グローバルファンド日本委員会(FGFJ)は、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)の活動を支援する日本国内の応援団です。
『エイズ、結核、マラリアと いう世界の三大感染症の克服のために日本がより大きな国際的役割を果たせるよう、政府、学界、市民社会、経済界などの有識者や、超党派の国会議員の参加を得て様々な取組みを行っています』(FGFJ公式サイトから)
その超党派の国会議員の中の14人を含め25人が出席した第30回議員タスクフォース会合が6月16日に開かれました。
会合といっても、このご時世ですからオンライン開催ですが、その利点もあります。グローバルファンドのピーター・サンズ事務局長も(たぶんジュネーブだと思うけど)海外から参加し、新型コロナウイルス感染症の影響とその対応についてブリーフィングを行うというタイムリーなプログラムが実現しました。
もちろん、何かにつけてタイムリーでない人生を送ってきた私はここでも出席できていませんが、FGFJの公式サイトには、その詳しい報告が掲載されています。
内容をちょっとだけ紹介しておきましょう。
《アフリカの中でも特に、南アフリカでは新型コロナウイルス感染症の感染者が最も多く、他の感染症への影響も既に確認されている。具体的には、HIVの検査数が25%減少、結核の検査数も半分に減っている。アフリカを含めた低・中所得国に共通しているのは、新型コロナウイルス感染症による直接的な死亡数よりも、間接的な死亡数の方がはるかに多くなる見込みであることだ》
新型コロナウイルス感染症の重症化リスクは高齢層に特に高いとされているので、若年人口が多いアフリカでは、『直接的な死亡率はそれほど高くならない可能性がある』ということです。ただし、保健システムが脆弱なこともあり、他の疾病に及ぼす影響は深刻です。
図はいくつかの研究に基づく影響予測です(ブリーフィング資料から)。
こうした現状認識を踏まえ、グローバルファンドは支援対象をエイズ・結核・マラリアの三大感染症に限定せず、一定の範囲で「柔軟な資金活用」を行っています。
また、サンズ事務局長は、グローバルファンド支援対象国における追加資金の活用ニーズとして次の4点をあげています。
・既存のエイズ、結核、マラリア・プログラムを新型コロナウイルス感染症の事態に適応させる。
・脆弱化した保健システムが新型コロナウイルス感染症の影響により崩壊しないようにする。
・保健医療従事者に対してマスクなどの個人防護具を提供する。
・低・中所得国において、新型コロナウイルス感染症の診断・検査能力を強化する。治療薬が開発され、利用可能になった際には、全ての国に治療薬が適切な価格で配布されるようにする。
我が国にとって低・中所得国の流行は他所事ではありません。国境を閉ざすのではなく、国境を越えて協力することが大切です・・・ということは、もはや言わずもがなの世の中です。それと同時に個々のコミュニティが主体となって、それぞれの実情に合わせた対策を組み立てていけるようにしなければ、地球規模の対応も成立しません。
重要な指摘はまだまだたくさんあり、とてもブリーフィングの内容をすべて紹介することはできないので、詳しくはFGFJ公式サイトの報告をご覧ください。図表を豊富に使ったブリーフィング資料もダウンロードできます。
参考までにこちらは英文レポート。fgfj.jcie.or.jp