差別ゼロデー2022 UNAIDSキャンペーンサイトから エイズと社会ウェブ版602

 3月1日は国連合同エイズ計画(UNAIDS)が提唱する差別ゼロデーです。今年は法律がテーマに取り上げられています。人びとを苦しめる差別的な法律が多数の国で残されたままになっているからです。UNAIDSの公式サイトには、1日から始まるキャンペーンの冊子がPDF版で掲載されています。 

www.unaids.org

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 英文のままですいません。なんだかんだと忙しく、日本語仮訳の作成に取りかかれませんでした。最近は法律以前の無法がまかり通って、世界が危機に追い込まれている印象がありますが、だからと言って、ひどい法律をそのままにしていいということにはなりません。冊子の方は追々、訳していくことにして、とりあえずキャンペーンサイトに載っている短い紹介文だけ仮訳を作成しました。悪しからず。

 

差別ゼロデー2022

 https://www.unaids.org/en/2022-zero-discrimination-day

今年の差別ゼロデーのテーマは『Remove laws that harm, create laws that empower(有害な法律を取り除き、力を与える法律を作ろう)』です。UNAIDSは差別的な法律に反対する行動が緊急に必要なことを強調しています。

 法律によって、人びとが異なる扱いを受け、基本的なサービスから除外され、単に自分が誰であるか、何をするか、誰を愛するかという理由で生活に過度の制限が課せられている。世界には、そんな国がたくさんあります。そうした差別的な法律は、基本的な人権と自由を否定するものです。

 国家には、差別的な法律を撤廃し、人びと差別からまもる法律を制定するという道義的、法的義務があります。そして、国に説明責任と変化を求め、差別的な法律の撤廃に向けて努力する責任は、すべての人にあります。

 差別ゼロデーの3月1日は、すべての人が充実した生産的な生活を送り、尊厳を持って差別のない日々を過ごす権利を祝うべき日なのです。

 

 

On Zero Discrimination Day this year, under the theme “Remove laws that harm, create laws that empower”, UNAIDS is highlighting the urgent need to take action against discriminatory laws.

 

In many countries, laws result in people being treated differently, excluded from essential services or being subject to undue restrictions on how they live their lives, simply because of who they are, what they do or who they love. Such laws are discriminatory—they deny human rights and fundamental freedoms.

 

States have a moral and legal obligation to remove discriminatory laws and to enact laws that protect people from discrimination. Everyone has a responsibility to hold states accountable, call for change and contribute to efforts to remove discriminatory laws.

 

On Zero Discrimination Day, 1 March, we celebrate the right of everyone to live a full and productive life—and live it with dignity and free from discrimination.

プライドハウス東京コンソーシアムも声明を発表 エイズと社会ウェブ版601続き

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を非難する声明をプライドハウス東京コンソーシアムが27日、発表しました。 

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ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対する非難と、同エリアのLGBTQ+の人たちへの支援と連帯を表明する声明文/Statement of Condemnation of the Russian Invasion of Ukraine and Support and Solidarity with LGBTQ+ People | プライドハウス東京

 

 声明の中にも書いてありますが、プライドハウス東京コンソーシアムは『LGBTQ+をはじめとした性的マイノリティに関する理解を進める活動、および、性別・性的指向性自認等を問わずすべての人が安心して過ごせる環境づくりに向けた活動』に取り組んでいる団体です。
 声明は組織的な特性を踏まえ、非難と同時にウクライナおよびロシアの性的マイノリティの人たちに対する支援と連帯を表明しています。この点にも注目すべきでしょう。
 『私たちは、ウクライナにおいてもロシアにおいても等しく、LGBTQ+の人たちや子どもたち、社会的障壁によって障害者とされる人たちなど、社会の中で周縁化された人々と連帯し、平和をもたらす活動に対して支援することを表明します』
 ロシアにおいて社会的、政治的に周縁化され、困難な状態に追い込まれている人たちもまた数多くいます。UNAIDSのプレス声明にも感じたことですが、それぞれの人たちが自らの直面する課題を通じ、痛みを共有できるレベルで連帯や支援の表明を行うことはいま、不条理と分断を克服する行動として大切ではないかと思います。 

