TOP-HAT News(トップ・ハット・ニュース)第188号(2024年4月)です。今回は11月に東京で開かれる第38回日本エイズ学会学術集会・総会の紹介をメインにしました。《テーマは『HIVに関わるすべてのコミュニティをエンパワー、感染症による人々の分断を終結』。ちょっと長い印象も受けますが、メッセージに託す思いがそれだけ強いということでしょう》
公式サイトに岩橋恒太学会長の主催者挨拶も載っています。是非ご覧ください。
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TOP-HAT News(トップ・ハット・ニュース)
第188号(2024年4月)
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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発マガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
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◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆
1 はじめに コミュニティをエンパワー
2 演題登録は5月15日(水)から
3 「HIVマナブ」
4 2023年の年間報告速報値は960件 エイズ動向委員会
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1 はじめに コミュニティをエンパワー
第38回日本エイズ学会学術集会・総会は今年(2024年)11月28日(木)から30日(土)まで、東京・西新宿の京王プラザホテルで開催される予定です。昨年末には、公式サイトを開設、情報発信にもかなり力が入っています。
テーマは『HIVに関わるすべてのコミュニティをエンパワー、感染症による人々の分断を終結』。ちょっと長い印象も受けますが、メッセージに託す思いがそれだけ強いということでしょう。学会長の岩橋恒太さん(NPO法人akta理事長)は主催者挨拶でこう述べています。
『これらのツールを効果的に活用し、必要な人々に適切なコミュニケーションやサービスを提供するためには、コミュニティのニーズを最もよく知るコミュニティ自体が活躍する、UNAIDSが提唱する「コミュニティ主導アプローチ」が必要です。そしてこのアプローチが成功するためには、障壁を取り除き、コミュニティのエンパワメントが不可欠です』(公式サイトの主催者あいさつから)
さすが。コミュニティセンターaktaの運営主体であるNPO法人のトップとして学会に臨む並々ならぬ決意が伝わってきます。
引用の『これらのツール』については、その直前の段落で『近年ではU=U、多様な検査機会、HIV PrEPなど、様々な複合予防のツールが日本でも揃いつつあります』と書かれています。U=UやPrEPについては確かに国内でも予防のツールとして揃いつつあるとはいえ、まだ社会全体でみると知名度は低く、「何のこと?」と疑問を持たれる方も多いかもしれません。
今学会と直接の関係はありませんが、『UPDATE! いくつ知っている?』という冊子に複合予防(Combination Prevention)も含め、分かりやすく説明されています。つい最近、情報更新版が東京エイズウィークスのサイトにアップされたばかりなので、参考にしてください。
https://aidsweeks.tokyo/update/
話題が少し脱線気味になってきました。38エイズ学会の公式サイトに話を戻しましょう。3月にはマンスリーレポートのvol.1が発行されています。
“臨床・基礎・社会” 3領域のリーダーが期待するコミュニティ主導の「第38回日本エイズ学会学術集会・総会」とは
という見出しのもとで、各領域の部門長から《「第38回日本エイズ学会学術集会・総会」へ期待すること》について聞いています。マンスリーのレポートなので11月までは毎月、つまりvol.9まで発行することになりそうです。
また、X(旧ツィター)の公式アカウントも開設されました。『aktaインターンの現役大学生がフレッシュ(!!)な視点から発信』ということで、こまめに情報提供を続けています。
スタッフの皆さんにはかなり大変な作業になると思いますが、基礎・臨床・社会に加えて国際も含めた4領域の相乗効果を高める鍵はコミュニケーションです。HIV/エイズ分野においてコミュニティとされる人たちのすそ野を広げ、エイズ学会がより親しみやすいものになるような編集を期待したいですね。
2 演題登録は5月15日(水)から
第38回日本エイズ学会学術集会・総会の演題登録は5月15日(水)に開始されます。募集期間は6月27日(木)までです。これまでの経験からすると、締め切り直前になって期間が1~2週間、延長されることもありますが、そういうことは期待せず、早めに準備しておいてください。
先ほどの公式Xには、ポスター、もう観た?・・という投稿もあります。『会場となる #新宿 を題材に、テーマの #コミュニティ と エイズ流行の終結に欠かせない #3つのゼロ を取り入れて描かれています』ということです。演題登録の参考になるかもしれません。
3 「HIVマナブ」
10代後半から20代前半の世代向けにHIV/エイズの基礎知識を学んでもらうためのe-learningシステムです。厚生労働科学研究費補助金エイズ対策政策研究事業「エイズ予防指針に基づく対策の評価と推進のための研究」により作成され、特に高校生を対象に、学校でのHIV/エイズ、性感染症の授業を補完することを目的としています。
公益財団法人エイズ予防財団の公式サイトで利用登録してください。
https://hiv-manabu.jfap.or.jp/
4 2023年の年間報告速報値は960件 エイズ動向委員会
厚労省のエイズ動向委員会は3月26日、国内における2023年の年間新規HIV感染者・エイズ患者報告速報値を公表しました。
【概要】
・新規HIV感染者報告数:669件(過去20年で19番目に多い報告数)
・新規エイズ患者報告数:291件(過去20年で19番目に多い報告数)
・合計新規報告数:960件(過去20年間で19番目に多い報告数)
詳細はエイズ予防情報ネット(API-Net)の日本の状況:エイズ動向委員会『四半期報告 2024年』をご覧ください。委員長コメントのPDF版を開くと、2023年第3・4四半期報告の後ろに年間速報値が出てきます。
https://api-net.jfap.or.jp/status/japan/index.html
あくまで速報値です。確定値は夏の終わりに発表される予定で、速報値より少し上積みされるでしょう。2023年は速報値ベースでもすでに前年より多いのですが、それでも合計報告数は1000件を下回り、過去20年で2番目に少なくなっています。
つまり、過去20年で報告数が最も少なかったのは前年の2022年で、884件(新規HIV感染者報告632件、新規エイズ患者報告252件)でした。