95-95-95ターゲットとは何か エイズと社会ウェブ版683

 

 国際的なエイズ対策分野では90-90-90ターゲットが2020年までの中間達成目標となっていました。公衆衛生上の脅威としてのエイズ終結を2030年までに実現するには、まず90-90-90でHIVの新規感染やエイズ関連の死亡を減らし。勢いを付けようというのが2020年までの共通理解だったように思います。

実際に世界各国、とりわけ南部・東部アフリカ諸国が抗レトロウイルス治療の普及に力を入れ、90-90-90に向けて大きな成果を上げてきたのですが、残念ながらそれでも2020年のターゲット達成は果たせませんでした。

 一方で、これでくじけてはいられないということで、2021年6月のエイズに関する国連総会ハイレベル会合では、新たに採択された政治宣言の中で、次の中間目標として95-95-95ターゲットを2025年までに達成することが盛り込まれました。

 90-90-90も実現できないのにハードルを一段上げて・・・と疑問に思わないこともありません。それでも、2030年のSDGs達成という大目標に向けて、あくまでも前進を続けていこうという姿勢に対してはある程度、評価しておきたいと思います。

 ただし、エイズ対策によほど関心がある人を除けば、90-90-90ターゲットの知名度はそれほど高くありませんでした。その目標が95-95-95に変わりましたよと言われても、そもそも何のことだかよく分からない。それが世の中の圧倒的多数の人の感覚でしょう。聞いたこともないよという人の方が実は多いかもしれません。

 知名度不足はターゲットの旗振り役である国連合同エイズ計画(UNAIDS)も痛感しているようです。公式サイトにはごく最近、『Understanding measures of progress towards the 95–95–95 HIV testing,treatment and viral suppression targets』というタイトルの説明書(PDF版)が掲載されています。

 日本語でもエイズ予防財団が仮訳(UNAIDS HIV検査、治療、ウイルス抑制の95-95-95ターゲットとは何か)を作成し、API-Net(エイズ予防情報ネット)で紹介しました。

《「95-95-95ターゲット」は表示の仕方によって「カスケード」と呼ばれることもあります。その違い、および2つの表示法の長所と短所についても簡潔に示されています》

表裏2ページの短い文書です。こちらでご覧ください。

 https://api-net.jfap.or.jp/status/world/booklet079.html