大学ラグビー決勝は早明伝統の一戦に

 正月2日は東京・秩父宮ラグビー場全国大学ラグビーフットボール選手権の準決勝2試合が行われました。ただし、この寒さでスタンドに行ったら、たちまち風邪をひいてしまうので、私は例によってTV観戦です。結果は・・・。

 早稲田大 52 - 14 天理大
 明治大  29 - 10 東海大

 第一試合は個人的に天理大が有利ではないかと予想していたのですが、的中率が極めて低い私の予想は今回も見事に外れ、点差もかなり開いてしまいました。
 何というか、ずっと以前に「前へ」の明治と「展開」の早稲田が大学日本一を争っていたころの、早稲田の試合運びがこんな感じでしたね。
 天理大は立ち上がり、スクラムで早稲田大を圧倒し、相手陣深く攻め込んでいたのですが、早稲田大が一瞬のスキをついて自陣から反撃し、バックスの快走でトライにつなげる。そのうちに天理大のFWがだんだん疲れてきて、逆にスクラムで押される場面も出てくる。そんな試合でした。
 天理大にとっては大事な場面でボールをポロっと落とすなどイージーミスが続いたことも響きました。それだけプレッシャーを大きく受けていたのでしょうね。関西の雄であっても、大学日本一の経験はまだなく、大舞台での緊張がきつかったのかもしれません。
 第二試合も点差は開きましたが、試合後半で明治FWのキープレーヤーの1人がハイタックルでイエローカードを受け、10分間の退場という時間帯がありました。
 この時点で点差は14点(2トライ2ゴール差)、残り時間は20分くらいあったので、明治大にとっては大ピンチ、東海大にとっては逆転のチャンスでしたが、明治大がシンビンの10分間をしのぎきりました。
 東海大は相手陣ゴール前で「押せる」という感触を得てスクラムにこだわった。ラインアウトが不調だったので、他に選択肢がなかったのかもしれませんが、結果としてはスクラムをしっかり組むためにシンビンの10分間の多くを費やし、この大チャンスをつぶすことになってしまいました。
 それだけ明治FWに底堅い強さがあったということなのかもしれません。
 「令和」最初の大学日本一を決める試合は、1月11日(土)、国立競技場で、早稲田大と明治大が対戦します。伝統の一戦ですが、大学日本一をかけて両チームが戦うのは1997年1月15日の第33回大会以来。本当に久しぶりですね。
 かつては(建て替えられる前の)国立競技場を大観衆で埋め尽くした人気カードでもあります。再びラグビーへの注目度が高まっているいま、大学日本一をかけた早明戦が新国立競技場を6万の観衆で埋めることができるのかどうか。勝敗の予想とは別にそちらも楽しみですね。 
 

『LGBTヒストリーブック 絶対に諦めなかった人々の100年の闘い』 読後感想文

 アメリカでジェローム・ボーレン著『Gay & Lesbian HISTORY FOR KIDS』が刊行されたのは2016年のことだった。副題は『The Century-Long Struggle for LGBT Rights』となっている。この部分を訳者の北丸雄二さんは『絶対に諦めなかった人々の100年の闘い』と訳した。「絶妙の」などと評したら少し軽くなってしまいそうだが、この一行の翻訳に込めた訳者、そして編集・発行に携わった人たちの強い思いが伝わって、ついついこちらも涙が出そうになる。 

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 本書における「100年の闘い」の記述は刊行前年の2015年における米国内の状況で終わる。その少し前から同性婚を認める動きが各州で広がり、連邦政府も実質的にそれを追認するかたちになっていた。ただし、2015年10月時点でも「実はアメリカでは50州のうち計28州で、ゲイだとかレズビアンであるという理由で誰かを解雇することはまったく問題なく合法」だったという。

 つまり、「闘い」はまだ過渡期であるが変化の歯車は大きく回り始めている。そんな時期だからこそヒストリーブックが必要だったともいえる。

 日本語版の刊行は2019年12月だから本書の最後の記述内容からみると、4年あまりの時差がある。100年も諦めずに闘い続けて、米国で性的少数者に平等な権利が認められるようになるのは、実は最近のことだった。そう考えると、この4年の時差も絶妙であるように私には感じられた。

 北丸さんは日本語版刊行直後の昨年12月5日に東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見を行っている。

https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/35563/report

 事務局から依頼された不肖・私の会見のリポートも日本記者クラブの公式サイトに掲載されているので、ここではさらに加筆したものを再掲しておこう。

   ◇◆◇

『ブームを下支えする資料として/300件の文献と400人の登場人物』

 北丸さんは1993年から96年まで中日新聞東京新聞)のニューヨーク支局長だった。その当時、旧知の記者に「公民権運動の視点からLGBTの取材をした方がいいよ」といっても日本の記者は取り合ってくれなかった。「むしろ忌避するような状態」だったという。 

 LGBTレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字であり、最近は性的少数者の総称として使われることも多い。

 私も当時、産経新聞のニューヨーク支局長だったので、そのアドバイスに振り向こうとしなかった記憶がかすかにある。

 北丸さんはその後、フリーのジャーナリストとして米国にとどまり、2018年には拠点を日本に移している。

 「戻ってくると国内はにわかLGBTブームになっていた」

 ただし、これは私の感想になるが、そのブームはどこかマーケティングの視点で底上げされているような印象もないことはない。

 このあたりのことを北丸さんは「人権運動としてブームを下支えする資料がない」と表現している。米独立系出版社の編集長であるジェローム・ポーレンが子供向けに書いた本書を翻訳したのもそのためだ。

 300件の文献をもとに紹介される登場人物は400人近い。図や写真を多く使い、記述も平易で分かりやすい。ただし、「論理に関しては一点の妥協もない。アメリカの民主主義の実現の仕方を学ぶ一級の資料」と訳者として本書の魅力を語る。

 絶対に諦めなかった人々の闘いは実は100年にとどまるものではない。本書の記述は19世紀後半から始まっている。そして、21世紀のいまもなお課題は多く残され、闘いがこの後も続くことを予言しつつ2015年段階で終わっている。

 2020年の現在から数えると125年前の1895年には、詩人のオスカー・ワイルドが同性愛行為で刑事罰に問われ、禁固2年の判決を受けている。ワイルドは「私には何も言うことができないのですか」と裁判官に問いかけたが黙殺され、廷吏に法廷から引きずりだされる。

 「ワイルドがその時に言いたかったことが100年を通じて、紡がれていった」

 北丸さんの話はそこから、エイズの流行という厳しい試練を経て、2020年米大統領選挙をめぐる動きにまで及んだ。まず大人が読んでおきたい本でもある。

   ◇◆◇

 もちろんfor kidsであるから日本の高校生ぐらいにも読んでほしい。私の70年の人生は極端に想像力が欠如していたせいか、性的少数者の苦悩をわがことのように感じることはできないのだが、中学生ぐらいでも本書を読むことで勇気づけられるキッズは必ずいるに違いない。学校の図書館においてあれば、そっと手を伸ばすこともできるかもしれない。それでも人目をはばかり、手に取って直接、読むことができなかったにしても、だれか身近にこの本を読んだことで言動が少なからず変化した大人がいれば、深い悩みを抱えるキッズたちが相談しようかなという気になれるかもしれない。

 そうしたことも含め、東京オリンピックパラリンピックを迎える年、そしてアメリカの大統領選レースがヒートアップする年の直前に日本語版が刊行されたことは、絶妙のタイミングだったと改めて思う。

 

年の瀬に海輝いて波を待つ

 年末年始のお休みがスタートしました。さすがに師走の風は冷たいけれど、昼前に海岸に出てみると、日差しはまぶしいほどでした。

 

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 由比ガ浜沖。海面の照り返しで、とくに海辺は暖かいですね。写真だと逆光気味になって周りが暗く見えますね。でも、実際には底抜けに明るいといいますか。かなわぬと思いつつも、2020年はそういう年であってほしいよ。

 

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 海の中では波を待つサーファーの皆さん。さすがに寒いと思うけれど、元気です。それなりに波もよさそうですね。

 

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 うっすらとですが、かなたには伊豆大島。本日は海辺の散歩を兼ね、注文していた「のし餅を」を坂の下の力餅家さんにピックアップに行く途中でした。創業は300年以上前で、伊勢の赤福よりも古いという老舗。お店の感じは気さくです。名物はこしあんにくるんだ権五郎力餅ですが、のし餅もトルコアイスみたいにノビ~っとのびてとってもおいいしい。年寄はのどに詰まらせないように気を付けないと。

 皆さん、よいお年を。

HIV/エイズ対策で2019年を振り返る TOP-HAT News第136号(2019年12月)

 

 今年もとうとうクリスマスイブになってしまいましたね。時間がたつのが恐ろしく早く感じられる年の瀬です。

 こういうときは浮足立ってはいけない、試合を落ちつかせよう・・・というわけで、わが家の晩餐はおでんとビールでした。

 TOP-HAT News第136号は12月恒例、顔見世・・・じゃなくて、HIV/エイズ対策の2019年を振り返ります。

 

