20~39歳 減少傾向とは言えないぞ エイズと社会ウェブ版423

 国内における2018年の『エイズ発生動向』年報の分析結果がまとまり、API-Net(エイズ予防情報ネット)に掲載されました。

 https://api-net.jfap.or.jp/status/2018/18nenpo/bunseki.pdf

 『発生動向』となってはいますが、分析されているデータは新規HIV感染・エイズ患者報告として厚労省エイズ動向委員会が把握している数字が中心です。

 あくまで報告の分析であって、実際のHIV感染の動向が示されているわけではありません。この点には留意しておく必要がありますが、、動向委員会による長年の分析結果の蓄積もあるので、その蓄積も踏まえ、かなり実際の感染動向に近い傾向が把握できているのではないかとも思います。あくまで私の感想ですが・・・。

 さて、分析結果です。ダウンロードはしてみたものの、正直なところ全部、読み通すのはかなり大変そうです。私は早々にギブアップしてしまいました。

ただし、何かを書いたり、考えたりする際には押さえておくべき情報がぎっしりと詰まっています(正確にはいるように思います)。

少なくとも報告としてはこうなっていますよという押さえが必要な時には、必ず当たっておくべき資料でしょうね。グラフも豊富に使われているので、この点も現状を分析する際の大きな助けになりそうです。

 ということで、本文を読み込むという重要な作業を大々的にさぼり、最後の方に載っている8項目のまとめ(HIV 感染者、AIDS 患者の年間新規報告数及び年次動向の特徴)を見てみましょう。

 

(1)平成 30(2018)年の年間新規報告数は HIV 感染者 940 件、AIDS 患者 377 件、HIV 感染者と AIDS 患者の合計 1,317 件であり、HIV 感染者は 2008 年の 1,126 件をピークとし、AIDS 患者は 2013 年の 484 件をピークとし、HIV 感染者と AIDS 患者の合計は 2013 年の 1,590 件をピークとし、横ばいからやや減少傾向である。

 

 まとめとは言え、この調子で全部紹介していくと、それだけでかなり長くなります。残りは本文を見ていただくとして、その中で、私が、おやっ? と思った部分だけもう一つ紹介しておきましょう。この部分です。

 

(5)年齢階級別にみると、HIV 感染者新規報告数が最も多い 20-39 歳の年齢層における HIV 感染者新規報告数の推移は人口比でみると近年ほぼ横ばいであり、必ずしも減少傾向とはなっていない。

 

 グラフで見ると、こんな感じになります。ちょっと小さくて見ずらいけれど、悪しからず。本文の図14.をあたってください。

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 そうか、報告ベースでも減少傾向というわけではないのか。そうなると若年層の実際の感染は実は増加傾向にあるのかもしれません。若年人口の減少というファクターも考え、みかけの数字に惑わされることなく、若い人たちに向けて必要な情報が伝わるようにする努力がますます必要になってきそうです。