昨年1年間の国内における新規HIV感染者・エイズ患者報告数の速報値が24日、厚生労働省のエイズ動向委員会から発表されました。
新規HIV感染者報告 1075件
新規エイズ患者報告 445件
合計 1520件
報告数の合計が過去最高だった前年(2013年)の確定値1590件と比べると70件減少しています。ただし、毎年5月ごろにまとまる確定値は、速報値より少し報告数が上積みされるので、そのまま比較することはできません。
2013年も速報値段階では次のようになっていました。
新規HIV感染者報告 1077件
新規エイズ患者報告 469件
合計 1546件
速報値同士を比較すると昨年は過去最高だったその前年(2013年)より微減といったところでしょうか。これまでにも指摘されていた高止まりの状態で横ばいという傾向が継続しています。詳細な分析は確定値段階の報告を待つことにして、速報値に対する動向委員会の委員長コメントのまとめ部分だけ紹介しておきます(速報値概要および委員長コメントはAPI-Netで見ることができます)。
http://api-net.jfap.or.jp/status/index.html
《まとめ》
1.平成26年は速報値ではあるが、ここ数年間、新規HIV感染者報告数と新規AIDS患者報告数を合わせて1500件台で推移しており、横ばい傾向である。
2.新規HIV感染者及び新規AIDS患者報告の感染経路としては、性的接触によるものが8割以上を占めている。HIV感染症は予防が可能な感染症である。HIVに感染していない者においては、適切な予防策をとること、HIVに感染した者においては、まずは自分の感染を知ることが、今後の感染拡大を防ぐために重要となる。国民の皆様には、保健所の無料・匿名での相談や検査の機会を積極的に利用頂きたい。
3.平成26年は速報値ではあるが、保健所等におけるHIV抗体検査件数及び相談件数は、平成25年に続き増加した。保健所等におけるHIV抗体検査件数に対する陽性件数の割合は横ばい傾向であった。
4.速報値ではあるが、献血における10万件当たりの陽性者件数は過去3年間でほぼ横ばいであった。血液製剤によるHIV感染を防ぐため、HIV感染症が疑われる場合、国民の皆様には保健所での無料・匿名検査を積極的に利用頂きたい。
5.新規HIV感染者・AIDS患者報告数に占めるAIDS患者報告数の割合は、約3割のまま推移している。早期発見は個人においては早期治療、社会においては感染の拡大防止に結びつく。自治体におかれては、エイズ予防指針を踏まえ、引き続き利便性に配慮した検査相談体制を推進していただきたい。