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メルマガ:TOP-HAT News(トップ・ハット・ニュース)

        第136号(2019年12月)

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エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部

 

 

◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに 世界エイズデーに寄せた国連事務総長のメッセージ

 

HIV/エイズ対策で2019年を振り返る

 

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1 はじめに 世界エイズデーに寄せた国連事務総長のメッセージ

 国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、2019年の世界エイズデーに寄せるメッセージの中で、抗レトロウイルス治療の進歩とその普及の成果を次のように語っています。

https://www.unic.or.jp/news_press/messages_speeches/sg/35725/

 『国連と各国政府、市民社会やその他のパートナーは、人々の医療サービスへのアクセスを拡大し、新規のHIV感染を食い止めるために連携してきました。2018年には、2300万人を超えるHIV感染者が治療を受けられるようになりました』

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)が発表した最新の推計によると、2018年末時点でHIVに感染している人の数は世界全体で3790万人となっています。治療を受けている人の数はその61.5%に相当する2330万人です。

 国連では、HIV治療の進歩と普及の成果をみる場合、2010年時点での推計値と比較することが多いようです。医学研究のエビデンスをもとにHIV治療の予防効果(T as P)が、強調されるようになったのが2010年ごろだったからです。

 その比較によると、エイズ関連の疾病による年間の推計死亡者数は、2010年の120万人に対し、2018年は77万人となっています。減少率は33%です。

 一方、年間の新規感染の方は、2010年が210万人、2018年は170万人です。減ってはいますが、減少率は16%にとどまり、T as Pの成果は、必ずしも期待通りとは言えません。「どうしてなのか」ということが、2030年に「公衆衛生上の脅威としてのエイズ流行の終結」を目指す国際社会の大きな課題になっています。グテーレス事務総長は先ほどのメッセージでこう指摘しました。

 『まだ満たされていないニーズがあります。HIV感染者は3800万人と記録的な数に上っている一方で、エイズ対策のための資金は昨年、10億ドルも減ってしまったからです。私たちはこれまでにも増して、仲間の声を代弁し、HIV感染者にサービスを届け、人権を擁護し、支援を提供するコミュニティ主導型組織の役割を生かしていく必要があります』

 治療は進歩しました。HIVに感染しても、早期に治療を開始し、継続していければ、HIVに感染していない人と同じくらい長く生きていくことも可能になっています。U=Uキャンペーンで指摘されているように、治療で体内のHIV量が検出限界以下に抑えられていれば、他の人にHIVが性感染するリスクもありません。

 それでも、医療だけでHIVの流行を収束させることはできないという事実に医療分野の専門家も気付き始めています。

 治療の進歩プラス社会の対応が必要です。事務総長はメッセージを以下のように締めくくっています。

 『コミュニティが参画するところには、変化が起きています。投資が成果をもたらす様子も見られます。そして平等や尊重、尊厳も現実のものとなっています。コミュニティと力を合わせれば、私たちはエイズに終止符を打てるのです』

では、そのコミュニティとは何か。ひと言で説明すれば、HIVの流行の影響を最も大きく受けている地域や人たちということになるでしょう。UNAIDSは今年の世界エイズデーの資料として、『COMMUNITIES make the difference(コミュニティが変える)』『what is a COMMUNITY-LED ORGANIZATION?(コミュニティ主導の組織ってなに?)』という2つの冊子を作成しています。API-Net(エイズ予防情報ネット)に日本語PDF版も掲載されているのでご覧ください。

https://api-net.jfap.or.jp/status/world.html#a20191115

 

 今年もTOP-HAT Newsをご覧いただき、ありがとうございました。この1年のHIV/エイズ関係の動きを以下にまとめておきました。東京オリンピックパラリンピックを迎える2020年も内外の動向に幅広く目配りし、最新の情報をお伝えできるよう、引き続き努力いたしますので、よろしくお願いします。

 

 

HIV/エイズ対策で2019年を振り返る

【1月】

 ・グローバルファンド(世界エイズ結核マラリア対策基金)が2020~22年の投資計画書を発表。3年間の資金調達目標額は140億ドル 

fgfj.jcie.or.jp

 ・世界HIV陽性者ネットワーク(GNP+)の新事務局長にインドネシア出身のリコ・グスタフ氏

 https://www.gnpplus.net/gnp-announces-new-executive-director/

 

