、現在に至っています。コロナのパンデミックはアフリカCDCにとっても大きな試練となりました。エイズとコロナの二重のパンデミックに直面する中で、ヌケンガソン所長の手腕は高く評価されてきましたが、立場を変えてエイズ調整官としてはどのような存在感を発揮できるのか。期待したいですね。以下、UNAIDSプレス声明の日本語仮訳です。

  ◇

世界のエイズ終結に向け、米国がジョン・ヌケンガソン氏を責任者に任命することを心から歓迎 UNAIDSプレス声明

https://www.unaids.org/en/resources/presscentre/pressreleaseandstatementarchive/2022/may/20220506_Nkengasong_pepfar

 

  

ジュネーブ 2022年5月6日 世界的なHIV/エイズの流行と闘うため、米上院が米国HIV/エイズ担当大使兼調整官としてジョン・ヌケンガソン氏を承認したことをUNAIDSは心から祝福します。米国の地球規模エイズ調整官として、ヌケンガソン博士は米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)を統括することになります。「世界にとっても朗報です。PEPFARの指導者としてをジョン・ヌケンガソンの選任は素晴らしい選択です」とUNAIDSのウィニービャニマ事務局長は語っています。「HIVパンデミックへの備えに関し、彼は世界有数の専門家です。COVID-19パンデミックの中でエイズ終結を目指すうえでも、実践的な経験を備えています。経歴を通して得た彼の大胆な思考、およびそれがもたらすコミットメント(関与)が私たちにはいま必要です。HIVに関する米国の継続的な指導力を支え、UNAIDSとPEPFARが人びとの生命を救うという目的に向けて、博士とともに働けることは本当に名誉なことです」

ヌケンガソン博士は30年以上にわたって世界のHIV対策と取り組んできたウイルス学者であり、国際的にはアフリカ疾病管理予防センター(アフリカCDC)の創設ディレクター、そして最近のCOVID-19研究でも高い評価を受けています。

PEPFARはUNAIDSの重要なパートナーであり、人びとの生命を救うその活動はかつてない成果を上げています。PEPFARとUNAIDSはともに手を携え、世界エイズ戦略を遂行してエイズ終結を加速するために、世界の80か国以上で政府やコミュニティを支援しています。子供と女性・少女、そしてキーポピュレーションの人たちへの支援を含め、HIVに最も深刻な影響を受けている人たちと地域に焦点を当て、協力して活動を進めてきました。

2003年のPEPFAR発足以来、米国政府は議会における超党派の支援を受け、途上国のHIV/エイズ対策にPEPFARを通じ1000億ドルを超える投資を行っています。単一の疾患に対してなされた投資としては他に例のないものです。この米国の投資と努力により、世界で2100万人以上の命が救われ、数千万のHIV感染を防ぐことになり、50か国以上でエイズ終結に向けた対応が加速しています。

 世界はいま、二重のパンデミックに直面しています。ヌケンガソン博士が指摘するように「COVID-19がHIV対策の成果に壊滅的な影響をもたらしていくのを私たちは目の当たりにしてきた。ただし、PEPFARの投資によって構築および強化された医療システムと制度が、COVID-19対策の中心を担っていることもまた目撃している」のです。世界が果敢に行動すればエイズ終結は可能になります。そして、エイズ終結を加速する行動は、あらゆるパンデミックに打ち勝つための世界的な取り組みを強化することにもなるのです。

 

 

UNAIDS warmly welcomes the confirmation of John Nkengasong to lead the United

States global efforts to end AIDS

GENEVA, 06 May 2022—UNAIDS warmly congratulates John Nkengasong on confirmation by the U.S. Senate as Ambassador-at-Large and Coordinator of United States Government Activities to Combat HIV/AIDS Globally. As the new U.S. Global AIDS Coordinator, Dr Nkengasong will lead the United States’ President’s Emergency Plan for AIDS Relief (PEPFAR).

“This is great news for the world. John Nkengasong is an inspired choice to lead PEPFAR,” said Winnie Byanyima, Executive Director of UNAIDS. “He is one of the world’s leading experts on HIV and pandemic preparedness and has practical experience on how to advance efforts to end AIDS amidst the COVID pandemic. We need the kind of bold thinking and commitment that he has brought throughout his career. It will be a true honour to work with him in his new role, supporting continued United States leadership on HIV, and strengthening the life-saving partnership between the UNAIDS Joint Programme and PEPFAR.”

