新規HIV感染者報告数は増加傾向 東京都エイズ通信第199号

東京都エイズ通信第199号が2月29日、配信されました。
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● 令和6年1月1日から2月18日までの感染者報告数(東京都)
  ※( )は昨年同時期の報告数

HIV感染者      31件    (22件)

AIDS患者       10件    (12件)

合計            41件     (34件)

HIV感染者数は令和5年より増加し、AIDS患者は令和5年より減少している。
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 新規HIV感染者報告数は前年同時期と比べ増加しています。新規エイズ患者報告は2件ですが減少しました。合計では7件の増加となります。都内のHIV検査体制がもとに戻ってきたことの反映でしょうか。HIV対策への関心はどうなのかということも含め、判断は依然、難しいですね。
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早くも2030年以降見据え、HIV対策長期継続アプローチを発表 エイズと社会ウェブ版678

 エイズ終結を2030年までに達成することを国際共通目標として掲げる国連合同エイズ計画(UNAIDS)が1月19日、その目標年である2030年以降を見通して『持続可能なHIV対策入門』という報告書を発表しました。念を押すようですが、今年(2024年)の1月19日です。

  

 エイズ終結は「公衆衛生上の脅威としての」という前提付きの目標なのですが、その前提をすっ飛ばして『終結』の大見得を切ることも少なくなかったので、誤解を避けるためには、いまから軌道修正が必要ということでしょうか。

 そうしないと、あれ? エイズってもう終わったんじゃないの・・・という誤解が広がることにもなりかねません。報告書の翻訳はいずれということで、とりあえずUNAIDS公式サイトに掲載されたFeature story(特集記事)の日本語仮訳を作成しました。API-netでご覧ください。

 https://api-net.jfap.or.jp/status/world/booklet077.html

 《持続可能性とは、現在のHIV対策をそのまま続けることではない。むしろ、HIV対策の成果を持続的に確保することが大切であり、そのためにも、長期的な持続可能性に焦点を移す必要がある。2030年以降も成果の持続性を維持するには、いまから変革に向けた行動が求められている》

 ちょっと分かりにくい。翻訳が良くなかったか・・・。外野席からの説明で恐縮ですが、補足しておきましょう。

 仮に2030年時点でHIV新規感染がゼロになったとしても、世界で3000万人を超える(そして日本国内で約3万人と推定される)HIV陽性者は日々、生活を続けています。その現実は終結しません。

 新規感染がなくなることは、実現すれば、感染症対策上の画期的な成果であり、とりあえずいまは世界中の国々がその成果に向けて対策を強化しています。ただし・・・ということで、Feature Storyの中でUNAIDSは次のように指摘しています。

《予防および治療のサービスを拡大し、2030年目標の達成に向けて安定した環境を確保するには、戦略やサービスの提供が大切なのだが、長期的な持続可能性の確保に必要な手段はそうしたものとは異なってくる。HIVに対する脆弱性を最小限に抑え、サービスへのアクセスを十年以上にわたって確保するうえでは、社会的イネーブラー(課題解決に向けた社会的要因)の活用が極めて重要になるからだ》 

 ということでFeature Storyは《持続可能性の実現には、すでに実施されているものを少しずつ改良していくよりもむしろ、人権に基づき、人を中心に据えて、政策やプログラム、システムを変革すること》の必要性を強調しています。

 現在の対策は続ける必要があるけれど、2030年以降の変革にも備えておかなければならないということで・・・やっぱり分かりにくいか。

 詳しくはAPI-Netの日本語仮訳をご覧ください。報告書も、難物なので時間がかかりそうですが、仮訳作業を進めていきます。

 

『まさしく目からウロコ』 エイズと社会ウェブ版677

 少し報告が遅れましたが、昨年12月1日に発売された大塚隆史さんの『二丁目からウロコ 新宿ゲイ街スクラップブック』の増補改訂版を読みました。連載コラム 多様な性のゆくえ第82回『まさしく目からウロコ』はこの名著を読んだ感想文です。2月15日発行の現代性教育研究ジャーナルNo.155に掲載されました。
 https://www.jase.faje.or.jp/jigyo/journal/seikyoiku_journal_202402.pdf
 12ページに載っています。
 《この本の魅力の一つは、ストーリーテリングの巧みさにある。二丁目都市伝説とでもいうべき話が佳境に差し掛かると、(このあたりで聞いている客の顔はゆがみ、目は点になっている)といったフレーズがカッコ書きですっと入る。バーのカウンター越しに身を乗り出したくなるようなドライブ感覚といいますか・・・》
 《そして、それ以上の魅力が・・・》
 ・・・ばかりですみません。続きは見てのお楽しみということで、ぜひお読みください。

