早くも2030年以降見据え、HIV対策長期継続アプローチを発表 エイズと社会ウェブ版678

 エイズ終結を2030年までに達成することを国際共通目標として掲げる国連合同エイズ計画(UNAIDS)が1月19日、その目標年である2030年以降を見通して『持続可能なHIV対策入門』という報告書を発表しました。念を押すようですが、今年(2024年)の1月19日です。

  

 エイズ終結は「公衆衛生上の脅威としての」という前提付きの目標なのですが、その前提をすっ飛ばして『終結』の大見得を切ることも少なくなかったので、誤解を避けるためには、いまから軌道修正が必要ということでしょうか。

 そうしないと、あれ? エイズってもう終わったんじゃないの・・・という誤解が広がることにもなりかねません。報告書の翻訳はいずれということで、とりあえずUNAIDS公式サイトに掲載されたFeature story(特集記事)の日本語仮訳を作成しました。API-netでご覧ください。

 https://api-net.jfap.or.jp/status/world/booklet077.html

 《持続可能性とは、現在のHIV対策をそのまま続けることではない。むしろ、HIV対策の成果を持続的に確保することが大切であり、そのためにも、長期的な持続可能性に焦点を移す必要がある。2030年以降も成果の持続性を維持するには、いまから変革に向けた行動が求められている》

 ちょっと分かりにくい。翻訳が良くなかったか・・・。外野席からの説明で恐縮ですが、補足しておきましょう。

 仮に2030年時点でHIV新規感染がゼロになったとしても、世界で3000万人を超える(そして日本国内で約3万人と推定される)HIV陽性者は日々、生活を続けています。その現実は終結しません。

 新規感染がなくなることは、実現すれば、感染症対策上の画期的な成果であり、とりあえずいまは世界中の国々がその成果に向けて対策を強化しています。ただし・・・ということで、Feature Storyの中でUNAIDSは次のように指摘しています。

《予防および治療のサービスを拡大し、2030年目標の達成に向けて安定した環境を確保するには、戦略やサービスの提供が大切なのだが、長期的な持続可能性の確保に必要な手段はそうしたものとは異なってくる。HIVに対する脆弱性を最小限に抑え、サービスへのアクセスを十年以上にわたって確保するうえでは、社会的イネーブラー(課題解決に向けた社会的要因)の活用が極めて重要になるからだ》 

 ということでFeature Storyは《持続可能性の実現には、すでに実施されているものを少しずつ改良していくよりもむしろ、人権に基づき、人を中心に据えて、政策やプログラム、システムを変革すること》の必要性を強調しています。

 現在の対策は続ける必要があるけれど、2030年以降の変革にも備えておかなければならないということで・・・やっぱり分かりにくいか。

 詳しくはAPI-Netの日本語仮訳をご覧ください。報告書も、難物なので時間がかかりそうですが、仮訳作業を進めていきます。