An HIV virologist with more than three decades of experience in the global HIV response, Dr Nkengasong’s work on COVID-19 in his most recent highly acclaimed role as the founding director of the Africa Centres for Disease Control and Prevention has been internationally recognized.

PEPFAR is a critical partner of UNAIDS, with an unprecedented proven track record of global life-saving work. In over 80 countries, PEPFAR and UNAIDS work hand-in-hand providing support to governments and communities to implement the Global AIDS Strategy and accelerate ending AIDS. Together they ensure that efforts are focused on the people and areas most affected by HIV, including supporting children, women and girls, and key populations.

Since its inception in 2003, the US Government, with bipartisan support, has invested over US$100 billion through PEPFAR – the largest commitment by any nation to address a single disease. The United States’ investments and efforts have saved more than 21 million lives, prevented millions of HIV infections, and accelerated progress toward ending AIDS in over 50 countries.

The world is currently confronted with dual global pandemics. As Dr Nkengasong has noted, “We have seen how COVID-19 has affected some progress in our HIV efforts with devastating results, but we have also witnessed how the health systems and institutions built and strengthened by PEPFAR’s investments have been central to the COVID-19 response.” Through bold global action, the end of AIDS is possible, and actions to accelerate ending AIDS will strengthen the world’s efforts to beat all pandemics

速報値の持つ意味は? TOP HAT News 第164号(2022年4月) エイズと社会ウェブ版612

 何回も書いているので、またかと言われそうですね。でもまあ、しつこく・・・TOP-HAT News第164号(2022年4月)の巻頭はエイズ動向委員会の年間速報値をめぐる話題です。2021年分の速報値が2022年3月15日に発表されました。新規HIV感染者・エイズ患者報告の合計は1023件です。報告ベースでは、減少傾向がより顕著になっています。

 ただし、それはあくまで報告ベースの話です。実際の感染も減っているのか、そうではないのか、ということは実は分かりません。

 確定値も報告ベースの動向把握なので、事情は同じことですが、次回の委員会開催時に公表される予定です。8月末ぐらいですね。

 厚労省エイズ動向委員会は、1990年代の前半には確か毎月開催だったと思います。でも月々の報告の増減に一喜一憂するほど、世の中はお人良しではないといいますか、ある時期から隔月開催(年6回)に変わり、21世紀に入ると四半期開催になり、2017年以降は年2回開催になりました。流行の動向を把握するにはこのぐらいの頻度でいいのかなという気もします。

 ただし、年間の報告数が次の年の秋風が吹く頃にならないとまとまらないというのも切ない。本当はそんなことはないのでしょうが、ずいぶん悠長なお役所仕事という印象も受けます。それ以前に速報値の発表が、年明けから3カ月半もたたなければ出てこないというのもなんか変。これで「速報」の名に値するのかと思ってしまうのは、当方がせっかちなせいでしょうか。

 おかげで速報値と確定値の誤差が小さくなるという副次的な効果もあるようですが、そうなると、そもそも時期遅れの速報値は必要なの?という疑問も出てきます。速報値をまずまとめて、それから確定値に取り掛かるといった段取りを改め、せめて半年以内に(つまり、年の前半のうちには)確定値を公表できるよう努力していただいた方がいいのではないか。そんな感じもしてきます。いかがでしょうか。

 この話は、年2回の動向委員会をいつ開くかということにも関連するので、それならもう動向委員会は年1回でいいか・・・みたいな議論も出てきそうですね。下手をすると、ほとんど議論もなく、そうなっちゃうかもしれません。自分で言い出しておいて恐縮ですが、世の中の「エイズはもういいだろう」感覚がますます気になってきます。いいわけはないんだけどねえ。

 

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TOP-HAT News(トップ・ハット・ニュース)

        第164号(2022年4月)

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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発マガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。

なお、東京都発行のメルマガ「東京都エイズ通信」にもTOP-HAT Newsのコンテンツが掲載されています。購読登録手続きは http://www.mag2.com/m/0001002629.html  で。

エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部

 

 

◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに 速報値の持つ意味は?

2 小さなちからを大きくつなぐ

3 プライドセンター大阪が始動

4 『Unbox Me』キャンペーン UNAIDS

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1 はじめに 速報値の持つ意味は?

