感染症法の罰則案に対しHIV/エイズ分野のNGO/NPOが有志声明 エイズと社会ウェブ版540

 新型コロナウイルス感染症COVID-19対策として、感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)の改正案で、患者や感染者を刑罰の対象とすることが検討されています。すでに閣議決定され、今国会で審議が進められることになります。

 どうしてこうなっちゃったのかねえ・・・と個人的にはしばらく、その現実が受け止められませんでした。

 感染症法はそもそも、過去のハンセン病対策やHIV/エイズ対策の苦い経験に基づく反省から生まれた法律でした。しかし、改正案にはその認識が見事に欠けています。いかにパンデミックの恐怖や不安に慄く世の中だとはいえ、政治におけるこうした対応には医学界からも疑問の声があがっています。すでに日本医学会連合や日本公衆衛生学会・疫学会、日本エイズ学会などが、感染の拡大阻止の観点からも罰則化は外すべきだとする見解を発表しています。

 そうかそうか、そうなんだよなあと医学の専門家の皆さんの見識に納得し、同時にこうした課題に長年、直面してきたHIV/エイズ分野のNGONPOが何も声をあげないのはまずいでしょうとも思いました。

 気が付くのが遅いんだよねえ・・・と反省しきりではありますが、今だってまだ、遅きに失したわけではありません。必要なことは指摘しておかなければ。そんな思いでたくさんの方のご助力を得て、HIV/エイズ分野のNGO/NPO有志による声明をまとめるお手伝いをしました。コミュニティアクションのサイトのFeatures欄に紹介されています。  

Community Action on AIDS|コミュニティアクション:Features:感染症法の罰則案に反対し、HIV/エイズ分野のNGO/NPOが有志声明

《「新型コロナウイルス感染症に罹患した人や感染の可能性のある人に懲役刑あるいは罰金刑を科す条項」については「倫理面だけでなく、検査を拒否し、症状を隠すなどの行動を促し感染状況の把握を困難にします。結果として感染の拡大を招くことにもなります」と指摘しています》

声明全文はFeaturesの上記紹介記事のページからPDF版にアクセスして読むことができます。ぜひご覧ください。