『HIV対策とメンタルヘルスの統合 主要な論点』(UNAIDS) エイズと社会ウェブ版624

 言い訳に過ぎませんが、夏の間は小人閑居して悩み多く、せっかく日本語に訳した資料の紹介も大幅に遅れてしまいました。コロナに関しては7月前半に高齢者として4回目のワクチン接種を済ませたおかげか、なんとか感染せずに切り抜けました。陽性になっちゃったという知り合いもけっこう身近にいたので、知らない間に感染していた可能性もあるかもしれません。ただし、症状と言えるようなものはなかったし、検査を受ける必要性も感じないまま、涼しい季節に突入しそうです。それにしても、この夏の暑さには参ったね、とにかく・・・個人的なことはまあ、いいか。
 国連合同エイズ計画(UNAIDS)の報告書『HIV対策とメンタルヘルスの統合 主要な論点(Integration of mental health and HIV interventions Key considerations)』の冒頭部の日本語仮訳を作成しました。公益財団法人エイズ予防財団の事業の一環として7月にAPI-Net(エイズ予防情報ネット)の『世界の状況・小冊子』欄に掲載されています。遅くなってすいません。 

api-net.jfap.or.jp

 報告書は資料編も含めると90ページに及ぶ大部の冊子なので、とても全部は訳しきれません。仮訳は冒頭の用語説明と序章部分計16ページのみです。悪しからず。『HIVの予防・検査・治療・ケアとメンタルヘルスサービス、そしてHIV陽性者およびキーポピュレーションなど社会的に弱い立場の人たちのケアを統合し、社会保護サービスと結びつけることの重要性』を強調し、その実現に向けた課題を検討しています。
 また、報告書に書かれているわけではありませんが、API-Netの紹介文には『国際社会が共有すべき考え方が示される一方、各国の文化的背景を含めた対応も今後の課題になりそうです』という注釈も付けてあります。

 報告書の主な想定読者は《国や地方自治体の政策立案者、世界レベル・地域レベル・国内および地方レベルのプログラム担当者、保健・HIVメンタルヘルスその他の関連サービス活動を担う組織と担当者、市民社会組織やコミュニティ主導の組織とその支持者》です。
 序章では《メンタルヘルスの状態がHIV感染のリスクを高め、一方でHIV陽性者はメンタルヘルスのリスクを高めるおそれがある。メンタルヘルスの状態がHIV治療の継続を妨げ、リスク行動を促し、HIV予防への関与を低下させることにもなっている》と指摘しています。じゃあ、どうしたらいいのか。
 《メンタルヘルスHIVが相互に関連する課題に取り組むため、この冊子は対策やサービスの統合に向けたツール、成功事例、ガイドラインをまとめている》
 専門用語や独特の言い回しも多く、訳すのはけっこう苦労しました。《この冊子で提示したアプローチは、以下の原則に基づいている》ということで、8つの基本原則を示した図が載っていたので、紹介しておきましょう。えっ?どういうこと・・・と、図を見て関心を持たれた方は日本語仮訳をお読みください。