 昨年(2021年)の国内における新規HIV感染者・エイズ患者報告の速報値が3月15日、厚労省エイズ動向委員会から発表されました。API-Net(エイズ予防情報ネット)に概要が掲載されています。

 https://api-net.jfap.or.jp/status/japan/index.html

 エイズ動向委員会四半期報告の2022年[令和4年]のページで、委員長コメント(PDF版)をご覧ください。少々ややこしくなって恐縮ですが、前半は2021年第3・第4四半期の報告、そして後半部分に年間速報値の概要が紹介されています。

 

新規HIV感染者報告数 717件(過去20年間で18番目の報告数)

 新規AIDS患者報告数  306件(過去20年間で20番目の報告数)

    合計      1023件(過去20年間で18番目の報告数)

 

8月には確定値がまとまる見通しで、速報値より少し報告数が増えます。

前年の2020年は、新規HIV感染者・エイズ患者報告数の速報値が合計1076件(2021年3月16日発表)、確定値は1095件(8月24日発表)でした。19件増えています。2019年は速報値1219件、確定値1236件で、その差は17件でした。

科学的根拠はまったくありませんが、前例踏襲で確定値は速報値より20件弱増えると仮定すると、2021年の確定値は1040件前後でしょうか。

以前に比べると、速報値と確定値の差はかなり縮小しています。例えば、報告数が最も多かった2013年の場合、速報値は1546件(2014年2月28日発表)でした。この時点では過去2番目でしたが、確定値段階で44件増えて1590件(2014年5月23日発表)となり、過去最多を記録しています。

速報値と確定値の差が縮んできたのは、年4回(3カ月に1回)開催だったエイズ動向委員会が2017年から年2回開催に変わったことも影響しているようです。速報値がまとまる年明け最初の委員会が、2月開催から3月開催に変わり、年初(年度末)の忙しい時期とはいえ、全国レベルの速報値集約にも1カ月程度の余裕ができました。誤差が小さくなれば、国内のエイズ対策の方向性を判断する際の速報値の持つ意味も変わってきます。

もちろん、報告のデータは現時点のHIV感染の動向を直接、示すものではなく、その年に検査を受けて感染していることが確認された人の数です。減少傾向は顕著になっていますが、社会的に検査を受けにくい環境が広がれば、報告数は減ります。

いまはどうなのか。実際の感染も減少しているのか、それとも何かの理由で感染はむしろ増えているけれど、報告は減っているということなのか、両方が考えられます。

2020年のコロナ流行拡大以来、検査をめぐる環境がどう変化したのか。

影響はもちろん小さくありませんが、行政の保健担当者やHIV/エイズ分野のNPOなどがそうした変化に対応し、本当に検査を必要としている人に検査が届くようにする工夫を重ねてもいます。こうした努力の積み重ねが途切れてしまわないようにする工夫も、いまはとりわけ大切です。

参考までに付け加えておくと、エイズ動向委員会の開催は2000年まで年6回でしたが、2001年から年4回に変わり、2017年以降は年2回開催になっています。それで十分なのだとしたら、速報値の報告はやめて、確定値とその分析をもう少し早めに発表できるように努力した方がいいのかもしれません。

 

 

2 小さなちからを大きくつなぐ

 日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス(JaNP+)の創設者で、3月7日に69歳で亡くなった長谷川博史さんのメモリアルサイト『小さなちからを大きくつなぐ』が開設されました。

 https://www.janpplus.jp/topic/733

 JaNP+が追悼メッセージや思い出のエピソードを募集し、3月20日までに寄せられた多数の投稿を編集、掲載しています。「小さなちからを大きくつなぐ」は長谷川さんが大切にしていた考えであり、JaNP+の原点でもあるということです。

 

 

3 プライドセンター大阪が始動

 常設のLGBTQセンターとして、プライドセンター大阪が4月1日、大阪・天満橋にオープンしました。公式サイトはこちらです。

 https://pridecenter.jp/

パンデミックで傷ついたLGBTQの心身の健康、社会的な健康の回復を支援することをミッションに掲げて設立されました。いくつかの非営利団体で協力して運営し、大阪だけでなく、今後、地方でLGBTQに関するセンターを運営する際のモデルになるよう、情報共有に努めていきたいと思います》(プレスリリースから)

 LGBTQだけでなく、その周囲の人、LGBTQに関して学びたい人など、誰でも利用できるということです。

 

 

