5月17日の『IDAHOT(国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日)』にあわせ、国連合同エイズ計画(UNAIDS)が16日付けでプレス声明を発表しました。その日本語仮訳です。
世界保健機関(WHO)が1990年5月17日に同性愛を国際疾病分類から外したことにちなみ2005年からこの日が、性的少数者に対するフォビア(嫌悪)に反対する記念日となりました。当時の略称は『IDHO』でしたが、現在はT(トランスジェンダー)が加わり『IDAHOT』となっています。
UNAIDSがこの記念日に合わせて声明を発表するのは『ゲイ男性など男性とセックスをする男性、およびトランスジェンダーの女性は世界各地でHIVに最も大きく影響を受けている人口集団のひとつ』となっているからであり、性的多様性の尊重という課題を共有しない限り、治療の普及や陽性者への支援も含めたHIV感染の予防対策は成立しないからです。声明には次のような指摘もあります。
『UNAIDSの調査に答えた100カ国のうち40%以上が同性間の性関係を犯罪とみなしている。ジェンダーや性的指向が犯罪として扱われれば、人びとは隠れ、必要不可欠な保健、社会サービスからも遠ざかり、健康状態の悪化やホームレス状態に陥りやすくなる』
誰も置き去りにしないためのパートナーシップを強めよう UNAIDSが呼びかけ
ジュネーブ 2018年5月16日 国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日(IDAHOT)に際し、国連合同エイズ計画(UNAIDS)はレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス(LGBTI)の人たちとその家族、HIV陽性者、HIVに影響を受けている人たち、差別に直面している人たちを支えるためのパートナーシップを強めるよう求める。
「性的少数者へのスティグマ、差別、社会的、身体的暴力は彼らが保健サービスを利用することを妨げます」とUNAIDSのミシェル・シディベ事務局長はいう。「健康への権利はジェンダーや性的指向に関わりなく、すべての人にあります。だからこそ、誰に対しても、どんな場所でも、差別はゼロでなければならないのです」
ゲイ男性および他の男性とセックスをする男性、トランスジェンダーの女性は世界のどこでも、HIVに最も大きく影響を受けている人口集団のひとつである。
UNAIDSの調査に答えた100カ国のうち40%以上が同性間の性関係を犯罪とみなしている。ジェンダーや性的指向が犯罪として扱われれば、人びとは隠れ、必要不可欠な保健、社会サービスからも遠ざかり、健康状態の悪化やホームレス状態に陥りやすくなる。
エイズ終結には、誰もが差別を心配することなく、コンドームやPrEP、質の高い治療とケアなどのHIV予防技術を利用できるようにしなければならない。UNウィメンと国連開発計画、UNAIDSは、世界HIV陽性者ネットワークとともに、あらゆるかたちのHIVに関連したスティグマと差別の解消に取り組んでいる。このイニシアティブは、多分野からの迅速な支援と市民社会のリーダーシップが必要であり、公衆衛生上の脅威としてのエイズ流行を2030年までに終結させるという締め切りのついた約束を国連加盟国が果たすことを助けるだろう。
誰も置き去りにしないという約束を果たすには、社会的に最も弱い立場の人びとを支援するための政治的な関与を強め、保健と福祉への投資を増やさなければならない。
毎年5月17日のIDAHOTは、世界各地で性的多様性とジェンダーの多様性を称揚する記念日で、今年のテーマは「LGBTIの人びととその家族の尊重に向けて連帯しよう」となっている。
UNAIDS calls for strengthened partnerships to leave no one behind
GENEVA, 16 May 2018—On the International Day against Homophobia, Transphobia and Biphobia (IDAHOT), UNAIDS is calling for strengthened partnerships to support lesbian, gay, bisexual, transgender and intersex (LGBTI) people and their families living with or affected by HIV or facing discrimination.
“Stigma, discrimination and social and physical violence against sexual and gender minorities prevent them from accessing health services,” said Michel Sidibé, Executive Director of UNAIDS. “Everyone has the right to health, no matter their gender or sexual orientation. For that, we need zero discrimination for everyone, everywhere.”
Gay men and other men who have sex with men and transgender women are among the populations most affected by HIV worldwide.
More than 40% of the 100 countries responding to UNAIDS criminalize same-sex relationships. Criminalizing people because of their gender or sexual orientation drives people underground and out of reach of essential health and social services, making them vulnerable to poor health and homelessness.
To end AIDS, it is essential to ensure that people can access HIV prevention technologies, including condoms and PrEP, and quality HIV treatment and care free from discrimination. UN Women, the United Nations Development Programme and UNAIDS are working with the Global Network of People Living with HIV to end all forms of HIV-related stigma and discrimination. The initiative will require rapid multisectoral support and civil society leadership and will contribute to achieving the time-bound commitments of United Nations Member States to end AIDS as a public health threat by 2030.
Increasing political commitment and investments for the health and well-being of some of the most vulnerable people in society will help to ensure that no one is left behind.
IDAHOT, a worldwide celebration of sexual and gender diversity, is commemorated annually on 17 May. This year’s theme is alliances for solidarity to bring respect for LGBTI people and their families.