【2月】

 ・米トランプ大統領が2月5日、一般教書演説で米国の新規HIV感染を10年以内になくすと表明 

f:id:miyatak:20190212114010p:plain

 https://asajp.at.webry.info/201902/article_2.html

 ・東京、札幌、名古屋、大阪各地裁で同性婚訴訟一斉提訴

  https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201902/CK2019021502000147.html

・日本エイズ学会誌2019年2月号が『オリンピックと感染症予防』を特集

 https://jaids.jp/publish/vol21-01-j/

 

【3月】

・国連合同エイズ計画(UNAIDS)が2019年差別ゼロデー(3月1日)キャンペーン。テーマは『いまこそ動こう 法律から 差別をなくすために』

 https://api-net.jfap.or.jp/status/world.html#a20190313

・国際エイズ学会(IAS)が年次書簡2019『スティグマの本質に迫る』を発表

f:id:miyatak:20190310153531j:plain

 https://api-net.jfap.or.jp/status/world.html#a20190308

 ・グローバルファンド日本委員会が発足15周年記念イベント「日本人とグローバルファンド 増資は他人のためならず」を開催

 http://fgfj.jcie.or.jp/topics/2019-04-24_fgfj15th

 

【4月】

 ・オーストラリアのパースで9月に予定されていた第13回アジア太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP2019)が急遽、中止を決定

 http://icaap2019.com/

・東京レインボープライドのパレード(4月28日)にHIV/エイズをテーマにした『Living Together』フロートが参加 

 http://akta.jp/information/1683/

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 ・特定非営利活動法人ぷれいす東京が冊子『UPDATE!』キャンペーン

ptokyo.org

 

 

【5月】

 ・抗レトロウイルス治療によるHIV感染予防効果に関するPARTNER2研究の結果を英医学誌LANCETが掲載。U=Uのエビデンスがさらに明確に

 https://asajp.at.webry.info/201905/article_1.html

 ・UNAIDSのミシェル・シディベ事務局長が退任。母国マリの保健社会福祉相に

 https://asajp.at.webry.info/201905/article_2.html

 ・2020年東京五輪を控え、UNAIDSとプライドハウス東京がパートナーシップ協定 

pridehouse.jp

 

【6月】

 ・国連事務総長が年次報告『10年間の進歩を経て、エイズ終結の野心的目標に向け対応の再活性化を』を国連総会に提出

 https://api-net.jfap.or.jp/status/world.html#a20190709

 ・武田薬品が、世界エイズ結核マラリア対策基金(グローバルファンド)に対し、2020年から5年間で10億円の拠出を発表

 http://fgfj.jcie.or.jp/topics/2019-06-03_takedainitiative2

 ・日本エイズ学会が『HIV感染を理由とした就業差別の廃絶に向けた声明』を発表

 https://jaids.jp/

 

【7月】

 ・国際エイズ学会(IAS)が年次報告書でスティグマとの闘いの重要性を強調

 https://asajp.at.webry.info/201907/article_1.html

 ・国連合同エイズ計画(UNAIDS)が年次報告書Global AIDS Update 2019で、コミュニティの役割を強調

 https://api-net.jfap.or.jp/status/world.html#a20190815

 ・2019年世界エイズデー国内啓発キャンペーンのテーマが『UPDATE! 話そう、 HIV/エイズのとなりで ~検査・治療・支援~』に決定 

www.ca-aids.jp

 

【8月】

 ・国連合同エイズ計画(UNAIDS)の新事務局長にウィニー・ビヤニマ氏の任命が決定、ウガンダ出身の女性(就任は11月) 

www.ca-aids.jp

 ・厚労省エイズ動向委員会が2018年の年間新規HIV感染者・エイズ患者報告数を発表。報告数の合計は1317件で、2年連続減少

 https://api-net.jfap.or.jp/status/index.html

 

【9月】

 ・グローバルファンドの第6次増資会合がフランスのリヨンで開かれ、140億ドルの増資調達目標を達成

fgfj.jcie.or.jp

 ・『HIV感染で内定取り消しは違法』 札幌地裁判決

 https://www.habatakifukushi.jp/news/hiv-info/hiv20190924/

 ・ラグビーW杯開催に合わせ、プライドハウス東京2019がオープン、日本ラグビーフットボール選手会と協力協定

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 Community Action on AIDS|コミュニティアクション:Features:プライドハウス東京が日本ラグビーフットボール選手会などと協力協定

 

