HIV/エイズに言及せずにパートナーシップ? エイズと社会ウェブ版390(続き)

 プライドハウス東京からもプレスリリースが出されましたね。

 《「国連合同エイズ計画(UNAIDS)」と「プライドハウス東京」が覚書締結しました!》

http://pridehouse.jp/news/392/

 UNAIDSFeature Storyを仮訳した際には、MOUを基本合意文書と訳しましたが、ここでは覚書となっています。今後は覚書で行きましょうか。

 プライドハウス東京は正式には『任意団体「プライドハウス東京」コンソーシアム』ということです。ま、ふだん使う時にはプライドハウス東京でよさそうですね。リリースではコンソーシアムについて以下のように説明されています。

 《ラグビーワールドカップ2019東京大会、および、2020東京オリンピックパラリンピック競技大会のタイミングを、LGBTなどのセクシュアル・マイノリティ(以下、LGBT)に関する情報発信を行うための最重要機会のひとつと捉え、現在、セクター横断の29の団体・個人、16の企業、4つの在日各国大使館が連携し、様々なプログラムやイベントの企画・運営をしています》

 UNAIDSとの協定は、プライドハウス東京にとっても日本国内のHIV/エイズ対策に携わる者にとっても、素晴らしい成果(あるいは今後の成果が期待できる大きな動き)だと思います。

 あくまで、この点を強調し、大いに高く評価したうえでの話ですが、憎まれ口好きのおじさんとしてはあえて、少しだけ苦言を呈しておきたい(こうやってどんどん友達を失っていくんだよね)。

 個人的には、リリースの中の《LGBTの人権およびセクシュアル・ヘルスに関する普及啓発において協力関係を築くこととなりました》という部分に引っ掛かりました。より正確に言えば、この部分に言及されていないものに引っ掛かりました。

 UNAIDSFeature Storyもプライドハウス東京のプレスリリースも、どうしてHIV/エイズについて言及しないのでしょうか。私にはそれが分かりません。

《セクシュアル・ヘルスに関する》という部分に入っていますよということなのでしょうか。UNAIDSはそれで《日本においてUNAIDSの活動をしっていただく機会》になると考えているのでしょうか。

 もちろん、《LGBTの人権およびセクシュアル・ヘルス》はHIV/エイズの流行と闘ううえでも重要な課題です。したがって、ここではあえてHIV/エイズを持ち出さなくてもいいだろうという大人の判断もあるのかもしれません。

しかし、おじさんは、年はとっても、まだ子供です。その判断は理解できません。

HIV/エイズの流行とその対応が重要な課題として継続していることには、明示的に言及してほしかったと思います。そうでないと「エイズはもういいだろう」という国内の一部に広がる不当な気分にお墨付きを与えるようなものではないのか。

『任意団体「プライドハウス東京」コンソーシアム』が「もういいだろう」と思っている人たちだけで構成されているとは、私には思えません。何人かの方には「どういうつもりなの」と直接、ご意見をうかがいたいくらいですが、そうなると友情にひびが入っちゃうからなあ・・・と子供のわりに躊躇もあります。細かいことで、いちいち文句を付けないと言われれば、そうかなあという気もしてきます。う~ん、苦しいなあ。

しつこいようですが、あくまで今回の協定を高く評価したうえでの話です。それでも個人的には残念な部分が残りました。