確かに減ってはいるけれど・・・報告の読み方が難しい  東京都エイズ通信第157号

 メルマガ  東京都エイズ通信の第157号(2020年9月28日)が発行されました。  

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令和2年1月1日から令和2年9月20日までの感染者報告数(東京都)

    ※( )は昨年同時期の報告数

 

HIV感染者     207件   (230件)

AIDS患者       60件    (51件)

合計          267件   (281件)

 

HIV感染者数は昨年度よりも減少し、AIDS患者は増加している。

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 新型コロナウイルス感染症COVID-19の影響で、新規HIV感染者報告は、前年より減少していますが、減少率はなんとか1割程度に収まっています。報告の減少はHIVに感染している人が早期に感染を把握し、治療につながる機会が減っていることを示している可能性があります。

ただし、そうした逆境にありながら、大報告ベースではきな落ち込みを防ぎ、なんとか踏みとどまっているのは、むしろ特筆すべき成果でもあります。

どうしてなのか。東京都の場合、都内の保健所での検査がほぼ期待できなくなっている間も、東京都南新宿東京都南新宿検査・相談室/東京都多摩地域検査・相談室は検査を継続していました。つまり、早期の検査と治療の開始が必要な層には、情報も受検の機会もぎりぎりのところではありますが、なんとか提供できていた。そうしたインフラがこれまでの対策の蓄積の中で整えられ、危機に対応できた結果ではないか。詳細にデータを検討したわけではありませんが、私にはそう感じられます。

今月発表された、エイズ動向委員会の2020年上半期の報告でも、前年同時期と比べると報告数は減っているものの、減少の程度を検討すると、懸念の範囲の中では比較的、小さかったのではないかという印象があります。同じような傾向とみていいのかどうか。それともCOVID-19対策がHIV/エイズ対策にもたらす影響は、これからじわっと広がっていくことになるのか。

もちろん、こうした結果(途中経過ではありますが)に至る背景は、ほかにもいろいろ考えられるでしょう。分析の結果はこうでしたよという報告がどこかであれば、私の感想が的外れであったのか、なかったのか、ぜひ教えてください。

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