4211 TOP HAT Forumの生みの親 エイズと社会ウエブ版123

 

TOP HAT Forum 東京都HIV/AIDS談話室

 

 HIVに感染している人も、

 していない人も、

 感染しているかどうか分からない人も、

 気軽にお立ち寄りください。

 

 What’s new 新着情報は毎日更新です。

 http://www.tophat.jp/index.html

 

TOP-HAT フォーラム(Talk Over Positive - HIV/AIDS Tokyo =東京都HIV/エイズ談話室)は、HIV/エイズに関する知識と情報を幅広く伝え、エイズの流行について話し合う機会を増やすことを目的にしたHIV/エイズ総合情報サイトです。東京都の委託を受け、特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議(JASA)が運営しています》

 

TOP-HAT フォーラムは20064月に開設され、その年の6月にはTOP-HAT Newsの第1号が発行されています。東京都福祉保健局で当時、エイズ対策を担当され、このサイトの設立に奔走された方がつい先日、亡くなりました。すでにツィッター上では、たくさんのHIV/エイズ関係者が彼女の思い出を語っています。

 

東京都の担当職員としての仕事といってしまえば、それまでなのかもしれませんが、エイズ対策の現場にいる人たちを何とか支えたいという思いにあふれ、それが仕事を仕事以上のものにしていたのではないか。だからこそ当時、東京都のエイズ行政に対してはあまり快く思っていなかった方も、彼女には仲間のような連帯感と信頼感を持って、立場は違うけど、一緒に仕事をして行こうよという気持ちになったのではないか。

 

たくさんの方からの思い出はその表れでもあります。2006年といえば、わが国の新規HIV感染者報告、エイズ患者報告がともに増加を続けていた時期です。大都市圏のゲイコミュニティを中心にした増加のカーブは、このまま行ったら日本が流行の第2フェーズであるConcentrated Epidemic (局限流行期)に突入してしまうだろうと強く危惧されていた時期でもあります。いまもその危惧は消えたわけではありませんが、少なくとも報告ベースでは上昇カーブに歯止めがかかり、ひょっとしたらこれは、新規の感染が増加傾向から横ばい状態に転じたことを示唆するものではないかという議論も出てきています。

 

これから先はどうなるか分からないので、あくまで「少なくとも一時的には」とか、「当面は」といた限定付きではありますが、そうした変化が実際に起きていたのかもしれないという手応えのようなものも少しはありました。仮にそうだとすれば、その要因の一つは、この2006年から始まった5年間の戦略研究の成果であり、もう一つは彼女の存在のおかげで、首都圏のいわゆるMSM(男性と性行為をする男性)コミュニティの間で、東京都のエイズ対策に対する一定の信頼感が生まれ、その大いなる遺産がいまも何とか続いているからではないか。私は戦略研究に関しても、MSMコミュニティに関しても、外野席で野次馬的に傍観していただけですが、うっかり彼女と新宿で飲み歩いてしまったことなども少しはあり、そうした乏しい経験から秘かにそう感じています。

 

 人づてに訃報を聞き、TOP HAT フォーラムもまた、彼女の残した大いなる遺産の一部になってしまったのだなあという、ぽっかり穴の空いたような喪失感に襲われる一方で、さらに情報提供機能の充実をはかり、生前の彼女の叱咤に応えなければなるまいと身の引き締まる思いでもあります。HIV/エイズとの闘いへの長期にわたる支援に感謝するとともに、謹んでお悔やみを申し上げます。