『ウクライナのHIV陽性者とHIVに影響を受けている人たちに対する保健・HIVサービスの確保と継続を』 UNAIDSがプレス声明 エイズと社会ウェブ版601

 ロシアの軍事侵攻で危機にさらされているウクライナの人たちに向けて、国連合同エイズ計画(UNAIDS)が25日、プレス声明を発表しました。《医療従事者の保護と、HIV陽性者、HIVに影響を受けている人たちを含むすべての人へのHIVと保健のサービスが中断なく継続すること》を求める内容です。

 また、最後に《UNAIDSスタッフはウクライナにとどまり、HIV予防・検査・治療・ケア・支援を引き続き支える》という意思も表明しています。

 UNAIDSによると、ウクライナHIV陽性者は推定25万人で、このうち抗レトロウイルス治療を受けている人は15万6000人です。東ヨーロッパ・中央アジア地域では2番目に大きなHIV/エイズの流行を抱えている国ということです。蛇足ながら付け加えておくと、1番はロシアです。

体内のウイルス増殖を抑え、症状の進行を抑えるには、抗レトロウイルス薬の服薬を毎日続けなければなりません。差し当たって、数週間単位で処方されるこの薬の提供が大きく途切れることがないようにする必要があります。

 声明を読むとお分かりになると思いますが、HIV/エイズ対策に焦点をあてた国連機関であるという立場のためか、侵略の主体であるロシアの政治選択と軍事行動に対する批判や非難は(少なくとも表向きには)含まれていません。相手が安保理で拒否権を持つ大国であるかもしれないし、UNAIDSに与えられたマンデート(使命)として、声明で言えるのはここまでということなのかもしれません。

 ただし、ロシア国内でも、HIV/エイズ対策に取り組む組織やキーポピュレーションの支援組織が、現政権から(控えめに言っても)強権的な制約を受けてきたことは、ソチ冬季五輪の前後など折に触れてUNAIDS自身が報告してきたことでもあります。

 HIV/エイズ対策という限定的課題の中での声明ではありますが、こうした動きに呼応して、ロシア国内でもHIV/エイズ対策に取り組む人たちから「いくら何でも、これはだめでしょ」という声があがること、その声を国際的にも支えることが限定的な分野における動きではあっても、事態打開の力にささやかながらなるのではないか。そうした期待を込めつつ、声明の日本語仮訳を作成しました。

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ウクライナHIV陽性者とHIVに影響を受けている人たちに対する保健・HIVサービスの確保と継続を UNAIDSプレス声明

https://www.unaids.org/en/resources/presscentre/pressreleaseandstatementarchive/2022/february/20220225_ukraine

 

ジュネーブ 2022年2月25日 ウクライナが軍事攻撃を受ける中で、UNAIDSは医療従事者の保護と、HIV陽性者、HIVに影響を受けている人たちを含むすべての人に対するHIVと保健のサービスが中断なく継続することを強く求めます。ウクライナは、東ヨーロッパ・中央アジア地域で2番目に大きなエイズの流行を抱えている国です。ウクライナHIV陽性者人口は推定25万人で、このうち15万6000人が抗レトロウイルス薬による治療を受けています。HIV陽性者が生きていくには毎日服用する必要がある薬です。

ウクライナHIV陽性者には数週間分の抗レトロウイルス薬しか手元にありません。継続的に処方を受けなければ生命が危険にさらされます」とUNAIDSのウィニー・ビヤニマ事務局長は語っています。「ウクライナの何十万というHIV陽性者、HIVに影響を受けている人たちに対するHIV予防・検査・治療など、命にかかわるHIVサービスを途切れさせてはなりません」

ウクライナ政府はこれまで、市民社会や国際機関と協力して東ヨーロッパ・中央アジア地域で最大かつ最も効果的なHIV対策を実施してきました。いま進行している軍事攻撃によって、その努力と成果が台無しになる深刻なリスクにさらされ、さらに多くの命が危険にさらされることになります。