4 『Unbox Me』キャンペーン UNAIDS

『国際トランスジェンダー認知の日』(3月31日)に先立ち、国連合同エイズ計画(UNAIDS)がプレス声明を発表して『Unbox Me』キャンペーンを開始しました。3月30日付のプレス声明によると、トランスジェンダーの子供たちの権利を擁護し《子供の時の性自認について、親や教師、さらにより広いコミュニティが認識を深めるためのキャンペーン》です。エイズソサエティ研究会議HATプロジェクトのブログに声明の日本語仮訳が掲載されています。

 https://asajp.at.webry.info/202204/article_2.html

 《トランスジェンダーの子供たちにとって箱の中に宝物を隠すことは、承認されそうもない自らのアイデンティティを周囲の目から隠す手段になることもあります。Unbox Meの目的はトランスジェンダーの子供たちが認知されることです。包含と受容を呼びかけるキャンペーンなのです》

 

『HIV対策とメンタルヘルスの統合 主要な論点』 エイズと社会ウェブ版611

 たびたび指摘されてきたことではありますが、HIVメンタルヘルスの対策を統合して進めることの重要性を強調した冊子を国連合同エイズ計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)が共同で発行しました。Publicationをどう訳したものか、あれこれ考えて『冊子』としましたが、90ページもあります。

   

 とても日本語には訳しきれないので、UNAIDSの公式サイトに掲載されているFeature Story(紹介記事)だけ試みに訳しました。英文はこちら。

www.unaids.org

メンタルヘルスの状態がHIV感染のリスクを高め、一方でHIV陽性者はメンタルヘルスのリスクが高くなることがあります。そして、このことがHIVケアの維持を困難にし、リスク行動の増加を促し、HIV予防行動を妨げることにもつながっていくのです』

 UNAIDSとWHOの両方の顔を立てる必要があったのか、紹介記事は、いかに意義のある冊子なのかという幹部コメントの掲載が中心です。したがって、短い記事では主要な論点の詳細までは把握しきれません。残念ですが、致し方ないでしょう。

 少し時間がかかるけど、せめて冊子のIntroduction(序章)部分ぐらいは仮訳を作成した方がいいかなあ・・・と思案中。少々、疲れ気味でもあり、自分を追い込まないようにすることも必要なので、あまり期待せずに待っていてください。とりあえずFeature Storyの日本語仮訳をご覧いただきましょう。

 

 

HIV対策とメンタルヘルスの統合 主要な論点 2022年4月28日

https://www.unaids.org/en/resources/presscentre/featurestories/2022/april/20220428_integrate-hiv-mental-health

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)による新たな報告書は、HIV陽性者や社会的に弱い立場の人たちへの社会保護サービスを含め、HIVメンタルヘルス分野のサービスの連携が大切なことを強調しています。

 メンタルヘルスの状態がHIV感染のリスクを高め、一方でHIV陽性者はメンタルヘルスのリスクが高くなることがあります。そして、このことがHIVケアの維持を困難にし、リスク行動の増加を促し、HIV予防行動を妨げることにもつながっていくのです。

 低・中所得国ではすでに、うつや不安といったメンタルヘルスの課題に対し、効果的に予防、検査、診断、治療を行う方法が存在し、実施も可能です。そのことを示すエビデンスは増えているのに、それでもメンタルヘルスや神経学的症状、薬物依存に対応するサービスがHIVを含む重要な保健サービスとケアのパッケージに統合されていないことがしばしばあります。

メンタルヘルスに関するスクリーニング、診断、治療、ケア、および心理社会的支援とHIVサービスを統合するのに大きな費用がかかるわけではありません」とUNAIDSのイーモン・マーフィー副事務局長(プログラム担当)はいう。「人びとを中心に据え、それぞれの地域の事情に合わせた統合的なアプローチを取れば、HIVおよび全体的な健康と福祉、そして生活の質の向上が保証できるのです」

 冊子は主に以下の読者を想定して編集されました。国や地方自治体の政策立案者、世界レベル・地域レベル・国内および地方レベルのプログラム担当者、保健・HIVメンタルヘルスその他の関連サービス活動を担う組織と担当者、市民社会組織やコミュニティ主導の組織とその支持者。

 メンタルヘルスHIVサービスやHIV対策との統合に焦点を当てた冊子ではありますが、結核、ウイルス性肝炎、性感染症といったHIV併存疾患のサービスとの関連性にも目配りをしてまとめられています。

