インクルーシブ・ラグビー大会も開催 W杯の波及効果広がる

 ラグビーのワールドカップは連日、熱戦が続き大いに盛り上がっています。対戦時点で世界ランク2位(大会直前には世界ランク1位)だったアイルランド代表に勝利を収めるなど、日本代表の健闘がその大きな要因であることは確かですが、それだけではありません。

 世界の強豪20チームが集まり、日本国内の各地で激突する。しかも、世界中から集まったファンの激突ではなく、交流の輪もどんどん広がる。その交流の波及効果といいますか、ワールドカップ48試合以外にも、国内では大学や軍隊(日本は自衛隊)の大会など様々なカテゴリーで国際交流・親善試合が行われています。私の母校である某都立高校も、英国の高校チームとの親善マッチが予定されています。おそらく高校生ラガーにとっては一生の思い出になる試合でしょう。なんか、ちょっとうらやましいですね。

 日本代表とサモア代表の激闘が日本中のファンの心を揺さぶった10月5日には、それに先立ち、午前9時から埼玉県三郷市で、International Inclusive Challenge(IIC)というラグビーの国際大会が開かれました。

 サンスポのサイトに『アジア初「ゲイラグビー」大会開催 LGBTへ理解呼び掛け』という見出しで記事が掲載されているので、紹介しておきましょう。 

www.sanspo.com

 《ラグビーを通して性的少数者(LGBT)への理解促進を図る国際イベント「ゲイラグビー」の大会が5日、埼玉県三郷市のグラウンドで開かれ、10を超える国や地域から選手、スタッフら計約200人が参加した》

 残念ながら私は当日、他の予定が入っていて、取材には行けませんでした。したがって、当日の様子はサンスポのサイトをご覧いただきたいのですが、その前日の朝、主催団体の広報担当のクリスさんにお会いしてお話をうかがったので、少し補足しておきましょう。

 Inclusiveには「包摂的」とか「誰も排除しない」といった意味があります。人種や民族、性的指向性自認などで排除されることなく、参加を希望する人が参加しやすい条件を整えるといった趣旨の大会です。とくにLGBTと総称されることが多い性的少数者への理解に力点が置かれているのは記事の見出しの通りです。

 「でも、日本ではラグビーのプレーヤーが自らゲイであることをカミングアウトして試合に出場することは難しいと思う」

 そう質問すると、クリスさんは「アジアの事情は私たちも承知しています」と答えました。

 試合に参加したのは以下の4チームです。

   ・IGR WORLD BARBARIANS(世界のゲイラグビークラブの選抜チーム)

 ・Tokyo Crusaders(外国籍、日本国籍の選手による東京のクラブチーム)

    ・Beijing Devils(外国籍、中国籍の選手による北京のクラブチーム)

    ・Japan IGR Samurai Warriors(東京と大阪の選手による選抜チーム)

 WORLD BARBARIANSが3チームを編成し、他の3チームと1試合ずつ、計3試合を行いました

 各チームは、人種も国籍も性的指向もさまざまな選手が加わるmixedだそうです。

 性的少数者である自分のありのままの姿でプレーをしたいという思いを明らかにすることがいまはかなわない。それなら、あえてそのことを明らかにする必要はない。性的少数者もそうでない人も一緒に試合ができる環境が大切だ・・・私のつたない英語力で理解した範囲では、クリスさんはそう説明していました。

 クリスさんにお話をうかがったのは、10月4日の朝でした。その日は午前11時半から南アフリカの公的マーケティング機関であるBrand South Africaが主催する大会前日のブランチイベントが開かれ、その席で主催団体のInternational Gay Rugby (IGR)と日本ラグビーフットボール協会LGBTへの理解促進に協力して取り組むための覚書の署名式も行われました。 

f:id:miyatak:20191006213832j:plain

 実は私は、次の予定が入っていて、そのブランチにも出席できませんでした。署名式の写真は後で送っていただいたので、また聞き情報ばかりで恐縮ですが、そちらも紹介しておきましょう。