       

 

「みんなの健康を守るには、みんなの権利を守ろう」2024年差別ゼロデー エイズと社会ウエブ版676

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトに2024年差別ゼロデーのキャンペーン特設ページが公開されました。

テーマは'“To protect everyone’s health, protect everyone’s rights。日本語だと「みんなの健康を守るには、みんなの権利を守ろう」あたりでしょうか。

《今年3月1日で差別ゼロデーは10周年を迎えます。すべての人の人権を守る責任は、私たちすべてにあります。差別をなくすために、誰もがその役割を果たすことができるのです。3月1日には、そして3月全体を通じて、この大切な教訓を思い起こし、行動を呼びかけるためのイベントや様々な活動、そして「みんなの健康を守るには、みんなの権利を守ろう」というメッセージが世界に向けて発信されます》

 UNAIDSは2013年12月1日、オーストラリアのメルボルンで開かれた世界エイズデー式典で、3月1日を差別ゼロデーとすることを発表し、翌2014年3月1日が第1回差別ゼロデーとなりました。

 大急ぎで趣旨説明の日本語仮訳も作成したので、参考までに最後に載せておきます。 

 ソーシャルメディア向けのキャンペーン素材もダウンロードできます。

 https://trello.com/b/HuRZd7og/zero-discrimination-day-2024

         

 

2024年差別ゼロデー UNAIDS

みんなの健康を守るには、みんなの権利を守ろう

https://www.unaids.org/en/2024-zero-discrimination-day

すべての人の権利がまもられれば、エイズ終結は可能です。

「公衆衛生上の脅威としてのエイズ終結」の2030年達成に向けて、世界は大きく前進してきました。人権をまもることでもたらされた成果です。

しかし、女性や少女、キーポピュレーションをはじめ、疎外されがちなコミュニティに対して懲罰を科し、差別し、スティグマを生み出す法律や政策、慣行が人権を侵害し、HIVの予防、検査、治療、ケアへのアクセスを妨げている現実もあります。

人びとの権利を侵害する法律を撤廃し、すべての人の権利を擁護する法律を導入することが緊急に必要です。エイズ終結への道は権利擁護の道です。

最近は、女性の権利、LGBTQの人たちの人権、性と生殖に関する健康と権利、民主主義、市民の空間などを脅かす動きが、世界中で、巧妙に組織化され、多額の資金を獲得しています。このことがすべての人にとって、自由への脅威となり、同時にすべての人の健康に対する脅威にもなっています。

こうした脅威に対し、エイズ運動とそれに賛同する人たちは「後退(pushback)を押し戻し(pushing back)」、すべての人の人権を守るという決意を示して、世界の指導者らに自らの約束を思い出すよう求めて活動しています。世界のコミュニティが人権擁護に立ち上がる中で、国連はその味方(on their side)というだけではなく、推進役(by their side)なのです。

今年3月1日で差別ゼロデーは10周年を迎えます。すべての人の人権を守る責任は、私たちすべてにあります。差別をなくすために、誰もがその役割を果たすことができるのです。3月1日には、そして3月全体を通じて、この大切な教訓を思い起こし、行動を呼びかけるためのイベントや様々な活動、そして「みんなの健康を守るには、みんなの権利を守ろう」というメッセージが世界に向けて発信されます。

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ソーシャルメディア向けキャンペーン素材

https://trello.com/b/HuRZd7og/zero-discrimination-day-2024

 

 

 

 

 

ZERO DISCRIMINATION DAY 2024

To protect everyone’s health, protect everyone’s rights

 

We can end AIDS – if everyone’s rights are protected.

The world has made great progress towards the goal of ending AIDS as a public health threat by 2030. That progress has been powered by progress in protecting human rights.