【10月】

 ・プライドハウス東京とUNAIDSがトークイベント『2020年、東京で目指す90-90-90』を開催

 http://pridehouse.jp/news/532/

 ・日本エイズ学会の松下修三理事長『予防・治療の新時代』をテーマに日本記者クラブで記者会見 

www.jnpc.or.jp

 ・ラグビーの元ウェールズ代表主将ギャレス・トーマス氏が自らのセクシャリティHIV感染のカミングアウトについてプライドハウス東京2019で語る

 https://www.asahi.com/articles/ASMB07W8HMB0UTQP037.html

 

【11月】

 ・UNAIDSが2019年世界エイズデーキャンペーン開始。テーマは『COMMUNITIES MAKE THE DIFFERENCE(コミュニティが変える)』

 https://api-net.jfap.or.jp/status/world.html#a20191115

 ・第33回日本エイズ学会学術集会(熊本市)で、U=U、PrEP、90-90-90などが議論の焦点に

 http://www.c-linkage.co.jp/aids33/

・Futures Japanが第3回HIV陽性者のためのウェブ調査を開始 

survey.futures-japan.jp

【12月】

 ・アントニオ・グテーレス国連事務総長世界エイズデーに寄せるメッセージで持続可能な開発目標(SDGs)におけるエイズ終結の重要性とコミュニティの役割を強調

https://www.unic.or.jp/news_press/messages_speeches/sg/35725/

 ・新宿二丁目のコミュニティセンターaktaがYou tubeチャンネルを開設 

akta.jp

 

 

「健康でより良い世界」への投資 FGFJレポートNo21発行

 グローバルファンド日本委員会(FGFJ)が定期的に発行する『FGFJレポート』のNo.21(Winter2019)が年末ぎりぎりに発行されました。巻頭報告は日本国際交流センターの執行理事でもある伊藤聡子FGFJ事務局長の『「健康でより良い世界」への投資-第6次増資を振り返る』です。

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 2020年から始まる3年間の世界エイズ結核マラリア対策基金(グローバルファンド)の必要資金を調達する第6次増資会合は今年10月9、10日の2日間、フランスのリヨンで開かれ、目標額を超える140億2000万ドルの資金拠出を各国や民間のドナーが誓約しました。

 この資金は、途上国におけるエイズ結核マラリアの三大感染症対策、およびその土台となる保健基盤の強化に役立てられます。

 見出しは、会合を主催したフランスのエマニュエル・マクロン大統領の「不平等と闘い、社会正義を実現して次の世代に健康でより良い世界を届けよう」という呼びかけの一部を採用しました。

 まさにその会合の場に身を置いていた伊藤さんは、基礎的な数字や経緯を冷静に踏まえつつも、マクロン大統領の呼びかけに応え、目標額達成に至る劇的な展開と会場の熱気を臨場感あふれる報告で伝えています。

 レポートのPDF版はこちらでご覧ください。 

http://fgfj.jcie.or.jp/wp-content/uploads/2019/12/FGFJreport21.pdf

 

『新規HIV感染の減少に向けた米国内の成果はこの数年、失速している』(CDC Vital Signs)  エイズと社会ウェッブ版444

 米疾病管理予防センター(CDC)のVital Signsは2010年にスタートしたオンラインレポートです。月1回の発行で、毎号の特集テーマに沿って、がんや飲酒、喫煙、HIV、交通事故、心臓病など様々な健康上の脅威を取り上げ、死亡疾病週報(MMWR)の速報やグラフィックによるファクトシート、メディアリリース、ソーシャルメディアのツールなどで現状やその対応策が多角的に紹介されています。

 毎年12月は世界エイズデー(12月1日)があるので、HIV/エイズが取り上げられることが多いようですね。

 2019年12月のテーマは『Ending HIV Transmission: Test, Treat, and Prevent(HIV感染終結へ:検査、治療、そして予防)』でした。 

www.cdc.gov

 サイトには『新規HIV感染の減少に向けた米国内の成果はこの数年、失速している』との認識から以下の数字が大きく紹介されています。

  • 1万5400人(14%) HIVに感染していることを知らず、検査が必要な人の数
  • 37% HIVに感染していることは知っているけれど、ウイルス量は抑制できず、治療が必要な人の割合
  • 4人中5人(82%) HIVの性感染を防ぐ曝露前予防服薬(PrEP)が有効なのに、それを利用していない人

 

www.youtube.com

 また、You Tubeの動画とそのトランスクリプトも掲載されています。

 あくまで私家版の翻訳ですが、当ブログでトランスクリプト、およびCDCの12月3日付プレスリリース『HIV検査・治療・予防はアメリカ人に十分に届いていない』について日本語仮訳を試みました。参考までにご覧ください。