 「この冊子は、メンタルヘルスHIVに関連する公衆衛生上の課題に対処し、サービスの統合を促進するうえで、各国の助けになるツールや成功事例、ケーススタディガイドラインなどがうまくまとまっています。思春期の若者やキーポピュレーションなど弱い立場の人たちが利用しやすくなっているのです」とWHOのメグ・ドハティ部長(HIV・肝炎・性感染症プログラム担当)は語っています。

 「この冊子は、UNAIDSとWHOが共同で発行しました。各国政府やサービス提供者、開業医、政策立案者、プログラムの実施担当者、コミュニティの皆さんが冊子を活用し、協力してHIVメンタルヘルス、神経学的症状、薬物依存に関し、統合的かつ効果的な方法で影響を受けている人たちへの支援を進めていくことを願っています」とWHOのデボラ・ケステル部長(メンタルヘルス・薬物使用担当)は述べています。

 コミュニティ主導の対応を含め、メンタルヘルスと心理社会的支援をHIV関連のサービス・対策と統合することは、『世界エイズ戦略2021〜2026:不平等に終止符を そしてエイズ終結を』、および『HIVエイズに関する2021年国連総会政治宣言:不平等に終止符を打ち、2030年エイズ終結の軌道に』に中で優先すべき重要課題の1つです。どちらの文書も、HIVメンタルヘルスのサービスを統合し、相互に関連する課題に取り組むことを求めています。そのためには、堅牢かつ回復力が高く、公的資金による公平な保健と社会保護のシステムに投資すること、そして健康と社会的不平等の関係を逆転させ、スティグマと差別を終わらせることが必要になります。

 HIV陽性者およびHIV感染のリスクに直面している人たち、HIVに影響を受けている人たちのメンタルヘルスに対応すること、そしてメンタルヘルスの問題を抱える人たちにHIVサービスへの公平なアクセスを確保し、ユニバーサルヘルスカバレッジを達成することなしには、エイズの流行は終結しない。このことを冊子は強調しています。

 

 

Key considerations to integrate HIV and mental health interventions

28 APRIL 2022

 

A new publication by UNAIDS and the World Health Organization (WHO) emphasizes the importance of integrating HIV and mental health services and other interventions, including linkages to social protection services, for people living with HIV and other vulnerable populations.

Mental health conditions increase the risk of HIV infection, and people living with HIV have an increased risk of mental health conditions, which are associated with lower retention in HIV care, increased risk behaviours and lower engagement with HIV prevention.

Furthermore, despite an increasing body of evidence showing that effective methods of prevention, screening and diagnosis of, and treatments for, common mental health conditions, including depression and anxiety, exist and can be implemented in low- and middle-income countries, services for mental health, neurological and substance use conditions are often not integrated into packages of essential services and care, including for HIV.

“We know that integration of screening, diagnosis, treatment and care for mental health conditions and psychosocial support with HIV services does not need to be expensive,” said Eamonn Murphy, UNAIDS Deputy Executive Director, a.i., Programme. “The integrated approaches that are people-centred and local context-specific ensure better HIV and overall health outcomes, well-being and quality of life.”

The publication is primarily intended for national and local policy-makers, global, regional, country and local programme implementers, organizations working in and providers of health, HIV, mental health and other relevant services, civil society and community-based and community-led organizations and advocates.

 Although focus is on the integration of mental health with HIV services and other interventions, the considerations in the publication may be relevant to other services, including for HIV comorbidities such as tuberculosis, viral hepatitis and sexually transmitted infections.

“Our publication successfully brings together tools, best practices, case studies and guidelines that can help countries and facilitate the integration of interventions and services to address the interlinked public health challenges of mental health and HIV, all while improving access to care for persons who are the most vulnerable, such as adolescents and key populations,” said Meg Doherty, Director, Global HIV, Hepatitis and Sexually Transmitted Infections Programmes, WHO.

“With this joint UNAIDS/WHO publication, we hope we can collectively support countries, service providers and other practitioners, policy-makers, programme implementers and communities in their efforts to address HIV, mental health, neurological and substance use conditions for affected individuals in an integrated and impactful way,” said Devora Kestel, Director, Mental Health and Substance Use, WHO.

Integration of mental health and psychosocial support with HIV services and interventions, including those led by communities, is one of the key priority actions included in the Global AIDS Strategy 2021–2026: End Inequalities, End AIDS and the 2021 United Nations Political Declaration on HIV and AIDS: Ending Inequalities and Getting on Track to End AIDS by 2030. Both documents call for addressing the interlinked issues of HIV and mental health through integrated services by investing in robust, resilient, equitable and publicly funded systems for health and social protection, by reversing health and social inequalities and by ending stigma and discrimination.

