6月はついつい早とちりをしてしまいました。すいません。
今度こそ、間違いありません。国連合同エイズ計画(UNAIDS)の年次報告書2021『Confronting inequalities(不平等に立ち向かう)』が7月14日、発表になりました。公式サイトにプレスリリースと報告書のPDF版が掲載されています。
386ページもある大作なので、ダウンロードするのにも、けっこう時間がかかります。翻訳はちょっと大変(というか体力的に無理ですね)・・・ということで、プレスリリースでお茶を濁しました。API-Netに日本語仮訳を掲載してもらったので、ご覧ください。
『HIV陽性者はCOVID-19に対し脆弱な立場に置かれているのに、不平等の拡大でCOVID-19ワクチンやHIVサービスを利用できないでいることを強調し、そのエビデンスを示しています』
地球規模のワクチン格差に対し、UNAIDSのウィニー・ビヤニマ事務局長は憤りを隠さず、厳しいコメントを寄せています。
「何百万もの人が救命薬を拒否され、アクセスの不平等のために亡くなっていった。あのHIVの教訓から学ぶことができていないのです。こんなことは到底、受け入れらません」
エイズ40周年の節目にあたり、医療分野の研究者の間では、抗レトロウイルス治療の開発と普及に対し、かなり頑張りましたと互いに評価しあう雰囲気も強いのですが、アフリカ出身の政治家であり、アクティビストでもあったビヤニマさんに言わせれば、成功の教訓ではありません。命を救える薬があるのに、なぜこれほど多くの人たちが死ななければならなかったのかという「繰り返してはならない教訓」です。
再びプレスリリースから。
「億万長者は地中海でヨットを浮かべています。その同じ海で、移住を求める人たちが溺れているのです」とビヤニマ事務局長はいいます。「この状態を『ニューノーマル』などと呼び、座視できますか。私たちはこの恐ろしい不平等に立ち向かい、基本的人権の尊重という基本に立ち戻らなければなりません」
相当、怒っています。
早くワクチン、打ちたいと焦りに焦り、おたおたした挙句にようやく2回の接種を終えた日本の高齢者として、その怒りを受け止めきれるのか。個人的には自信がありません。答えは出せそうで出せず、切なくもあります。