『コミュニティ主導でいこう 世界エイズデー2023』 エイズと社会ウェブ版659

国連合同エイズ計画が世界エイズデー(12月1日)キャンペーンの特設ページを8月下旬に開設し、今年のテーマ LET COMMUNITIES LEAD - WORLD AIDS DAY 2023(コミュニティ主導でいこう 世界エイズデー2023)もあわせて発表しました。

     

https://www.unaids.org/en/2023-world-aids-day

とりあえず、テーマの公表とその趣旨説明だけ掲載し、「キャンペーンの素材は10月から共有できるよう準備しています」と予告しています。

趣旨説明は日本語仮訳を作成し、エイズソサエティ研究会議HATプロジェクトのブログに紹介しました。こちらです。

https://hatproject.seesaa.net/article/500540427.html

『ただし、現状のままではコミュニティがリーダーシップを十分に発揮することはできません。資金不足に苦しみ、政策や規制に妨げられることで能力的な制約を受け、市民社会に対する締め付けと社会的に排除されやすいコミュニティへの人権弾圧が、HIVの予防・治療サービスの普及を妨げています。こうした障壁を打破できれば、エイズ終結に向け、コミュニティ主導の組織が世界のHIV対策にさらに大きく貢献できるのです』

日本のHIV対策を見れば、コミュニティは大いに健闘していると個人的には思っていますが、それでもなお、こうした指摘は、必ずしも、よその国、よその大陸の話と言って済ませられるわけではありません。

国連加盟国は『公衆衛生上の脅威としてのエイズ終結』を2030年までに実現することを国際的な共通目標に掲げ、その中間的なターゲットとして、2025年には検査と治療の95-95-95ターゲット達成などを目指しています。

残暑はことのほか厳しいものの、すでに2023年も秋に入ろうとしています。うかうかしていると、2025年も、20230年もすぐにやってきてしまうでしょう。目標を完全に達成することは困難にしても、なんとか頑張りましたというかたちだけは残しておきたい。というわけで、勝手な想像で恐縮ですが、UNAIDS周辺も少し浮足立ってきたのかもしれませんね。

数値目標は大切です。ただし、その数値が自己目的化してしまうことによる弊害も往々にしてあります。

一方で、コミュニティが活躍できる基盤を整えることは大切です。その意味ではキャンペーンの成果にも大いに期待したい。

参考までに、今年の世界エイズデーに向けた国内啓発キャンペーンのテーマは7月に発表されています。

『あなたが変わればエイズのイメージが変わる。UPDATE HIV!』

あなたまかせと言うなかれ。コミュニティアクションのサイトに掲載されているテーマの趣旨説明を読んでいただくと、世界と日本で、それぞれ別個にテーマの検討を進めてきた割には、UNAIDSのキャンペーンテーマと共通する意図が込められていることに、むしろ驚きます。こちらでご覧ください。

http://www.ca-aids.jp/theme/