The new publication stresses that the AIDS epidemic cannot end without addressing the mental health of people living with, at risk of or affected by HIV, ensuring equitable access to HIV services for people with mental health issues and conditions and achieving universal health coverage.

 

こんなご時世だからこそ、楽しく続けたい 東京都エイズ通信私感

 

 

東京都福祉保健局のメルマガ『東京都エイズ通信』の第176号(2021年4月28日)が配信されました。今年に入ってから4月24日までの都内の新規HIV感染者・エイズ患者報告数は以下の通りです。

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 令和4年1月1日から令和4年4月24日までの東京都の感染者報告数です。

  HIV感染者数及びAIDS患者共に、令和3年よりも減少しました。

 

HIV感染者       71件    (102件)

AIDS患者        16件    ( 24件)

   合計             87件      (126件)

※( )は昨年同時期の報告数

*************************************

 新規HIV感染報告数も新規エイズ患者報告数(エイズを発症して初めてHIV感染が分かったケース)も、ともに前年同時期より減っています。合計報告数では前年同時期より39件も少なくなっています。3割以上の減少です。

 何度も同じことを書いていますが、これはあくまで、報告ベースの減少です。この期間に感染した人の数ではなく、検査を受けて感染が分かった人の数です。

 したがって、感染しても検査を受けなければ、報告の数字には反映されません。

 感染の高いリスクに曝されている人が検査を受ける機会が減るような要因が社会的にあれば、報告数は減っても、実際の感染は増えているといったこともあり得ます。

 コロナの流行、ウクライナに対するロシア軍の侵攻などがその要因になっているのかどうか。個人的にはなっているのではないかという印象も受けていますが、感想レベルの私の分析能力では、はっきりとは分かりません。

ただし、この困難な状況の中でも、感染の拡大は何とか抑えられているのではないかという期待もあります。世の中、心配事ばかりだし、HIV/エイズの流行に対する社会的な関心はますます低下するし・・・という逆境に追い込まれつつも、東京の検査施設やHIV/エイズ分野のNPOの皆さんが安心して検査を受けられる環境の整備に向けて健闘し、様々な工夫を重ねているということも、また聞きベースではありますが、聞いているからです。

感染の高いリスクに曝されやすい人たちに対するスティグマや差別の解消に取り組むこと、これも検査や治療の普及を妨げる社会的な障壁を克服する重要な要素です。遠回りのようでも、地道に辛抱強く、そしてできれば長続きするよう楽しくやっていきたい。抽象的な言い方で恐縮ですが、エイズ対策は世の中のいろいろな現象とつながっています。

 東京都エイズ通信の配信登録はこちらから。

www.mag2.com

 

 

 

『境界を越え煌めく世界』 エイズと社会ウェブ版610

 新宿2丁目のコミュニティセンターaktaなどでお目にかかっているジャンジさんがYouTbeの国連チャンネルで紹介されました。現代性教育研究ジャーナルの連載コラムOne side / Nosideの第60回『境界を越え煌めく世界』はそのまた紹介です。
 No133の8ページに掲載されています。
https://www.jase.faje.or.jp/jigyo/journal/seikyoiku_journal_202204.pdf

  f:id:miyatak:20220417113332j:plain

 《カラフルな絵本、きらびやかな衣装とメイクのドラァグクイーン、そして子供たち。世間の常識やら、フツウやらにこだわりが強い年配おじさん層とは異なり、この三者の親和性はかなり高そうだ》
 おじさんは取り残されているなあ・・・と改めて思う。
 ジャンジさんの OK! のメッセージ、動画は5分程度の短いものなので、ぜひご覧ください。

『Unbox Me』キャンペーンを開始 UNAIDS エイズと社会ウェブ版609

 辞書を調べてみると、Unboxというのは「箱から取り出す」とか「取り除く」といった意のようです。どこか否定的なニュアンスが・・・と思ったら、最近は「包みを解いて箱から取り出し、良さを確かめる」という感じで新製品の宣伝にも使われ、どちらかと言えば肯定的な語感もありそうです。