  ◇ 

トランスクリプト

HIV感染終結へ:Test(検査)、Treat(治療)、そしてPrevent(予防)

 Vital Signs 2019年12月

  • 米国内のHIV感染はどうすれば終わるのでしょうか。
  • 米国ではいまも年間約3万8000件のHIV新規感染が発生しています。
  • 米国政府はHIV感染を減らすために『HIV流行終結へ:アメリカ国内計画』を発表しました。
  • 2030年までに国内のHIV感染を90%減らすことが目標です。
  • 自分がHIVに感染していることを知らずにいる人が米国には15万人以上います。
  • 効果的な治療を受け、体内のHIV量を抑制している人は、自らのHIV感染を知っている人の約63%です。
  • 治療薬でHIVの性感染を防ぐ曝露前予防服薬(PrEP)が有効な人は全米で約120万人ですが、実際に処方を受けている人はその18%にとどまっています。
  • 医療提供者、保健医療部局、そしてそれぞれの人は、米国内のHIV流行を終らせるために何ができるのでしょうか。
  • 答えはこちら cdc.gov/vitalsigns

  ◇

プレスリリース

HIV検査・治療・予防はアメリカ人に十分に届いていない

 米国のHIVの流行を終わらせるになすべきことがまだ多い。最新の分析結果はそのことを示している

https://www.cdc.gov/media/releases/2019/p1203-hiv-testing-treatment-prevention.html

 

 HIVに感染しているアメリカ人の多くが、自らの感染に気付いていない。治療の効果でウイルスを制御している人はまだ少ない。そして、HIV感染を防ぐ薬を毎日、服用している人もあまりにも少ない。

 米国内で新規HIV感染の減少に向けた成果はこの数年、失速している。CDCは本日発表したVital Signsレポートの中でこう指摘した。

 このレポートによると、HIV検査件数や治療、予防の拡大は米国内のHIV感染を止めるには不可欠である。それに加え、『HIV流行終結へ:アメリカ国内計画』で示された2030年までに新規HIV感染を90%減らすという目標の達成には保健サービス提供体制の不均衡に対応しなければならない。

 

ロバート・レッドフィールドCDC所長

 「アメリカにとってHIV終結の時がきました。手段はあり、それを生かすリーダーシップもあります」とCDCのロバート・レッドフィールド所長(医博)はいう。「HIV陽性者は私たちの最も素晴らしい先生です。診断とケアを必要な人に届ける鍵を握っているのはこの人たちです」

 

Vital Signsから:

 

HIV検査と治療2017

  • HIV陽性者の14%に相当する15万4000人が自らの感染を知らず、HIV治療を受けて健康状態を保ち、ウイルス量を抑え、他の人へのHIV感染を防ぐという利益を得られずにいる。13-24歳の若い世代は25歳以上の人より、自らのHIV感染を知る割合が低い。
  • HIV感染を知っている人のうち、効果的な治療によりウイルス量が抑えられている人は3分の2(63%)にとどまっている。若年層とアフリカ系アメリカ人が最も抑制率が低い。 

 

曝露前予防服薬(PrEP)2018

  • 錠剤を毎日服用することでHIV感染を防げるPrEPの効果が期待できる全米120万人のうち、実際にPrEP処方を受けている人は約18%(21万9700人)にとどまっている。普及率は若年層、アフリカ系アメリカ人ラテンアメリカアメリカ人でとくに低い。
  • この分析は米国内の小売薬局の全処方箋の96%のデータに基づいている。しかし、マネージドケア(管理型医療)組織や軍の医療システムなどは含まれていない。したがって、実際のPrEP普及率はこの推計より高くなるかもしれない。

 

新規HIV感染

  • CDCの推計では、2013年から2017にかけて米国内の年間新規HIV感染件数は約3万8000件でほぼ横ばいの状態が続いている。

 

図 キーアクション

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SOURCE: MMWR December, 2019

 

HIV流行の終結

 資金が確保できれば、HIV流行終結イニシアティブは最も必要とされる資金と技術と専門性を実質的に増やすことになります。

 

 ジョナサン・マーミンCDCHIV/エイズ・ウイルス性肝炎・性感染症結核予防センター所長(医博、公衆衛生学博士)

「受け入れがたいほど多くの人が毎年、HIVに感染しています」とCDCのジョナサン:マーミンHIV/エイズ・ウイルス性肝炎・性感染症結核予防センター所長(医博、公衆衛生学博士)は述べています。「この流行が終結すれば、米国市場最大の公衆衛生上の成果の一つとなるでしょう」

 

