報告書『COVID-19時代の人権』日本語仮訳版も公表 エイズと社会ウェブ版472

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)の報告書『COVID-19 時代の人権』の日本語仮訳版ができました。API-Net(エイズ予防情報ネット)に掲載されているのでご覧ください。翻訳は公益財団法人エイズ予防財団です。

https://api-net.jfap.or.jp/status/world/booklet.html

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 急性の新興感染症であるCOVID-19には、HIV/エイズの教訓はあまり当てはまらないのでは・・・という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。サイトには報告書の露払いといいますか、こうした疑問にお答えすることができるよう翻訳者による簡単な紹介文も合わせて掲載されています。執筆者(特に名を秘す)の了解を得て再掲しておきましょう。

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 限られたエビデンスのもとで急性新興感染症に対応するには、社会の動きを止めるほどの痛みを伴う対策を選択せざるを得ない。わが国はいまその困難な現実を自粛と協力ベースで打開しようとしています。その中で、エビデンスを補い得るものがあるとすれば、それは過去のパンデミックから得た経験や認識を生かすことでしょう。

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)の報告書『Rights in the time of COVID-19(COVID-19時代の人権)』はHIV/エイズの経験をもとに人権を重視する観点で提言を行っています。長い時間をかけて進行するHIV/エイズの流行から得られた教訓が、必ずしも急性感染症であるCOVID-19にはそのまま当てはめられないということも、部分的あるいは一時的にあるかもしれません。それでも、あふれるように流通する情報の受け止め方やコミュニティ参加を前提にした対策の有効性、そして未知の感染症に対する恐怖や不安に社会や個人がどう向き合い、何に配慮したらいいのかといった点で大いに参考になります。

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 報告書の原文は3月20日にUNAIDSの公式サイトで発表されています。の日本語仮訳の作成に少々、時間がかかってしまいましたが悪しからず。

 なお、報告書冒頭に記載されている7つの主要メッセージを抜き出したチラシはすでに3月30日付でAPI-Netに載っています。こちらは割と早わざでした。合わせてお読みください。(報告書の方はその後の推敲を反映し、日本語版サブタイトルと本文も少し手直ししてあります)。どっちがいいのか、STAY HOMEで暇を持て余している方は(いないと思うけど)ご意見をお聞かせください。