 「ヤバい」が誉め言葉になってしまうような・・・ちょっと違うか。

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)は『国際トランスジェンダー認知の日』の3月31日に先立ち、『Unbox Me』というキャンペーンを開始しました。公式サイトに3月30日付でプレス声明が掲載されています。トランスジェンダーの子供たちの権利を擁護し、《子供の時の性自認について、親や教師、さらにより広いコミュニティが認識を深めるためのキャンペーン》ということです。

https://www.unaids.org/en/resources/presscentre/pressreleaseandstatementarchive/2022/march/20220330_unbox-me

トランスジェンダーの子供たちにとって箱の中に宝物を隠すことは、承認されそうもない自らのアイデンティティを周囲の目から隠す手段になることもあります。Unbox Meの目的はトランスジェンダーの子供たちが認知されることです。包含と受容を呼びかけるキャンペーンなのです》

 キャンペーンはインドで、UNAIDSが大手広告代理店と協力して始めました。公式サイトには短編のフィルムが2本、紹介されています。1本は『Unbox Me』、もう1本は『SEE ME AS I AM』です。後者は昨年スタートした#SeeMeAsIAmキャンペーンで、その続編が、私をUnboxしようということになります。インド発のキャンペーンを今年は世界に広げたいとUNAUDSは考えています。

 ・・・ということで、知ったかぶりをして書いていますが、実はすべてUNAIDS公式サイトからの受け売りです。メディア声明の日本語仮訳も作ったので、そちらを読んでもらった方が速いですね。2本のフィルムもUNAIDSのサイトで観ることができます。(ただし英語)

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トランスジェンダーの子供たちの権利をまもるUnbox Meキャンペーン

を開始 UNAIDS

ジュネーブ 2022年3月30日 『国際トランスジェンダー認知の日』の3月31日に先立ち、国連合同エイズ計画(UNAIDS)は、子供の時の性自認について、親や教師、さらにより広いコミュニティが認識を深めるための運動を開始しました

 Unbox Meキャンペーンは、トランスジェンダーの子供たちの権利を擁護するものです。ほとんどの子供たちは、小さな宝物を安全に隠せる小箱や秘密の隠し場所を持っています。それが大好きなのです。宝物で、その子のことが分かります — 自分が誰で、何が好きなのか、そしてどんな夢があるか。しかし、トランスジェンダーの子供たちにとって箱の中に宝物を隠すことは、承認されそうもない自らのアイデンティティを周囲の目から隠す手段になることもあります。Unbox Meの目的はトランスジェンダーの子供たちが認知されることです。包含と受容を呼びかけるキャンペーンなのです。

 インドではトランスジェンダーの人たちの90%以上が、15歳までに家を出るか、家から放り出されています。その結果、多くの人がお金もなく、教育も受けずに路上で生活せざるを得なくなり、セックスワークに頼ることもよくあります。キャンペーンはインドで始まったものですが、受容と包含というテーマは普遍的です。

トランスジェンダーの人たちは世界中で疎外され、差別や暴力を受けています。その結果、HIVに感染するリスクは他の成人より34倍も高いのです。トランスジェンダーの人たちを犯罪者とみなす国は世界で24カ国もあります。たとえば、COVID-19の流行の初期にロックダウン政策をとった国の中には、性別による移動許可日を設けたところもあり、「間違った」日に外出するトランスジェンダーの人たちを逮捕しています。

スティグマと差別、犯罪化は、トランスジェンダーや多様なジェンダーの人たちの存在を見えなくしてしまう傾向があり、極端なかたちの差別が多様なジェンダーの人たちの存在を否定することにさえつながります。

キャンペーンは、UNAIDSが広告代理店FCBインドと進めているコラボレーションの一部です。UNAIDSは昨年、FCBと提携し、短編フィルム『The Mirror』を公表しました。女性としてドレスアップし、鏡を見る少年についての#SeeMeAsIAmキャンペーンの一環です。このフィルムは、子供の頃の性自認について、親や教師、そしてより広いコミュニティが認識を深めることに役立ちました。このフィルムを踏まえ、Unbox Meは、自らの性自認を否定されているトランスジェンダーの子供たちの現実について、家庭で考えてもらうことを目指しています。

キャンペーンを考え出したFCBインドのスワティ・バタチャラヤ制作局長は「インドの子供たちは、最も大事なものを保管する箱を持っています。トランスジェンダーの子供たちの場合、その最も大切なものが性に関する社会的な規範にあわないので、その箱の中身を隠さなければなりません」と説明しています。