健康への権利とHIVサービスへのアクセスは常にまもらなければならず、医療従事者や市民社会の代表、およびそのクライアントが紛争の標的にされてはなりません。進行中の軍事攻撃はウクライナのすべての人に影響を及ぼし、HIV陽性者や薬物使用者、セックスワーカー、ゲイ男性など男性とセックスをする男性、トランスジェンダーの人たちといったキーポピュレーションは大きな苦難を受ける可能性があります。

国連事務総長が強調したように、国連は軍事攻撃で「非常に多くの死、破壊、避難」にすでに苦しんでいるウクライナの人たちに対し、困っているときにこそ必要な支援を行うことを約束しています。

世界エイズ結核マラリア対策基金(グローバルファンド)、米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)、UNAIDSの支援を受け、ウクライナ政府と市民社会のパートナーはHIV陽性者およびキーポピュレーションの人たちにHIVの予防と治療のサービスを多年にわたり提供してきました。ウクライナ全土で進行中の危機にあっても、さらなる支援を提供する用意があります。UNAIDSのスタッフはウクライナにとどまり、HIV陽性者とキーポピュレーションの人たち、とりわけ最も弱い立場に置かれている民間の人たちに焦点を当て、生命を救うために必要なサービスを継続できるように努めています。UNAIDSは危機のさなかにあるウクライナ全土の人たちへのHIV予防・検査・治療・ケア・支援を引き続き支えていきます。

 

 

 

 

GENEVA, 25 February 2022—Amidst the ongoing military offensive against Ukraine, UNAIDS is calling for the protection of health workers and uninterrupted continuation of HIV and health services for all people, including people living with and affected by HIV. Ukraine has the second largest AIDS epidemic in the region. It is estimated that there are 250 000 people living with HIV in Ukraine, 156 000 of whom are on antiretroviral therapy, medication that needs to be taken daily for people to remain alive and well.

“People living with HIV in Ukraine only have a few weeks of antiretroviral therapy remaining with them, and without continuous access their lives are at risk,” said Winnie Byanyima, UNAIDS Executive Director. “The hundreds of thousands of people living with and affected by HIV in Ukraine must have unbroken access to life-saving HIV services, including HIV prevention, testing and treatment.”

To date, the Government of Ukraine, together with civil society and international organizations, has implemented one of the largest and most effective HIV responses in eastern Europe and central Asia. However, with the ongoing military offensive, the efforts and gains made in responding to HIV are in serious risk of being reversed, putting even more lives in danger.

The right to health and access to HIV services must always be protected, and health workers, representatives of civil society and their clients must never be targets in a conflict. The ongoing military conflict has affected everyone in Ukraine but is likely to be particularly hard for people living with HIV and key populations, including people who use drugs, sex workers, gay men and other men who have sex with men and transgender people.

As highlighted by the United Nations Secretary-General, the United Nations is committed to support people in Ukraine, who have already suffered from “so much death, destruction and displacement” from the military offensive, in their time of need.

With the support of the Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria, the United States President’s Emergency Plan for AIDS Relief and UNAIDS, the Government of Ukraine and civil society partners have delivered HIV prevention and treatment services for people living with HIV and key populations across Ukraine for many years and stand ready to give further support during the ongoing crisis.

UNAIDS staff remain on the ground in Ukraine, working to ensure that people living with HIV and key populations in Ukraine have continued access to life-saving services, with a particular focus on the most vulnerable civilians. UNAIDS will continue to support HIV prevention, testing, treatment, care and support for people across Ukraine affected by the crisis.

 

 

 

 

 

 

気になるエイズ患者報告減少 東京都エイズ通信

 メルマガ東京都エイズ通信第174号(2022年2月25日)が配信されました。2月20日時点での東京都内の新規HIV感染者・エイズ患者報告数は以下の通りです。

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  • 令和4年1月1日から令和4年2月20日までの感染者報告数(東京都)

  ※( )は昨年同時期の報告数

HIV感染者       34件    (38件)

AIDS患者         7件    (15件)

合計                41件      (53件)