 最大限の効果を上げるために、イニシアティブはまず、全米の新規HIV感染診断の半数以上を占める50の地域(全米48群とプエルトリコサンファン、ワシントンDC)、および地方の負担が大きい7州に焦点を当てている。追加的資金が使用できるようになれば、イニシアティブは事実上、全米に広がるだろう。イニシアティブは、科学的な観点から流行終結を可能にする4戦略分野の規模を拡大していく:。

  • Diagnose(診断) 新規HIV感染の95%診断を目指し、すべてのHIV陽性者ができるだけ早期に診断を受けられるようにする。
  • Treat(治療) HIV陽性者の体内のウイルス量が抑制できるようすべての陽性者をできるだけ早く診断する。
  • Prevent(予防) PrEPや注射器・注射針サービスプログラム(SSPs)を含め、効果の証明されている介入策を活用して新規HIV感染を予防する。
  • Respond(対応する) HIVのアウトブレークの可能性を察知し、迅速に対応して必要な人に必要な予防、治療サービスを提供する。

 

 米国保健福祉省(HHS)とその関連機関は、2020年に資金が確保でき次第、イニシアティブ実現に向けて全力を尽くします。HHSはすでに、3つのコミュニティ(メリーランド州ボルチモア市、ジョージア州デカルブ郡、ルイジアナ州イースト・バトン・ルージュ区)で、イニシアティブの主要部分のジャンプスタートを切り、他のコミュニティと体験を共有できるよう資金提供を始めています。

 HHSはまた、すべての優先対策地域でHIV流行終結計画を策定するための資金も確保しています。こうした計画はコミュニティやHIV対策機関、医療従事者などからのインプットに基づいて策定されることになります。

 

 米国のHIV流行終結に向けて、それぞれの人は以下のことができます。

  • HIV検査を受ける
  • cdc.gov/hivrisk で、あなたが抱えているリスクを知る
  • あなたの主治医や保健医療提供者とPrEPを含むHIV予防について話をする
  • HIVに感染している人やPrEPを受けている人は、服薬を続け、健康状態を保つ

 

 HIV流行終結に向けたCDCの役割

  • HIV流行終結計画を通し、CDCは主要なHIV予防戦略の拡大に向けてHHSの他の機関、地方および州政府、コミュニティ、HIV陽性者と緊密に協力する
  • 具体的な計画はそれぞれのコミュニティのニーズによって異なり、検査、治療、予防、対応の主要4戦略への焦点の当て方も変わってくる。
  • CDCの役割に関する詳細はこちら: https://www.cdc.gov/endhiv/

 

Vital Signsリポートはこちら: https://www.cdc.gov/vitalsigns/

HIV流行終結計画についてはこちら: https://www.hiv.gov/

 

 

HIV Testing, Treatment, Prevention Not Reaching Enough Americans

New analysis shows how far proposed federal efforts must go to end U.S. HIV epidemic

https://www.cdc.gov/media/releases/2019/p1203-hiv-testing-treatment-prevention.html

 

Far too many Americans with HIV are unaware that they have it. Far too few have the virus under control through effective treatment. And far too few Americans are taking the daily pill that prevents HIV.

The findings – showing that progress in reducing new HIV infections in the United States has stalled in recent years – come in a new CDC Vital Signs report published today.

The report shows that increasing HIV testing, treatment, and prevention is critical to stopping HIV transmission in the United States. In addition, health disparities must be addressed to achieve the goals of Ending the HIV Epidemic: A Plan for America, a proposed federal initiative to reduce new HIV infections by 90% by 2030.

 

Robert R. Redfield, M.D., CDC Director

“The time is now to end HIV in America. We have the right tools, the right data and the right leadership to get this done,” said CDC Director Robert R. Redfield, M.D. “Those living with HIV are our best teachers. They are key to helping us reach people where they are so that we can better diagnose and link patients to care.”

 

 

According to the Vital Signs:

 

HIV Testing and Treatment in 2017:

・About 154,000 people with HIV (14%) were unaware of their status and therefore could not take advantage of HIV treatment to stay healthy, control the virus, and prevent transmitting HIV to others. Young people ages 13 to 24 were less likely to know their HIV status than those age 25 and older.

・Only two-thirds (63%) of those who knew they had HIV had the virus under control through effective treatment. Young people and African Americans were least likely to have the virus under control.

 

Pre-Exposure Prophylaxis (PrEP) in 2018:

・About 18% (219,700) of the 1.2 million people who could benefit from PrEP, a daily pill that prevents HIV, had received a prescription for the medication. Coverage was especially low among young people, African Americans, and Latinos who could benefit from PrEP.

