世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)の設立20周年を記念するドキュメンタリーフィルムシリーズ『何事も夢から始まる』の特別編(世界の感染症対策の「今」と「未来」)が、グローバルファンド日本委員会(FGFJ)の公式サイトで8月24日から公開されています。
https://fgfj.jcie.or.jp/news/2022-08-24_gf20film/
《設立から20年、グローバルファンドの支援により、4400万の命が救われ、支援した国では、エイズ、結核、マラリアによる年間死亡者数が46%減少しました。その目覚ましい成果の背景には、数えきれないほど多くの人たちの絶え間ない努力と三大感染症の終息実現への想いがあります》
グローバルファンドは2002年1月に創設されています。特別編は世界がコロナウイルス感染症CPVID-19の流行という新たなパンデミックに直面する中で、グローバルファンド設立の経緯を振り返り、20年の活動の意義と実績を伝えるドキュメンタリーシリーズの第1弾です。
クレジットをみると、FGFJの事務局でもある公益財団法人 日本国際交流センター(JCIE)が企画・統括責任となっています。グローバルファンドは途上国の感染症対策に資金を提供する国際機関という印象が強く、意地悪な言い方をすれば「日本は例によってお金を出すだけ」といった感じで、国内ではいまいち存在意義が伝わらない印象もあります。
日本語で日本の関係者によって世界の課題を共有するドキュメンタリーフィルムが20周年の節目で、しかも「感染症対策はもういいんじゃね?」などと言っていられない国内事情も抱える中で作成されたことは、極めて重要だと思います。
そんなに重要ならなんでもっと早く紹介しないの?と言われそうですが、個人的には少々、ためらいもありまして・・・。
実は特別編のコメント提供者として、私も加えてもらったのですが、他の方々の怜悧で説得力のある発言の中で、どうも私だけ意味不明と言いますか、「何を言っているんだか」という感じになってしまい、映像的にも「俺って、もうこんなに齢を取っちゃったの?」という印象なので、躊躇しました、すいません。
シリーズは特別編に続き、9~11月に1本ずつ、後3本が公開予定です。
《エピソード1 ベトナム・結核編:生死をさまよい、今は希望をつなぐ当事者代表へ》
《エピソード2 エルサルバドル・マラリア編:夢をかなえたエルサルバドル~マラリアフリー達成~》
《エピソード3 ナイジェリア・エイズ編:撮影中のためタイトル未定》
うかうかすると、もうエピソード1が載っちゃいます。ここは私情を超え、感染症対策分野における日本の息の長い貢献を評価する意味でも、紹介することにします。
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なお、グローバルファンドは、日本をはじめとする世界各国や民間のドナーからの拠出金で運営されており、3年に1回、その資金を確保するための増資会合が開かれます。
今年はその増資会合の年で、各国が「うちは今後3年間にいくらいくらの額を拠出します」という誓約を行うことになっています。エイズ、結核、マラリア対策だけでなく、コロナを含めた今後のパンデミック対策に備えて保健基盤を強化する意味でも、会合の成否は大きな意味を持っています。
9月にニューヨークで開かれる第7次増資会合で、日本は10.8億ドルの新たな拠出を誓約する予定です。チュニジアのTICAD8(第8回アフリカ開発会議)で、コロナにかかってリモート参加になった岸田首相が8月27日、明らかにしました。前回の第6次増資における日本の拠出誓約額8.4億ドルから約30%増えています。頑張りました。でも、大盤振る舞いではありません。大切な貢献です。課題解決に向けて世界の流れを変えるかもしれません。感染症対策一つをとっても、政権に対する批判はあり過ぎるほどありますが、評価できるところは評価したい。