UNAIDSブローシュア『エイズに関するハイレベル会合:不平等に終止符を、そしてエイズ終結を』 エイズと社会ウェブ版562

 エイズに関する2021年国連総会ハイレベル会合(6月8~10日)に向けて、国連合同エイズ計画(UNAIDS)が概要をコンパクトにまとめたブローシュアを作成しました。翻訳に少し時間がかかりましたが、なんとか連休前に日本語仮訳版を作成したので、参考までにご覧ください。
 API-Net(エイズ予防情報ネット)で日本語PDF版をダウンロードできます。タイトルは『エイズに関するハイレベル会合:不平等に終止符を、そしてエイズ終結を』です。

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 新型コロナウイルス感染症COVID-19の影響でバーチャル中心の開催になりそうですが、エイズの流行開始から40周年、2001年の国連エイズ特別総会から20周年の節目の会合です。
 ブローシュアには、アントニオ・グテーレス国連事務総長による10項目の勧告を中心にして、2030年のエイズ終結に向けた世界の現状、および2025年を達成年とする新たなターゲット(中間目標)などが説明されています。
 国際社会はこれまで、2020年を達成年とする90-90-90ターゲットを目指していましたが、実現には至りませんでした。なおかつその最終年である2020年にはCOVID-19の流行という新たなパンデミックが登場し、世界はいまなお厳しい試練に直面しています。
 その試練はまた、HIV/エイズ対策にとっての大きな危機であり、同時に転機でもあるということが苦い経験とともに明らかになってきました。
 ただし、それはいままでの努力はご破算ですねという意味での転換を迫るものではありません。逆にこれまでの経験を踏まえ、粘り強く積み上げてきたHIV/エイズ対策の成果を継続させることができるかどうか、そして同時にその経験を他のパンデミック対策(とりあえずCOVID-19ですが)に生かすことができるかどうかが問われるという意味での転機です。
 一般向けには少々、理屈っぽい印象は免れない感じもしますが、ある程度、理念的な領域に踏み込まざるを得ない切迫感といったものも含め、ブローシュアはハイレベル会合の観戦ガイドとして役立ててもらえるのではないかと思います。
 API-Netにはほかに『UNAIDS 2025年エイズターゲット』『UNAIDS 世界エイズ戦略2021~2026 序文と報告書要旨(executive summary)』という関連2文書の日本語仮訳も掲載されています。 

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 ざっくり説明すると、2025年に向けた新ターゲット(2025年エイズターゲット)があり、その達成を中心になって担う立場のUNAIDSがその実現に向けた戦略を発表し、さらに国連総会のハイレベル会合で政治宣言が採択されれば、新ターゲットがHIV/エイズ分野における2025年までの国連全加盟国、つまり国際社会の共通目標になるという段取りです。
 内容的に重なっている部分もありますが、並べてみると「ああ、そういうことですか」と分かってくることもありそうです。この冬から春にかけて外出は極力、散歩程度に抑え、一心不乱に翻訳に取り組みました。参考にしていただければ幸いです。