『In Danger(危機的状況)』 UNAIDS2022年年次報告書 エイズと社会ウェブ版621

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)の年次報告書(Global AIDS Update 2022)が7月27日、発表されました。タイトルは『In Danger(危機的状況)』です。赤い表紙はレッドリボンの赤ではなく、危険信号の赤でしょう。

    

 プレスリリースの日本語仮訳がAPI-Netに掲載されています。

api-net.jfap.or.jp


 『COVID-19その他の世界的危機により、HIVパンデミック対策は過去2年にわたって後退を続け、資金も縮小している。その結果、何百万という人たちの命が危険に曝されている・・・』
 API-Netの紹介文には『プレスリリースの書き出しも、タイトル同様、危機感をはっきりと前面に押し出しています』と書かれています。UNAIDSのデータによる世界全体のHIV感染者推計では、新規HIV感染の減少傾向が続いていますが、前年と比べた下げ幅は過去10年で最も小さくなっています。とくに、世界最大の人口規模を有するアジア太平洋地域のHIV感染件数が2021年には、これまでの減少傾向から増加に転じているということです。増加率はごくわずかのようですが、見逃せない変化です。
 2021年のデータには、ロシアによるウクライナ侵攻の影響はまだ含まれていませんが、コロナ流行の長期化と合わせ、HIV/エイズ対策をめぐる状況は一段と悪化しています。日本はどうでしょうか。
 報告書は376ページもありますが、UNAIDSのサイトにはExecutive SummaryのPDF版も掲載されています。25ページくらいの要約版なのでこれなら少し時間をかければ日本語仮訳で紹介できそうです。秋風の吹くころになってしまいそうですが、しばしお待ちください。