But laws, policies and practices that punish, discriminate against and stigmatize women and girls, key populations, and other marginalized communities violate human rights and obstruct access to HIV prevention, testing, treatment and care.

There is an urgent need to remove laws which harm people’s rights and to bring in laws which uphold the rights of every person. The path that ends AIDS is a rights path.

The recent, well-coordinated and well-funded global pushback against women’s rights, against the human rights of LGBTQ people, against sexual and reproductive health and rights, against democracy and against civic space is not only a threat to everyone’s freedom, it is a threat to everyone’s health.

In response to this threat, the AIDS movement and allies are “pushing back against the pushback,” reminding world leaders of their commitments to uphold all human rights for all people. As communities across the world stand up for rights, the United Nations is not only on their side but by their side.

 

1 March this year is the tenth anniversary of Zero Discrimination Day. Upholding everyone’s rights is the responsibility of us all. Everyone can play a part in ending discrimination. On 1 March, and across the whole month of March, events, activities and messages will remind the world of this vital lesson and call to action: to protect everyone’s health, protect everyone’s rights.

 

 

HIV関連のスティグマ・差別解消に向けて グローバルパートナーシップ報告書 エイズと社会ウェブ版675

 あらゆるかたちのHIV関連スティグマ・差別を解消するためのグローバルパートナーシップ(略称:グローバルパートナーシップ)は2018年の国際人権デー(12月10日)に発足し、活動を続けています。その概要報告が昨年(2023年)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトに掲載されました。
 日本語仮訳はこちらで。

 https://api-net.jfap.or.jp/status/world/booklet075.html

    

 『HIV関連のスティグマと差別は、様々なかたちで、HIVの予防、 治療、 ケアの継続を妨げ、人権とジェンダーの観点から、公衆衛生上の脅威としてのエイズ流行を2030年までに終結させるという目標に立ちはだかる大きな障壁となっている』
 報告書では『保健医療』『働く場(職場)』『教育』『司法制度』『コミュニティ』『緊急事態』の6分野を中心に、スティグマと差別的な行為・政策・法律をなくすための戦略と目標、これまでの活動の成果などが紹介されています。

 

米CDCが東京に東アジア・太平洋地域事務所

 東京に雪が降り、寒さに震え上がった2月5日、感染症対策分野ではおなじみの米疾病対策センター(CDC)の東アジア・太平洋地域事務所が開設されました。家にこもって、テレビもあまり見なかったので、夜遅くまで気が付きませんでしたが、けっこうニュースでもやっていたんですね。参考までにNHKのサイトから。
 『米CDC 新たに日本に事務所を開設で記念の式典』
 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240205/k10014348171000.html
《CDCが新たに「東アジア・太平洋地域事務所」を設けた背景には、新型コロナウイルスが当初、中国を中心に感染が広がったことがあり、今後、日本を含めた各国と速やかな情報共有を行うとともに、検査能力やウイルスの変異を調べるゲノム解析の能力について、各国を支援していくということです》

 事務所は東京港区のアメリカ大使館内に置かれているようですね。CDCの公式サイトにはプレスリリースも載っていました。英文なのでせっせと訳していたら、すでに在日米国大使館と領事館のサイトに日本語仮訳が公表されていました。がっくり。
『米疾病予防管理センターが日本に東アジア・太平洋地域拠点を開設』
https://jp.usembassy.gov/ja/cdc-opens-new-eap-office-in-japan-ja/
プレスリリースによると『新地域オフィスの優先課題は以下の通り』です。
・東アジア・太平洋地域においてより強力な協力とパートナーシップを構築することにより、CDCの中核的な世界健康安全保障能力を拡大
・公衆衛生上の脅威を発見し、迅速に対応する能力
・CDCと地域での知識および情報の交換

《相互の結びつきが強まる今日の世界においては、あらゆる場所で発生する病気の脅威が、米国の健康上の脅威となりえます。病気に国境はありません。CDCはこのことを認識し、世界健康安全保障における米国の目的を推進し、世界で永続的な存在感を確立するため、世界各地に地域オフィスを設立してきました。ここ数年では、南米(ブラジル)、東ヨーロッパ・中央アジアジョージア)、中東・北アフリカオマーン)、東南アジア(ベトナム)に地域拠点を設置しています。本日のEAPオフィスに加えて今年は、後半に中米・カリブ海地域オフィスをパナマに開設予定です》
 保健分野を安全保障課題として位置づける視点は重要です。同時に誰のための安全保障かということも常に考えておかなければなりません。

