厚生労働省のエイズ動向委員会が3月29日(水)に開かれ、昨年(2016年)の新規HIV感染者・エイズ患者報告の速報値が委員会終了後の記者会見で発表されました。私は記者会見に出られなかったのでAPI-Net(エイズ予防情報ネット)のエイズ動向委員会報告欄から概要を紹介しましょう。
http://api-net.jfap.or.jp/status/index.html
HIV感染者報告 1003件(過去9位)
エイズ患者報告 437件(過去6位)
計 1440件(過去9位)
速報値なので確定値よりはやや少なくなっている(つまり確定値はもう少し増える)と思います。これまでなら速報値が2月の動向委員会で確認され、確定値は5月ごろ発表されるという段取りでした。
今年は2月28日に予定されていた動向委員会がなぜか延期になり、結果として速報値の発表も1カ月ほど遅れています。何があったんでしょうね。まあ、いいか。これまでの報告の推移グラフにも速報値を加えたので改めて紹介しておきましょう。あくまでつなぎです。増加や減少の傾向を云々するのは確定値が出てからですね。
委員長コメントのまとめは以下の通りです。
1.平成28年は速報値ではあるが、新規HIV感染者報告数が平成27年よりやや減少し、新規AIDS患者報告数は平成27年より増加した。
2.新規HIV感染者及び新規AIDS患者報告の感染経路としては、性的接触によるものが8割以上で、男性同性間性的接触によるものが多い。HIV感染症は予防が可能な感染症である。HIVに感染していない者においては、適切な予防策をとること、HIVに感染した者においては、まずは自分の感染を知ることが、今後の感染拡大を防ぐために重要となる。国民の皆様には、保健所の無料・匿名での相談や検査の機会を積極的に利用頂きたい。
3.速報値ではあるが、献血における10万件当たりの陽性者件数は昨年に比して減少した。血液製剤によるHIV感染を防ぐため、献血時の問診には適切に回答して頂きたい。また、HIV感染症が疑われる場合は、国民の皆様には保健所等での無料・匿名検査を積極的に利用頂きたい。
4.新規HIV感染者・AIDS患者報告数に占めるAIDS患者報告数の割合は、約3割のまま推移している。早期発見は個人においては早期治療、社会においては感染の拡大防止に結びつく。自治体におかれては、エイズ予 防指針を踏まえ、引き続き利便性に配慮した検査相談体制を推進していただきたい。