米CDCが東京に東アジア・太平洋地域事務所

 東京に雪が降り、寒さに震え上がった2月5日、感染症対策分野ではおなじみの米疾病対策センター(CDC)の東アジア・太平洋地域事務所が開設されました。家にこもって、テレビもあまり見なかったので、夜遅くまで気が付きませんでしたが、けっこうニュースでもやっていたんですね。参考までにNHKのサイトから。
 『米CDC 新たに日本に事務所を開設で記念の式典』
 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240205/k10014348171000.html
《CDCが新たに「東アジア・太平洋地域事務所」を設けた背景には、新型コロナウイルスが当初、中国を中心に感染が広がったことがあり、今後、日本を含めた各国と速やかな情報共有を行うとともに、検査能力やウイルスの変異を調べるゲノム解析の能力について、各国を支援していくということです》

 事務所は東京港区のアメリカ大使館内に置かれているようですね。CDCの公式サイトにはプレスリリースも載っていました。英文なのでせっせと訳していたら、すでに在日米国大使館と領事館のサイトに日本語仮訳が公表されていました。がっくり。
『米疾病予防管理センターが日本に東アジア・太平洋地域拠点を開設』
https://jp.usembassy.gov/ja/cdc-opens-new-eap-office-in-japan-ja/
プレスリリースによると『新地域オフィスの優先課題は以下の通り』です。
・東アジア・太平洋地域においてより強力な協力とパートナーシップを構築することにより、CDCの中核的な世界健康安全保障能力を拡大
・公衆衛生上の脅威を発見し、迅速に対応する能力
・CDCと地域での知識および情報の交換

《相互の結びつきが強まる今日の世界においては、あらゆる場所で発生する病気の脅威が、米国の健康上の脅威となりえます。病気に国境はありません。CDCはこのことを認識し、世界健康安全保障における米国の目的を推進し、世界で永続的な存在感を確立するため、世界各地に地域オフィスを設立してきました。ここ数年では、南米(ブラジル)、東ヨーロッパ・中央アジアジョージア)、中東・北アフリカオマーン)、東南アジア(ベトナム)に地域拠点を設置しています。本日のEAPオフィスに加えて今年は、後半に中米・カリブ海地域オフィスをパナマに開設予定です》
 保健分野を安全保障課題として位置づける視点は重要です。同時に誰のための安全保障かということも常に考えておかなければなりません。

 

蛇足:プレスリリースの最後にCDCの簡単な説明があります。大使館の日本語仮訳には落ちていたので、そこだけ私の勝手な訳を紹介しておきます。

《CDCは24/7(週7日、毎日24時間休むことなく)、米国の健康と安全、安心を守り続けている。疾病が国内で発生したか海外で発生したかにかかわらず、治療や予防が可能かどうか、慢性か急性か、あるいは人間の活動に由来するものか、意図的な攻撃によるものかにも関わりなく、米国にとって最も差し迫った事態をもたらす健康上の脅威に対応するのがCDCである》

 24/7って何だろう?と少し戸惑いました。2024年7月じゃ意味をなさないし・・・。そういえば昔、五月みどりさんの『一週間に十日来い』という歌があったなあなどと昭和のおじさんの連想は妙なところに飛んでいく。

 CDCの訳語は『疾病対策センター』と『疾病予防管理センター』の両方が出てきます。以前は『疾病対策センター』でしたが、英語の名称が Center for desease Controlにand Preventionが加わり、『疾病予防管理センター』に代わっています。ただし、最近は、やっぱり簡潔な方がいいかなあ、ということでマスメディアなどでは『疾病対策センター』に回帰する傾向が強くなっているようです。