HIV感染者数及びAIDS患者共に令和3年よりも減少している。

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 昨年同時期に比べるとHIV感染者はほぼ1割減ですが、エイズ患者報告数は半数以下になっています。この数字をどう見るべきか。残念ながら私の能力では分析不能。COVID-19の影響はオミクロン株の流行でますます大きくなっているように思いますが、そうした中でHIV検査体制が何とか健闘しているのか。それとも医療機関の対応が困難で、体調が悪くなってもお医者さんにも行きにくいといった事情から、エイズ発症の把握が遅れているのか。後者だとすると、それもまた、様々な意味で禍根を残すことになります。前者であってくれるといいのですが。

 メルマガ配信登録はこちらから。

 https://www.mag2.com/m/0001002629

 

 

「はじめに」で綴るエイズ対策史・その18 エイズと社会ウェッブ版600

 

 TOP-HAT FORUM(東京都HIV/AIDS談話室)のサイトに《「はじめに」で綴るエイズ対策史》その18(2014年8月~2014年12月)を掲載しました。 

www.tophat.jp

 毎月発行しているTOP-HAT Newsの巻頭には「はじめに」として、その時その時の話題を取り上げ、解説とも感想ともつかないような少し長めの文章を掲載しています。
 その報告を集めていけば、それはそれで、エイズ対策史へのひとつの視点を提供できるのではないか。客観性にも網羅性にも、大いに欠けている嫌いはありますが、モール(かたまり)の力といいますか、自分で書いていて言うのも変ですが、けっこうおもしろい。

 その18には2014年の8~12月分を掲載してあります。

◎~まだ終わっていない~ 第72号(2014年8月)

◎保健システム強化とエボラへの対応 エイズ対策の視点から 第73号(2014年9月)

◎もう、一緒に生きている 第74号(2014年10月)

◎ギャップを埋めなきゃ終わらない 第75号(2014年11月)

◎2014年を振り返る 第76号(2014年12月) 

 《2014年の後半は西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行が広がり、世界が震え上がりました。だからこそ、HIV/エイズ分野のメッセージである「Living Together」の重要性も改めて強調する必要があったし、ギャップの解消も重要でした。なぜか基本的な構造は、8年後のいまもあまり変わっていないのではないか。経験を通して学んだこともたくさんあったとは思いますが、同時に「基本的」なんだから構造がなかなか変わらないのも当然・・・そのぐらいに腹をくくり、腰を据えて現実に対応していかなければならないという印象もまた受けます》(その18の前文から)

 気が向いたら読んでください。
 

『ラブ吉先生』 エイズと社会ウェブ版599

 コロナ流行の中であまり関心が持たれていませんが、「世の中の関心が薄れる=問題が解決する」というわけではありません。

 グローバルファンド日本委員会(FGFJ)が発行するFGFJレポートの最新号の特別寄稿『コロナ禍で迎えるエイズとの闘い40年』の中で、日本医療研究開発機構(AMED)研究開発統括推進室の岩本愛吉室長はこう書いています。

 『COVID-19は乗り越えねばならないし、エイズも終わっていない』 

 https://fgfj.jcie.or.jp/wp-content/uploads/2021/12/FGFJ%E3%83%AC%E3%83%9B%E3%82%9A%E3%83%BC%E3%83%88_24-web%E7%94%A8-1224.pdf

 HIV/エイズの流行は解決済みではもちろんありません。ただし、道半ばではあっても40年に及ぶ経験の蓄積は、コロナの流行に対応するうえで重要な教訓をいくつも与えてくれます。

 小さなエピソードではありますが、HIV/エイズの流行に取り組むゲイアクティビストやトランスジェンダーの人たちから、岩本さんが「ラブ吉先生」と親しみを込めて呼ばれるようになったことも、そうした教訓のひとつでしょう。

 少々、回りくどい前説で恐縮ですが、現代性教育研究ジャーナルの連載コラム One side / No side 58『ラブ吉先生』もあわせて をお読みいただければ幸いです。

『長丁場のパンデミック対策では、「地道」だとか「努力」だとかといった重々しい語感をさらっと抜け出していく軽快さも時に必要になる。そして、そのあたりの「遊び心」を求める心理も、岩本さんへの愛称に込められているのではないか』  

www.jase.faje.or.jp

  PDF版は、No131(2022年2月15日発行)の7ページに載っています。よろしく。

 