 UNAIDSは、世界中のトランスジェンダーのコミュニティ、市民社会組織、政府と協力して、トランスジェンダーの人たちを犯罪の対象とみなさないこと、そして権利をまもり、健康や教育、社会保護を受けられるようにすること、虐待や搾取を受けないようにすることに取り組んでいます。

「私たちの多くは自らの性自認を当然のこととして受け止めています。でも、子供たちにとって、ことはそう簡単ではありません。毎日が生存をかけた闘いなのです」とUNAIDSのマヘシ・マハリンガム局長(コミュニケーションとグローバルアドボカシー担当)はいう。「世界中の子供たちが、自らのアイデンティティを自由に表現できるように支援する必要があります」

インドのUnbox Meキャンペーンは教育界の支持を集めています。全国の学校の先生が、性自認についての意識を高めるために、キャンペーンで取り上げている箱を会話のきっかけに使っているのです。

映画監督のゾーヤー・アクタルさん、テレビキャスターのバルカ・ダットさんなど多数の著名人やコミュニティリーダーもUnbox Meキャンペーンに参加しています。

 UNAIDSはこのキャンペーンを世界に広げていきます。キャンペーンへの参加希望や意見はUNAIDS(Communications@unaids.org)へ。

 

 

UNAIDS launches Unbox Me to advocate for the rights of transgender children

 

GENEVA, 30 March 2022—In the lead-up to the International Transgender Day of Visibility, on 31 March, UNAIDS has launched an initiative to raise awareness among parents, teachers and the wider community about gender identity during childhood.

The Unbox Me campaign advocates for the rights of transgender children. Most children love to have boxes or hidden places in which they can hide precious trinkets or prized possessions safely and securely. The hidden objects can reveal a lot about the child—who he or she is, what he or she likes and what his or her dreams are. For some transgender children, this act of hiding treasures in a box becomes a way of hiding their identity from disapproving eyes. Unbox Me is about giving transgender children visibility. It is a call for inclusion and acceptance.

In India, more than 90% of transgender people leave their homes or are thrown out by the age of 15 years. Inevitably, many live on the street with no money or education, often relying on sex work. Despite the campaign originating from India, its theme of acceptance and inclusion is universal.

Transgender people around the world are often marginalized and experience discrimination and violence. As a result, transgender people have a 34 times greater risk of acquiring HIV than other adults. Up to 24 countries in the world criminalize or prosecute transgender people. For example, early in the COVID-19 response, some governments instituted gender-specific mobility days during lockdowns, which resulted in arrests against transgender people out on the “wrong” day.

Stigma, discrimination and criminalization tend to make transgender and gender-diverse people invisible, with extreme forms of discrimination leading to even the denial of the existence of gender-diverse people.

This campaign is part of an ongoing UNAIDS collaboration with advertising agency FCB India. Last year, UNAIDS partnered with FCB and released a successful short film, The Mirror, as part of the #SeeMeAsIAm campaign about a young boy looking in the mirror and dressing up as a woman. The film served to raise awareness among parents, teachers and the wider community about gender identity during childhood. Building on the film, Unbox Me seeks to bring home the reality of the many transgender children who are denied their true identity.

Swati Bhattacharya, FCB India’s Creative Chairperson, who conceptualized this campaign, said, “In India, children usually have a box which they use to store their most precious possessions, but in the case of transgender children they need to hide their box of treasures, since some of their most precious possessions don’t fit the gender norm that society expects them to conform to.”

UNAIDS works closely with the transgender community, civil society organizations and governments all around the world to decriminalize transgender people, secure their rights and ensure that they have access to health, education and social protection and that they are protected from abuse and exploitation.

“Many of us take our gender identity for granted, but for many children it is not so easy. It’s a matter of daily survival, a daily struggle,” said Mahesh Mahalingam, the UNAIDS Director of Communications and Global Advocacy. “Children all around the world must be supported in expressing their identity freely.”

In India, the Unbox Me campaign has garnered support among the education community. Teachers in many schools across India are using the boxes featured in the campaign as a conversation starter to raise awareness about gender identity.

Many prominent personalities and community leaders have also participated in the Unbox Me campaign, notably Indian film director Zoya Akhtar and television anchor Barkha Dutt.

UNAIDS is now extending the campaign to the global level.

 

If you would like to participate in the campaign or share your thoughts, contact UNAIDS at Communications@unaids.org.