就任初日、性自認または性的指向に基づく差別防止・撤廃に関する大統領令 エイズと社会ウェブ版538

 バイデン大統領は就任初日の1月20日、17本の大統領令、大統領覚書に署名しました。米国の大統領が就任早々、これほど多くの行政文書に署名をしたのは初めてだそうで、脱トランプの姿勢を鮮明にしました。当然のことながら、すでにたくさんの報道がなされていますが、ここでは17行政文書の一覧が載っているAFP通信の日本語版を紹介しておきましょう。 

www.afpbb.com

《署名された大統領令の中には、連邦政府の施設でのマスク着用義務化、イスラム教徒が多数を占める国々からの入国禁止の解除、環境保護新型コロナウイルス対策の強化、メキシコとの国境の壁建設の中止、連邦政府における民族的少数派の多様性と平等性の拡充するための取り組みなどが含まれた》

 

 英文ですが、ホワイトハウス公式サイトのブリーフィングルームのページには1月20日付けで《Executive Order on Preventing and Combating Discrimination on the Basis of Gender Identity or Sexual Orientation》(性自認または性的指向に基づく差別防止および差別との闘いに関する大統領令)も載っています。 

www.whitehouse.gov

 

 HIV/エイズ対策にも関わることなので、部分的に日本語仮訳を作ってみました。ちょっとだけ紹介しておきましょう。あくまで私家版です。誤訳もあり得るので何かの参考にするときには、できるだけ英文も確認してください。

 

セクション1 ポリシー 誰であるか、誰を愛しているかに関わりなく、すべての人が尊敬と尊厳を持って扱われ、恐れを抱くことなく生きることができなければならない。子供たちはトイレや更衣室の使用、および学校スポーツに関し、アクセスの拒否を心配せずに学べなければならない。大人は、生活または服装が性別に関する固定観念に適合していないことを理由に解雇、降格、不当な扱いを受けないということを知ったうえで、生計の手段および職業の選択ができるようになっていなければならない。性自認性的指向に関わりなくすべての人が法の下で平等に扱われなければならない。

 

(注というか感想)こういうポリシーが大統領自身によって、就任初日にきちんと明示されることは大切ですね。

 

セクション2 性自認または性的指向に基づく性差別禁止の実施体制

(a)各機関の長は、可能な限り迅速に、かつ必要に応じて司法長官と協議し、既存のすべての命令、規制、ガイダンス文書、ポリシー、プログラム、およびその他の機関行動の確認を行う:

 (1)タイトルVIIまたは性差別を禁止する他の法令または規制に基づいて公布され、または政府機関によって管理されているもの(政府機関自身のコンプライアンスに関するものも含む)。

 (2)この命令のセクション1に記載されたポリシーと矛盾または矛盾している可能性があるもの。

(d)この命令の日付から100日以内に、各機関の長は、必要に応じて司法長官と協議し、適用される法律と一致するかたちでサブセクション(b)および(c)に従って機関が特定した行動を実行する計画を作成する。

 

 (またしても注というか感想)ここでも「最初の100日」が出てきました。いまは米国でも新型コロナウイルス感染症COVID-19対策が最優先でしょうが、そうした中でHIV/エイズ対策に関連する政策方針がどんなかたちで打ち出されるか(例えば、グローバル・ギャグルールの撤廃など)。この辺りにも注目しておきたいと思います。