・This analysis captured data from 92% of all prescriptions from U.S. retail pharmacies, but did not include prescriptions from closed health care systems, such as managed care organizations and military health plans. Therefore, PrEP coverage was likely higher than these estimates.

 

New HIV Infections:

・CDC estimates that new HIV infections remained relatively stable, at about 38,000 per year, from 2013 to 2017.

 

図 キーアクション(略)

 

Ending the HIV Epidemic

If it is funded, the Ending the HIV Epidemic initiative will substantially increase resources, technology, and expertise where they’re needed most.

 

 

Jonathan Mermin, M.D., M.P.H., Director of CDC’s National Center for HIV/AIDS, Viral Hepatitis, STD, and TB Prevention

“The number of people who acquire HIV each year is unacceptably high,” said Jonathan Mermin, M.D., M.P.H., director of CDC’s National Center for HIV/AIDS, Viral Hepatitis, and STD Prevention. “Ending this epidemic would be one of the greatest public health triumphs in our nation’s history.”

 

 

To achieve maximum impact, the initiative will focus first on 50 local areas that account for over half of new HIV diagnoses (48 counties; San Juan, Puerto Rico; and Washington, D.C.), and seven states with a substantial rural burden. If additional resources become available, the initiative will eventually expand nationwide. The initiative will scale up four science-based strategies that can end the epidemic:

 

・Diagnose all people with HIV as early as possible, with a target of diagnosing at least 95% of HIV infections.

・Treat people with HIV rapidly and effectively to reach sustained viral suppression, with a target of at least 95% of people with diagnosed HIV reaching viral suppression.

・Prevent new HIV transmissions by using proven interventions, including PrEP and syringe services programs (SSPs). For PrEP, the target is for at least 50% of those who could benefit from it to receive a prescription.

・Respond quickly to potential HIV outbreaks to get needed prevention and treatment services to people who need them.

 

The U.S. Department of Health and Human Services (HHS) and its agencies are taking action now to ensure the initiative can hit the ground running if it is funded in 2020. HHS has already provided funding to enable three communities (Baltimore City, Md.; DeKalb County, Ga.; and East Baton Rouge Parish, La.) to jumpstart key parts of the initiative, and to share lessons learned with other communities.

 

 

HHS has also funded local efforts to develop Ending the HIV Epidemic plans in all priority geographic areas. The plans are based on input from the community, HIV planning bodies, healthcare providers and others.

 

 

What can everyone do to help end the nation’s HIV epidemic?

・Get tested for HIV

・Learn your risk at www.cdc.gov/hivrisk

Talk with your healthcare provider about HIV prevention, including PrEP

・Stay healthy by taking your medicine if you have HIV or are on PrEP

 

CDC’s role in Ending the HIV Epidemic.

 

・Through Ending the HIV Epidemic, CDC will work closely with other HHS agencies, local and state governments, communities, and people with HIV to coordinate efforts to expand key HIV prevention strategies.

・Specific local action plans will vary based on each community’s needs, and they will focus on the four key strategies of Test, Treat, Prevent and Respond.

・For more information about CDC’s role, visit: www.cdc.gov/endhiv.

 

To read the entire Vital Signs report, visit: www.cdc.gov/vitalsigns.

For more information about Ending the HIV Epidemic, visit: www.hiv.govexternal icon.

 

 

 

おお、由比ガ浜のビーチも走るぞ 東京五輪聖火リレー

 2020年東京オリンピック聖火リレーについて、全国の詳細ルートが12月17日、発表されました。鎌倉は6月30日ですね。由比ガ浜の砂浜をスタートして若宮大路を北に上がり、鶴岡八幡宮まで。
 ただし、TOKYO2020の公式サイトに載っている神奈川県内の詳細ルート地図を拡大してよく見ると、途中でいったん切れていますね。

tokyo2020.org


 若宮大路の一の鳥居と二の鳥居の間が中抜きになっています。交通事情もあるのでしょうか。この間は車で運ぶのかな。
 
 由比ガ浜の砂浜は例年なら7月1日から海水浴場がオープンします。その前日ですね。沖合はセーリングのコースになる予定だし、今年の海水浴場のスケジュールはどうなるのでしょうか。
 砂浜を走り、最後は鶴岡八幡宮の大石段を駆け上る・・・と書くと、なんだか夏の猛特訓みたいな感じになってしまいますが、ランナーの皆さんは、少しずつ分けて走るのでしょうから、途中で倒れるというようなことは、たぶんないでしょう。