UNAIDS新事務局長はだれか。ショートリストに5人 エイズと社会ウェブ版397

 2019年もあっという間に1年の半分が過ぎました。後半戦のスタートは雨ですね。ま、梅雨だから仕方がないけれど・・・。

 去年の暮れから乱気流の中で進められてきた国連合同エイズ計画(UNAIDS)の事務局長選出プロセスもいよいよ大詰めになってきました。

 日本の国内では、えっ、そんなのあったの?という感じでしょうが、個人的にはひそかに海外からの報道などでフォローしてきました。最近のHIV/エイズ・パッシングの国内的風潮の中では少々、マニアックかもしれません(せいぜい皮肉のつもり)。

 人選はUNAIDSの外部有識者による選考委員会で進められてきました。委員会の構成やこれまでの会合の報告などはUNAIDS公式サイトに載っています。

 https://www.unaids.org/en/about/20190405_EXD_selection_process

 公募を経て、多数の応募者の中から、5人の候補者に絞られ、ショートリストとしてUNAIDSのプログラム調整理事会(PCB)に報告されています。

ただし、5人の氏名や肩書などは公表されていません。個人情報保護の観点から具体的な名簿の発表は差し控えるということです。

この辺りは先行プロセスの透明性確保という観点ではちょっと納得しがたい対応ですが、誰が候補なのかは公式には分かっていません。

もちろん、発表されていないというだけで、情報はがんがん漏れています。

621日には国際開発系のネットメディアで、exclusiveとして5人の名前と顔写真、肩書が報じられました。

www.devex.com

その後も他のメディアや医学専門誌のLancetなどに以下の5人のショートリストが紹介されています。公式発表はありませんが、顔ぶれは間違いないでしょう。

 

 ・サリム・アブドル・カリム 南アフリカエイズ研究センター(CAPRISA)所長

 ・サニ・アリユ  ナイジェリア国家エイズ対策局(NACA)局長

 ・クリス・ベイヤー  ジョンズホプキンス大学ブルンバーグ公衆衛生大学院教授

 ・ウィニー・ビヤニマ  オックスファム事務局長

 ・バーナード・ハウフィク  ナミビア前保健・社会サービス相

 

 5人のうち女性はウィニー・ビヤニマ氏1人です。また、クリス・ベイヤー氏以外の4人はアフリカ出身です。

 5人のショートリストはPCBで承認され、次にUNAIDSの共同スポンサーである11の国連機関(世銀を含む)による委員会が候補者面接などを経て検討を行い、7月中には国連事務総長に推奨する候補者を報告する段取りになっています。任命権者は事務総長です。

 おそらく事務総長は委員会の結論を尊重するのでしょうが、場合によっては委員会で1人に絞り込めず、2人か3人のリストをあげて事務総長の最終決断を仰ぐというかたちになるかもしれません。国連機関同士の綱引きや駆け引きといった引き合い(押し合い)もあるのでしょうね。

 間違いないでしょうとは書いたものの、あくまで同じリストがメディア情報として出回っているだけで公式発表はないので、実は5人のうち1人は別の人でしたといったサプライズもないとは言えません(直接取材をして得た情報ではないので逃げ道は残しておきましょう)。

 ともあれ、誰を事務局長に任命するかは、UNAIDSが今後、どんな組織として機能し、どんな役割を果たしていくのかという議論にも大きな影響を与えそうです。

 UNAIDSの瑕疵をあげつらうあまり、これまでに果たしてきた貢献まで否定することにならないよう縄張り争いもほどほどにしてほしいとは思いますが、そんなことは百も承知で駆け引きは続けられるのかもしれません。

 ということで、私が遠い海の向こうであれこれ考えても始まりませんが、まったくの個人的感想では、今回は経緯が経緯だし、女性が選ばれるのが順当ではないかと思います。

 5人のうち女性は1人というのも、あれ?少ないね、という印象ではありますが、逆に票が分散せずに収斂していくということになるのかもしれません。

 一方で、現在のUNAIDS事務局長代理はスウェーデン出身の女性、およびもう一人の事務局次長も米国出身の女性ということなので、検討の過程ではジェンダーよりも他の要素の方が重視されるのではないかという考え方もあります。あるいはサプライズでもう1人、女性候補が入っていたり・・・。

 5人の候補者の人柄や政治能力はまったく知らないので、あくまで遠くからみただけの傍観者的感想です。その根拠も海外のメディアで報じられた情報でしかありません。ああでもない、こうでもないと言っていられるのは今だけでしょうね。いつやるのか、今でしょ!(ちょっと古いし、使い方も適切ではないか)。

人選はいずれ近いうちに発表されると思います。