 

蛇足:プレスリリースの最後にCDCの簡単な説明があります。大使館の日本語仮訳には落ちていたので、そこだけ私の勝手な訳を紹介しておきます。

《CDCは24/7(週7日、毎日24時間休むことなく)、米国の健康と安全、安心を守り続けている。疾病が国内で発生したか海外で発生したかにかかわらず、治療や予防が可能かどうか、慢性か急性か、あるいは人間の活動に由来するものか、意図的な攻撃によるものかにも関わりなく、米国にとって最も差し迫った事態をもたらす健康上の脅威に対応するのがCDCである》

 24/7って何だろう?と少し戸惑いました。2024年7月じゃ意味をなさないし・・・。そういえば昔、五月みどりさんの『一週間に十日来い』という歌があったなあなどと昭和のおじさんの連想は妙なところに飛んでいく。

 CDCの訳語は『疾病対策センター』と『疾病予防管理センター』の両方が出てきます。以前は『疾病対策センター』でしたが、英語の名称が Center for desease Controlにand Preventionが加わり、『疾病予防管理センター』に代わっています。ただし、最近は、やっぱり簡潔な方がいいかなあ、ということでマスメディアなどでは『疾病対策センター』に回帰する傾向が強くなっているようです。

 

テーマはピープル・ファースト

 

 

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TOP-HAT News(トップ・ハット・ニュース)

        第185号(2024年1月)

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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発マガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。

なお、東京都発行のメルマガ「東京都エイズ通信」にもTOP-HAT Newsのコンテンツが掲載されています。購読登録手続きは http://www.mag2.com/m/0001002629.html  で。

エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部

 

 

◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

 

1 はじめに テーマはピープル・ファースト

 

2 東京レインボープライドは『変わるまで、あきらめない』

 

3 『彼らには語るべき物語がある』

 

4 梅毒を特集 感染研IASR

 

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1 はじめに テーマはピープル・ファースト

国際エイズ学会(IAS)が主催する第25回国際エイズ会議(AIDS2024)が今年7月22~26日にドイツのミュンヘンで開かれます。

テーマは『Put people first!』(人を第一に考えよう)です。HIV/エイズ対策の文脈で『人を第一に考える』とは、どういうことなのか。会議公式サイトのテーマ紹介ページに趣旨説明が載っています。

 https://www.iasociety.org/conferences/aids2024/about/theme

《それは、最も大きな影響を受けている人の立場で解決策を考えることです。たとえば、対策が届かないことの問題点は、届かない人たちにあるのではなく、サービスはなぜ届かないのかを考える必要があります。HIV対策は、個々の人のために、とりわけ最も弱い立場に置かれた人たちのために構築しなければならないのです》

趣旨説明の日本語仮訳を、エイズソサエティ研究会議HATプロジェクトのブログに掲載しました。

https://hatproject.seesaa.net/article/501807942.html

IASのシャロン・ルーウィン理事長はその中で『臨床試験の設計や政策策定、その他すべての面において、HIV陽性者、そしてHIVの影響を受けている人たちは、受益者としてとらえるべきではありません。対策を推進する主体なのです』と語っています。

具体的には何をしていくのでしょうか。趣旨説明では、たとえば・・・ということで、保健医療サービス、研究、言語について取り上げています。

  • それぞれの人のニーズに基づく保健医療サービスを提供できるようにする。
  • コミュニティが研究活動に主体的に参加できる条件を整える。
  • HIV陽性者やHIVの影響を受けている人へのスティグマや差別を助長する言葉を避け、人間を中心に考えた言語を使っていく。

言語については、制限を設けることで、自由な発想を妨げてしまうリスクも一方ではあります。この点はIASもかなり気を使っているようで、参考資料として2021年の第11回HIV科学会議(IAS2021)で発表された「ピープル・ファースト宣言」も紹介しています。

《最終的には、すべてのコミュニティが望ましい言語を使うようになることを目指しています。ただし、その前段階として、自分たちが自らの領域で適切な用語を一貫して使えるようになる必要があります。自分たちのフィールドから始め、そして世界へ!です》

