4212 えっ、第4次世界大戦? エイズと社会ウエブ版124

 

 世界基金支援日本委員会の公式サイトに、《世界基金第4次増資について》という資料がpdf版で掲載されています。12月3日に米国の首都ワシントンで世界エイズ結核マラリア対策基金(世界基金)の第4次増資会合が開かれるということなので、この会合の意義や日本政府は会合にどう臨むべきかといったことが分かりやすく説明されている貴重な資料です。 
 常日頃から、不勉強を生存の糧としている私のような記者にとっては大変に助かる資料ですね。ご関心がおありの方は、ぜひお読みください。
 
http://www.jcie.or.jp/fgfj/top.html

  あれ? 歳をとって目がしょぼしょぼしてきたせいか、《世界基金第4次増資会合》という見出しがなぜか、《第4次世界大戦増資会合》に見えてきてしまったぞ。いかん、いかん・・・。病について、戦争モデルで解釈したり、分かったつもりになったりしたがる傾向については、確かスーザン・ソンタグ先生も厳に戒めておられた記憶があります(会ったことはないけど)。医学界の鼻息が荒いこともあって、最近はそういうことをついつい忘れちゃうのね。

  敵は誰か、味方は誰か、そもそも敵とは何か・・・みたいなことをじっくりと考えさせる。これがHIV/エイズの流行に直面して、人々が日常のありふれた生活の中でさえ一生懸命、答えを探していかなければならない大きな課題になった。その切迫さを抜きにして、エイズ対策は語れません。盟友ピーター・ピオットが、ことあるごとにエイズは保健分野のみで対応すべき課題ではないし、対応できる課題でもないと語ってきたのも、そうした背景があるからだと思います。したがって、ピオット博士が仮に日本語で何かを書くとしたら「エイズ撲滅」みたいな表現は決して使わないと思うけれど、それは仮定に仮定を重ねた議論になってしまうし、某新聞社の怒りを買うだけかもしれないので、ここではやめておきましょう。

  ところで、第4次なんだけど、第2次大戦のあとの第3次は東西の冷戦であり、その冷戦の終結に伴って大きく浮上した次の闘いが・・・ということになると、戦争という言葉を好んで使うか、使わないかは別として、エイズとの闘いが、冷戦後の世界にとって、地球規模の大きな闘いであったことは疑うべくもないし、いまもそのような闘いであり続けていると、少なくとも私は思っています。

  だからさ、すべてを投げ打って皆さん、HIV/エイズとの大いなる闘いにはせ参じてよ・・・などということはいいません。いうつもりもありません。

  日本も、世界も、さまざまな問題を抱え、どれ一つとったって解決困難な大きな課題ばかりです。エイズがすべてじゃないよ。もちろん、それは分かっています。分かってはいますが、だからといってエイズ対策はもう放っておけばいいという話にはならないし、世の中が盛り上がっても、盛り下がっても継続的に対応していく人がいたり、セクションがあったりすることは大切です。エイズ対策の中で得られた様々な認識が、冷戦後の社会に変革への深い洞察と大きな勇気を与えてくれた。その意義も現在進行形で極めて重要なのではないでしょうか。

 12月1日の世界エイズデーを中心にした《コミュニティアクション2013》がいよいよ10月15日にスタートします。2カ月間の情報共有型エイズ啓発キャンペーンです。今年は公式ウエブサイトに加え、機動部隊(ありゃ、また戦争モデルになっちゃった)として公式フェイスブックも開設しました。
 
https://www.facebook.com/CommunityActiononAIDS?fref=ts

 不肖私が管理人を担当しております。世界を相手に大きく構えた割には、お願いがあまりにもささやかで恐縮ですが、皆さんにもぜひ、「いいね!」を積極果敢に押していただき、大きな情報共有の流れを生み出す力になっていただけないでしょうか。まあ、はっきりとは言いませんが(言ってるじゃん)、そのようなことを秘かに思っています。粉骨砕身、朝寝坊夜更かし時々昼寝の強行スケジュールも覚悟して2カ月の長丁場に臨む所存であります。情報は使っても使っても減りません。しかも、流通すれば滋養強壮、デフレ脱却、およびHIV感染の予防にも大いに資するのではないかと思います。損して得取れ・・・じゃないや、損せず徳取れということで、どうか皆さん、よろしくお願いします。