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HIV発見者、モンタニエ博士が死去 エイズと社会ウェブ版598

 エイズの病原ウイルスであるHIVの発見者の一人、フランスのリュック・モンタニエ博士が亡くなりました。報道によると、2月8日、パリ近郊の病院で息を引き取ったということです。モンタニエ博士は2008年にフランソワーズ・バレシヌシ博士とともにHIV発見者としてノーベル医学生理学賞を受賞しています。ただし、晩年はご自身の専門領域に関し、様々な独創的見解を明らかにし、異端の医学者としてみられることも多かったようです。門外漢にはよく分かりませんが、独創と異端の間には微妙な関係があるのかもしれませんね。

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)は2月11日付けで、プレス声明を発表し、追悼の意を表しています。ちょっと淡々とした感じでしょうか。

www.unaids.org

 

 モンタニエ博士は、たびたび日本を訪れ、HIV/エイズをめぐるスティグマや差別の解消にもご尽力されています。2017年10月7日には、日本記者クラブで記者会見にお招きしました。参考までにその会見報告はこちらです。

 https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/14992/report

 

 話が前後して恐縮ですが、以下は、UNAIDSの2022年2月11日付プレス声明の日本語仮訳です。

HIVの共同発見者、リュック・モンタニエ博士が死去、89

ジュネーブ 2022年2月11日 フランスのウイルス学者でHIVの共同発見者であるリュック・モンタニエ博士が今週、亡くなりました。レトロウイルス研究の専門家であり、HIV研究のパイオニアでした。モンタニエ博士は、フランスのパスツール研究所でウイルス腫瘍学ユニットを設立し部長に就任、HIVを発見したチームを率いていました。研究の成果は1983年、Science誌に最初に発表されています。

 最も早い時期からHIVの予防と治療の普及に取り組み、HIV陽性者やHIVに影響を受けている人たちに対するスティグマや差別との闘いを擁護してきた研究者の一人でした。HIVの発見により、2008年にノーベル医学生理学賞を共同で受賞しています。

 「博士が自らの生涯を科学に捧げ、HIVを発見したことが世界中で何百万もの人の命を救った抗レトロウイルス薬の研究と開発に道を開きました」とUNAIDSのウィニー・ビャニマ事務局長は述べています。「UNAIDSはご家族や友人に心から哀悼の意を捧げます」

 エイズパンデミックの開始以来、これまでに7900万人がHIVに感染し、3900万人がエイズ関連の病気で亡くなっています。2020年現在の世界のHIV陽性者数は推定3800万人で、そのうち1000万人は必要な治療を受けていません。40年前にリュック・モンタニエによって発見されたウイルスによるパンデミック終結には、この人たちが治療を受けられるようにすることが急務です。

 

 

Co-discoverer of HIV, Luc Montagnier, has died at the age of 89

GENEVA, 11 February 2022—The French virologist and co-discoverer of HIV, Luc Montagnier, sadly died this week. He was an expert on retroviruses and a pioneer in HIV science. He founded and directed the Viral Oncology Unit at the Pasteur Institute in France, where he led the team that discovered HIV, research that was first published in the journal Science in 1983.

He was one of the earliest advocates for promoting HIV prevention and treatment and for fighting against stigma and discrimination against people living with and affected by HIV. In 2008, he was jointly awarded the Nobel Prize in Physiology or Medicine for the discovery of HIV.

“Luc Montagnier dedicated his life to science and his co-discovery of HIV paved the way for research into and development of antiretroviral medicines, which have saved the lives of millions of people around the world,” said Winnie Byanyima, Executive Director of UNAIDS. “UNAIDS sends its heartfelt condolences to his family and friends at this difficult time.”

Since the start of the AIDS pandemic 79 million people have become infected with HIV and 39 million people have died of AIDS-related illnesses. In 2020, there were around 38 million people living with the virus 10 million of whom did not have access to treatment – demonstrating the urgent need to end the pandemic caused by the virus which was discovered by Luc Montagnier 40 years ago.