HIV科学会議は、隔年開催の国際エイズ会議の間の年に開かれる会議です。2021年はベルリンが開催都市だったのですが、コロナ流行の影響を考慮しバーチャル開催に変更されました。3年後に同じドイツのミュンヘンで開かれる国際エイズ会議のテーマとして、当時の成果文書が引き継がれるかたちになります。言葉をめぐる課題を重視するIASの姿勢の反映とみるべきでしょう。

「ピープル・ファースト宣言」も抄訳のかたちで日本語仮訳をHATプロジェクトのブログに掲載しました。あわせて参考にしてください。

https://hatproject.seesaa.net/article/501944851.html

 

 

2 東京レインボープライドは『変わるまで、あきらめない』

 東京レインボープライド2024の日程が発表されました。

 プライドフェスティバルは4月19日(金)~21日(日)の3日間、代々木公園で。

 パレードは最終日の21日に予定されています。

 詳細は公式サイトで確認してください。

 https://tokyorainbowpride.com/

 今年のテーマは『変わるまで、あきらめない』です。

《1994年に日本で初めてプライドパレードが開催されてからまる30年という月日が経ちます。これまで諦めることなく声を上げ続けた一人ひとりの歩みの積み重ねが、社会に大きな変化をもたらしました。しかし、LGBTQ+に関する認識は大きく変わった一方で、進まぬ法整備など、まだまだ課題は山積みです。LGBTQ+に限らず、誰もが安全に自分らしく過ごせる社会が実現できるまで、あきらめずに歩みを止めない、という思いを込めて、このようなテーマとさせて頂きました》 (公式サイトから)

 

 

3 『彼らには語るべき物語がある』

 2020年度トニー賞のベストプレイ賞など4部門を受賞した「インヘリタンスー継承―」が2月11日(日)から24日(土)まで、東京芸術劇場プレイハウス(JR池袋駅西口徒歩2分)で上演されます。

《2015~18年のNYを舞台に、1980年代のエイズ流行初期を知る60代と、若い30代・20代の3世代のゲイ・コミュニティの人々の愛情、人生、尊厳やHIVをめぐる闘いを描いた作品》(公式サイトから)

 今回の公演を特別後援している日本国際交流センター(JCIE)/グローバルファンド日本委員会(FGFJ)は昨年11月30日に都内で日本版公演記念セミナー『40年のパンデミック エイズの教訓を受け継ぐ』を開催しています。

 セミナーでは、主演の福士誠治さんが登壇し、NPO法人ぷれいす東京の生島嗣代表らとのトークセッションに臨みました。福士さんが演じるエリックはNYに住む30代のゲイ男性で、祖父から受け継いだ大きな家に住み、現代の若いゲイと60代のゲイの間をつなぐ役どころで、福士さんは作品について「人が人を愛する。愛にあふれた作品だと思う。男同士、男女、親子、いろいろな愛があふれる」と語っていました。公演の詳細は公式サイトでご覧ください。

 https://www.inheritance-stage.jp/

 東京公演の後には大阪公演(3月2日、森ノ宮ピロティホール)、北九州公演(3月9日、J:COM北九州劇場 中劇場)が予定されています。

 

 

4 梅毒を特集 感染研IASR

 国立感染症研究所が発行するIASR(病原微生物検出情報)が2023年12月号で梅毒を特集しています。

 https://www.niid.go.jp/niid/ja/syphilis-m-3/syphilis-iasrtpc/12410-526t.html

『梅毒届出数は1948年以降約50年間で大きく減少した。しかし, 2011年に増加に転じ, 特に2021年以降, 届出数が急増している』『2022年の年間届出数は13,258例となり, 半世紀ぶりの高水準を記録した』(患者発生動向 から)

『国内の疫学から示唆された梅毒感染リスクの高い集団に対して, 不特定多数の人との性的接触が感染リスクを高めること, 口腔性交や肛門性交でも感染すること, コンドームの適切な使用で感染リスクを下げられること, 梅毒が疑われる症状が自然に消退しても医療機関を受診する必要があること, 梅毒が治癒しても新たな罹患は予防できないこと, などの啓発が重要である』(公衆衛生対応 から)