危機感のオーバーシュートも怖い

 新型コロナクラスター対策専門家のツィターで、東北大学の押谷仁教授が『皆様に伝えたいメッセージ』を発信しています。「たくさんの方々に読んでいただけたら」ということなので、ツィターほどの発信力はありませんが、当ブログでも紹介しておきましょう。 

 

 《現在は多くの皆さんが危機感を持っていろいろな取り組みをしてもらっていますが、逆に危機感のレベルがオーバーシュートしてしまっているようにも感じられます》

 具体的にどういうことか、まず、医療の供給体制ですが、押谷教授がこれまで指摘してきたのは「非常に低いレベルに設定されている人工呼吸器などの集中治療の限界を超える危険性が目前に迫っている」ということだそうです。もちろん、重症化した人を救うという意味で、回避しなければならない事態ではありますが、欧米でみられている「医療全体の崩壊」とは大きな隔たりがあり、「日本の状況はまだそのレベルではまったくありません」ということです。

 また、日本で緊急事態宣言が出されると、直ちに東京や大阪などの都市封鎖(ロックダウン)が行われるのではないかという見方についても「誤った見方」とし、「東京や大阪の状況はニューヨークなどの状況とは全く異なります」と強調しています。では、どういう状況なのかということもメッセージの中で説明されているので、是非、本文をお読みください。

 「いわゆる『3密』の環境にあるホットスポットに行きさえしなければ、東京や大阪で普通の生活をしていて感染するリスクは非常に低いのが現在の状況です」

 感染者が指数関数的に増える「オーバーシュート」が起きるメカニズムについては、クラスター対策班の解析から、『3密』の環境で大きな声を出すことが多くの感染者を生じさせることが分かってきているということです。

 「社会不安が増大し、商店・検査センター・医療機関などに多くの人が殺到し大きな声で不満を言うような状況が生まれると感染者が指数関数的に増えると考えられます」

 これもまずいなあ。危機感を欠いてはいけない。油断は禁物です。ただし、不安がオーバーシュートしてしまっては、危機に対応することもできなくなってしまいます。どうすればいいのか。カギを握るのは情報です。押谷教授のメッセージを読んだだけでも「そういうことなのか」と少し落ち着いてきました。

 クラスター対策班のツィター、なかなか使えそうですね。