世界エイズデー2019 におけるUNAIDSプレス声明 エイズと社会ウェブ版438

2019年の世界エイズデーを前に国連合同エイズ計画(UNAIDS)のウィニー・ビヤニマ事務局長がプレス声明を発表しました。エイズ終結実現に向けた対策の中心はコミュニティ主導の活動だという内容です。日本語仮訳を作成したので、このブログでも後ろの方で紹介しておきます。英文はUNAIDS公式サイトでご覧ください。 

www.unaids.org

 Youtubeによる動画もついています。英語版ですが、動画だけ見たいという方は、こちらをご覧ください。 

www.youtube.com

 本当は動画メッセージが中心で、文章はそれ文字化した「おまけ」のようなものなのかもしれません。活字メディア出身の老ジャーナリストとしては釈然としないものが残りますが、しょうがないか。泣く子とソーシャルメディアには勝てません。

 でも、文字が残っていると助かります。UNAIDSの広報担当の方には、公式サイトによる文書発信機能も引き続き充実させていただくようお願いします。

 今年は年次報告書も含め、コミュニティの力に焦点が当たっています。

 コミュニティの力をタダで使おうというような了見では困りますよということも、きちんと釘を刺しています。この辺は「そうだ、そうだ」と強調しておきたい。

『各国政府は、HIVサービスの少なくとも30%をコミュニティ主導にすることを約束しました。そのことを忘れないようにしましょう』 

『すべてのHIV資金の6%がコミュニティ活動にまわるようにし、人権を促進し、エイズ終結を阻む有害な法律を変更することにも合意しました』

 この合意は2016年6月に採択されたエイズ流行終結に関する国連総会ハイレベル会合の政治宣言に盛り込まれています。宣言の日本語仮訳はAPI-Net(エイズ予防情報ネット)にも載っているので、ご覧ください・・・といっても長いので探すのが大変かもしれませんね。実は私も探したけれど、目がちかちかして見つけられませんでした(自分で訳したのに少々、切ない)。

 その代わりというと変ですが、政治宣言の採択後には、UNAIDSが『高速対応 2030年のエイズ流行終結に向けた10の約束』という冊子を出しています。宣言に盛り込まれた約束を10項目にまとめた冊子ですね。こちらは短いので、すぐに見つかりました。約束7と約束8です。API-Netに日本語仮訳を載せてあるので、ご覧ください。

 https://api-net.jfap.or.jp/status/world.html#a20170120n2

 国際的な対策というものは、こうやって少しずつ了解事項を積み上げていくのでしょうか。この2つの約束は日本の現状に対応するうえでも非常に重要だと思われるので、ビヤニマ事務局長の声明を奇貨として、改めて紹介しておきたいと思います。

 少々前置きと自己宣伝が長くなっちゃたかなあという反省もありますが、悪しからず。以下、2019年世界エイズデーに向けたUNAIDS事務局長のプレス声明の日本語仮訳です。

 

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世界エイズデー2019 におけるUNAIDS、ウィニー・ビャニマ事務局長メッセージ

2019年 12月 1日、プレス声明

 

私はコミュニティを信じています。

 コミュニティは変化を起こします。

 コミュニティは流行の最初期からHIVと闘ってきたからこそ、エイズ終結に向けた最も大きな希望でもあるのです!

国や町や村で流行が激化していく中で、女性がコミュニティをひとつにつなぎ、増大する家族ケアの負担も担ってきました。

そうしたボランティアの活動を、私たちはあまりにも長い間、当然のことだと考えてきました。

 逆境に直面する中で、ゲイ男性やセックスワーカー、薬物使用者は、平等な市民として健康への権利を主張するために自らのコミュニティを組織してきました。

 そうなのです。それぞれのコミュニティが自らの価値を証明してきました。そのことを私たちは知っています。議論の余地はありません。

コミュニティがなければ、いまなお2400万もの人が治療を受けられないままだったでしょう。HIV陽性の女性やHIVの影響を受けている女性が主導するコミュニティがなければ、子どもの新規HIV感染をなくし、親を失った子供たちを育て、病にある人の世話をすることもできなかったでしょう。

ブルンジでは25年前、ジャンヌという女性がHIV陽性であることを女性として初めて明らかにしました。ジャンヌはいま指導者として医療を受ける権利を求め、闘いを続けています。

ウクライナのヤナはHIVに感染して生まれた20歳の女性です。彼女のような若い指導者たちがジャンヌに続いています。ヤナは東ヨーロッパの若者に呼びかけTeenergizerというグループを設立しました。年長者が権力を握る世界に対し、彼女は若い仲間が自ら意見を言い、選択できるようになってほしいと思っているのです。

 中央アフリカ共和国に住むフィアクレは、紛争で避難民となった何万という人の一人です。診療所と連携を保ち、自分自身と仲間たちが抗レトロウイルス薬を得られるよう、それを阻む障壁を乗り越えるチェックポイントを作っています。こうした助けがなければ、それぞれの人が治療薬を確保するために大きな危険を冒さなければならないのです。素晴らしい活動です。

お分かりいただけると思いますが、コミュニティは世界各地で大きな成果を生み出しています。

しかし、それが当然だというような考え方は変えなければなりません。

今年の世界エイズデーにあたり、UNAIDSはHIVと闘う活動家やコミュニティの業績に敬意を示すものです。道半ばにして亡くなったすべての人を忘れません。深く敬意を表します。活動家たちは沈黙に挑み、それぞれのコミュニティで人の命を救うためのサービスを実現してきました。しかし、女性や他の多くの人びとによる数えきれないほどの貢献があったとしても、それは政府が責任を免れる理由にはなりません。

各国政府は、HIVサービスの少なくとも30%をコミュニティ主導にすることを約束しました。そのことを忘れないようにしましょう。 

すべてのHIV資金の6%がコミュニティ活動にまわるようにし、人権を促進し、エイズ終結を阻む有害な法律を変更することにも合意しました。

人権を擁護し、差別や犯罪化、スティグマをなくすための活動することは、大きな危険を伴う仕事であることも明確にしておく必要があります。

 活動家が最善を尽くして仕事ができるよう条件を整えることを私たちは政府に求めています。

エイズ終結には、コミュニティが対策を主導できるようにすること、そして、そのために政府が約束を果たしていくことが必要です。

UNAIDS事務局長・国連事務次長、ウィニー・ビャニマ