米国の大統領選挙は民主党のジョー・バイデン、カマラ・ハリスの正副大統領候補が11月7日、勝利宣言を行いました。現職のドナルド・トランプ大統領は敗北宣言をしておらず、法廷闘争に訴え、逆転を狙う姿勢を崩していませんが、どうも勢いは失速気味です。
バイデン氏の勝利宣言を受け、世界各国の指導者が相次いで歓迎や祝福の意を表しているので、あくまで新聞やテレビのニュースを見た範囲での感想としていえば、もはや「勝負あった」ではないかと個人的には思います。
国連機関は微妙な立場ですが、「もういいかな」という感じでしょうか。国連合同エイズ計画（UNAIDS）は10日、バイデン氏、ハリス氏に対する祝福のプレス声明を発表しました。もちろん、トランプ氏が再選されないでよかったなどとは、どこにも書いてはいません。米国歴代政権の多大な貢献には、ひたすら感謝の意を表しています。
でも、そこはかとなく、よかった感が漂っているようなニュアンスを感じ取ってしまうのはたぶん、私が予断を持って読もうとしてしまうからでしょうね。
以下、日本語仮訳です。
米大統領選のジョー・バイデン氏および副大統領候補のカマラ・ハリス氏の選挙結果を祝福
国連合同エイズ計画（UNAIDS）プレス声明
ジュネーブ 2020年11月10日 － ジョー・バイデン氏が次期大統領、カマラ・ハリス氏が次期副大統領となる米大統領選の結果をUNAIDSは祝福します。
「いまなおワクチンもなく、完治療法もない状態でエイズの終結を目指すという課題に米新政権と協力して挑むことをUNAIDSは楽しみにしています」とウィニー・ビヤニマ事務局長は語っています。「COVID-19とHIVという2つパンデミックは、世界の連帯と責任の共有がこれまで以上に必要なことを示しています。医薬品や保健サービス、困難な課題の解決策を誰もが取り残されることなく公平に利用できるようにしなければならないのです」
2019年には、年間で約170万人が新規にHIVに感染し、69万人がエイズ関連の病気で亡くなっています。1996年のUNAIDS発足以来、UNAIDSと米国政府はHIV予防と治療の普及に向けた目標を達成するため、HIVの影響を最も大きく受けている国々で緊密に協力を続けてきました。
米大統領エイズ救済緊急計画（PEPFAR）を通じ、米国政府はこれまで、世界のHIV対策に850億米ドル以上の投資を行ってきました。単一の病気に取り組む対策としては、他のいかなる国の追随も許さない世界最大の資金関与です。エイズ終結に向けて米国の歴代政権がPEPFARおよび世界エイズ・結核・マラリア対策基金（グローバルファンド）への拠出を通して超党派の支援を継続し、データに基づいてエビデンスに配慮した効果的な対策を進めてきたことで、世界中の何百万、何千万という男性、女性、および子供たちの生命が救われ、より長く、健康的な生活を送れるようになったのです。
エイズ終結に向けたこの成果を確実なものにするには、この先数カ月、さらには数年間にわたって協調的かつ戦略的な努力を続けていく必要があります。COVID-19が世界中の人びとの健康を脅かしているいまは、とりわけそうした努力が必要です。この二重のパンデミックを終わらせ、より安全で健康的な世界を実現するためにUNAIDSは米国と緊密な協力を続けられるようになることを期待しています。
PRESS STATEMENT
UNAIDS congratulates President-elect Joe Biden and Vice President-elect Kamala Harris on their election
GENEVA, 10 November 2020—UNAIDS congratulates President-elect Joe Biden and Vice President-elect Kamala Harris on the recent election results in the United States of America.
“UNAIDS looks forward to working with the new United States administration on the challenge of ending AIDS, for which there is still no vaccine and no cure,” said Winnie Byanyima, Executive Director of UNAIDS. “The colliding pandemics of COVID-19 and HIV are evidence that global solidarity and shared responsibility is needed now more than ever before to ensure that no one is left behind and that medicines, services and solutions can be accessed equitably.”
In 2019, around 1.7 million people became infected with HIV and 690 000 people died of AIDS-related illnesses. UNAIDS and the United States Government have collaborated closely since the inception of UNAIDS in 1996, to accelerate progress towards global HIV prevention and treatment targets in the countries most affected by HIV.
Through the United States President’s Emergency Plan for AIDS Relief (PEPFAR), the United States Government has invested more than US$ 85 billion in the global response to HIV, the largest commitment by any nation to address a single disease. Strong bipartisan support for investments to end AIDS across successive administrations and effective, data-driven and evidence-informed HIV programming through PEPFAR and investments to the Global Fund to Fight AIDS, TB and Malaria, have enabled millions of men, women and children to live longer, healthier lives.
To ensure continued success towards ending AIDS, concerted, strategic efforts in the months and years ahead will be needed, especially at a moment when COVID-19 threatens the health of people all around the world. To end these dual pandemics UNAIDS looks forward to continuing to work closely with the United States for a safer, healthier world.
