米ホワイトハウスがデボラ・バークス博士をコロナウイルス対策調整官に任命 UNAIDSが歓迎のプレス声明 エイズと社会ウェブ版456

 米ホワイトハウスコロナウイルス対策コーディネーター(調整官)に2月28日、HIV/エイズ対策の責任者であるデボラ・バークス地球規模エイズ調整官が任命されました。トランプ政権のCOVID-19対策を統括するマイク・ペンス副大統領を補佐し、HIV/エイズ対策やグローバルヘルス分野で培った手腕を新たな感染症との闘いに生かすことになります。

 バークス博士はそもそもオバマ政権時代にPEPFAR(米大統領エイズ救済緊急基金)の統括役である地球規模エイズ調整官に就任し、トランプ政権に移行してからも引き続きその任にあるという辣腕の女性です。グローバルヘルス分野の米外交特使でもあり、国際的な評価も高い方だと思います。

 地球規模エイズ調整官にはそのままとどまり、COVID-19にもHIV/エイズ対策で培った知識と経験の蓄積、およびオバマ、トランプ両政権でHIV/エイズ対策を重要な政策課題として維持し続けてきたサバイバル能力というか、調整の手腕には期待がかかります。

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)は29日にさっそく任命を歓迎するプレス声明を発表しました。

www.unaids.org

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 ビヤニマ事務局長はその中で『「HIV対策から得られた洞察力は、今回の新たなウイルスの脅威を封じ込めるうえでも大きな助けになります。疾病のカテゴリーを超えてより協力を深める必要があるのです』と述べています。ただし、『新たな疾病との闘いに際しても、同時に進行している流行に対して油断することはできません』ということも最後にくぎを刺しています。

 今年は7月にサンフランシスコ・オークランドで第23回国際エイズ会議(AIDS2020)が開かれます。米国は大統領選レースたけなわの時期だし、ますます注目の会議になりそうです。オリンピック・パラリンピックも気になるけど・・・。

 以下UNAIDSプレス声明の日本語仮訳です。

 

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 米ホワイトハウスによるデボラ・バークス博士のコロナウイルス対策調整官任命をUNAIDSが歓迎

 

ジュネーブ 2020年2月29日 米ホワイトハウスコロナウイルス対策コーディネーター(調整官)にデボラ・バークス博士が任命されたことをUNAIDSは歓迎します。バークス博士は世界的に有名な医学専門家としてのキャリアを有し、世界のHIV対策の成果にも大きく貢献してきました。米国政府の地球規模エイズ調整官およびグローバルヘルス特使として、HIVに影響を受けているコミュニティとともに活動を続けてきました。

 「デボラ・バークス博士をホワイトハウスコロナウイルス対策調整官に任命したマイク・ペンス副大統領の判断は賢明なものです」とUNAIDSのウィニー・ビヤニマ事務局長は語る。「バークス博士は感染症の制御に何度も比類のない能力を示してきました。効果的な米国のCOVID-19対策策定という任務には極めてふさわしい人物です」

 疾病の特性を見抜き、予防や治療のサービスを必要とする人に素早くそのサービスを提供するには、バークス博士が公衆衛生の専門家としてほぼ30年にわたり蓄積してきたスキルが必要です。病気に関連したスティグマや差別と闘ってきた経験、および人びとを救うための効果的対策の策定に関する理解は彼女が担う新たな役割においても極めて貴重なものです。

 「バークス博士がHIV対策で示されてきた高い専門性がCOVID-19にも生かされることを私は確信しています」とビヤニマ事務局長は言う。「HIV対策から得られた洞察力は、今回の新たなウイルスの脅威を封じ込めるうえでも大きな助けになります。疾病のカテゴリーを超えてより協力を深める必要があるのです。新たな疾病との闘いに際しても、同時に進行している流行に対して油断することはできません」

 

 

PRESS STATEMENT

UNAIDS welcomes the appointment of Deborah Birx as White House Coronavirus Response Coordinator

GENEVA, 29 February 2020—UNAIDS welcomes the appointment of Deborah Birx as the White House Coronavirus Response Coordinator. Ms Birx’s distinguished career as a world-renowned medical expert has included her contribution to the recent progress in the global response to HIV and her commitment to working with communities affected by HIV in her position as the United States Global AIDS Coordinator and United States Special Representative for Global Health Diplomacy.

 “Vice President Mike Pence’s decision to appoint Deborah Birx to serve as the White House Coronavirus Response Coordinator is a wise one,” said UNAIDS Executive Director Winnie Byanyima. “Ms Birx has repeatedly demonstrated her unparalleled ability to control infectious diseases and is extremely well positioned to develop an effective plan to address COVID-19 in the United States of America.”

Connecting people in need quickly with services that prevent, or treat, the effects of disease requires a specialized skill that Ms Birx has developed over her nearly three decades as a public health expert. Her experience with tackling disease-related stigma and discrimination and her understanding of how to develop effective health responses that deliver results for people will be invaluable in her new role.

"I am confident that Ms Birx will translate the expertise she has applied to HIV to COVID-19,” said Ms Byanyima. “The insights gleaned from the response to HIV can be helpful for the containment of this new viral threat. There is a need for more collaborative work across disease categories. Even as we battle new diseases, we must remain vigilant about concurrent epidemics.”