世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)が2014年にスタートさせた「コミュニティ・人権・ジェンダー戦略イニシアティブ」(CRG-SI)について、アフリカ日本協議会がその仕組みを日本語で分かりやすく説明する8ページのパンフレットを作りました。
グローバルファンドの仕組みに詳しい専門家のNGOやそれぞれの分野の当事者組織などを対象にして、中長期を見通した資金援助を行い、国や現場レベルで感染症対策に参加できるよう能力強化をはかることがこのイニシアティブの使命のようです。
ちょっとHIV/エイズ対策史のおさらいをしておきましょう。グローバルファンドは、低・中所得国が世界の三大感染症であるエイズ・結核・マラリアと闘うための資金を確保することを目指し、2002年1月に創設されました。日本政府も創設以前の九州沖縄サミット(2000年)当時から、創設を経て現在に至るまで、強力にバックアップしてきました。保健外交分野のの大切な資産でもあります。
そのグローバルファンドが大きな成果をあげてきた要因の一つをパンフレットは次のように説明しています。
《途上国の保健問題に焦点があたった2000年代には、多くの保健関係の国際機関が、市民社会との連携を掲げて設立されました。グローバルファンドはその中で最も市民社会や当事者コミュニティとの協働が進んでいます》
そして、「協働」を単なる掛け声に終わらせず、実体のあるものに育ててきたのが、CRG-SIということでしょうね。
感染症分野におけるそうした「協働」の必要性は実は、グローバルファンドの支援対象となる低・中所得国だけでなく、日本にもあります。禍福はあざなえる縄のごとしといいましょうか・・・。
あえて「実は」などと言わなくても、そんなことはHIV/エイズ対策の経験を通し、前から分かっていたことではあるのですが、どうも最近は「治療があれば、もういいから」というようなおごりも一部にあり、甘く見ていた節があります。新型コロナウイルス感染症COVID-19の流行は、その意味で反省すべきことを反省し、コミュニティ参加の重要性を再認識するきっかけにもなりました。
では、それがCRG(コミュニティ、人権、ジェンダー)とどう関係してくるのか。この点については、パンフレットの3ページ目に以下の見出しとともに説明があります。
・コミュニティ:自ら対策に取り組む必要性
・人権:当事者のエンパワメントと「保健への権利」の保障
詳しくはパンフレットをお読みいただいた方がよさそうですね。PDF版のダウンロードはこちらから。
https://ajf.gr.jp/wp-content/uploads/2020/09/CRGpamphlet.pdf