『W杯効果が生み出す変化』 エイズと社会ウェブ版443

ラグビーのワールドカップが閉幕してすでに 1 カ月以上が経過した。あの盛り上がりは何だったのか》

 現代性教育研究ジャーナルの連載コラム『多様な性の行方』の第32回(2019年12月15日)です。18ページに掲載されています。 

www.jase.faje.or.jp

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  本当に、何だったんでしょうね・・・ということで、2019年も押し詰まったいま、改めて、ああでもない、こうでもないと書いています。

《その禁欲と巧技、そして激しくぶつかる爆発力。ラグビーという球技の持つ多様で、包摂的な魅力(英語で言えば、ダイバーシティとインクルーシブネス)が、日本社会を覆う閉塞感に一陣の風を吹き送る。そんな魅力を感じさせてくれたのではないか》

 ま、多分にこじつけではありますが、そういう言い訳を始めると、たちまち「あんたの書いたもので、こじつけでなかった試しがあるかい」と、またまた石が飛んできそうです。あるかいっくスマイルでごまかしましょう。あ~、また滑った。身から出た錆とはいえ、つくづく人望がないよ。

 《ラグビーは多様性や包摂性をその価値の中に内包する球技なのだが、日本のラグビー界はこれまでそうした価値にあまり関心を示さなかった面もある。トップクラスの選手の間でその認識を改める動きがでてきたという意味でも、W 杯開催は極めて大きな波及効果をもたらしたようだ》

 それって、どういうこと?

 ま、詳しくは本文を読んでよ、それほど長くはないし。

 

世界エイズデー、人権デー、そして12月12日はUHCデーでした エイズと社会ウェブ版442

 12月12日はユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)デーでした。

『2017年12月12日に、国連総会において、毎年12月12日を世界ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)デーと定めるとした決議(A/RES/72/138)が採択されました。これは、UHCと強靱な保健システムの必要性について認知度を高めることを目的としており、本決議を基に自主的な取組を行うことを全加盟国に対して促しています』

 (厚生労働省の公式サイトから)

 1年の準備期間を経て2018年(昨年)が第1回UHCデーとなりました。つまり今年は2回目ですね。テーマは『KEEP THE PROMISE』。今年9月の国連総会ハイレベル会合で採択された政治宣言の約束(Health for All)をちゃんと守ろうということですね。

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 記念日としての歴史は浅いのですが、持続可能な開発目標(SDGs)の各項目への波及効果も大きい(と考えられている)ことから国際的な認知度は高く、保健に関係のある国連機関、国際機関や各国の指導者からも様々なメッセージが発表されています。

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトにも、ウィニー・ビヤニマ事務局長のメッセージが掲載されました。前置きが長くてすいません。そのメッセージの日本語仮訳です。

 先日も少し書きましたが、12月は1日が世界エイズデー、10日が人権デー、そして12日がUHCデーということで、相互にかかわりの深い3つの記念日があり、UNAIDSの事務局長はそれぞれにメッセージを発表しています。内容的にかぶる部分もありますが、あっちにはメッセージを出し、こっちには出さないというわけにもいかないのでしょうね。それぞれ重要です。

 UNAIDSは今年5月に前任のミシェル・シディベ事務局長が退任し、10月まで約半年の空白期間を経て、11月からビヤニマ新体制がスタートしました。新たなUNAIDSが現在の苦境を切り開き、再生を果たすことができるのかどうか、その可能性と方向性を占うことは現時点ではまだ(私には)できませんが、いささかでもヒントがあればと思い、3つのメッセージをともに私家版の日本語仮訳で紹介しました。もう一本、プログラム調整理事会における所信表明のスピーチもあるんだけど、どうしようかな・・・さすがに疲れた。

 以下、UHCデーのメッセージの日本語仮訳です。  

 

 ◇

 

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジデーのUNAIDS事務局長メッセージ

 2019年12月12日 プレス声明

https://www.unaids.org/en/resources/presscentre/pressreleaseandstatementarchive/2019/december/universal-health-coverage-day

 

 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)デーに際し、必要な保健サービスを受けられずにいるすべての人に連帯します。今日1日で1万人のこうした人たちが亡くなるのです。女性は2分に1人、出産に伴って死亡しています。そして1秒に1人ずつ、医療費負担で極端な貧困に追い込まれる人がいます。保健医療ケアを最も必要とする人たちが、そのケアを最も得られずにいる人たちでもあります。この状態はいますぐ変えなければなりません。

 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジはこの惑星のすべての人が有する人権です。どんな人であるかにかかわりなく、どこに住んでいるかにもかかわりなく、すべての人が、経済的な困難に妨げられることなく、質の高い保健医療サービスを受ける権利があります。国連加盟国は今年9月、初のユニバーサル・ヘルス・カバレッジに関するハイレベル会合を開き、政治宣言でそれを実現するための歴史的な約束を行いました。

 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジは私たちの時代の、そしてエイズ対策の中心課題です。不平等の解消には、真っ先に健康の改善が必要です。ヘルス・カバレッジが真にユニバーサルになれば、最も排除されがちな人びとの健康状態は改善します。保健に関する受け入れ難い不平等をなくすことができます。そのエビデンスは示されています。治療のコストがあまりにも高いので、自分の子供の中の誰の命を助けるかを選ばなければならない。そんな選択に親が悩まなくてもよくなるのです。

 毎年1億人が極端な貧困に追い込まれ、9億人が保健医療ケアの支払いに苦しんでいます。その数字を減らしていこうという約束にもかかわらず、実際には驚くほど増大しています。最も増えているのはアフリカです。3分の2を占める国がすべての保健医療費を個人負担にしています。変えなければいけません。保健医療費の個人負担が、人びと、とりわけ女性と子供を貧困と病と無力感の輪という罠に追い込むのです。どうしても必要な食費と教育費と医療費の中のどれを選ぶかというような選択に人を追い込む。そのようなことは著しく不公正です。医療費が払えないからといって入院患者を病院から追い出すようなことは人権侵害です。ヘルスケアへのアクセスを阻んでいるお金の壁をユニバーサル・ヘルス・カバレッジで取り除かなければなりません。人の命を守り、救うためには、すべての人が必要な時に質の高いヘルスケアを利用できるようにしなければならないのです。

 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジが必要なのは保健医療分野だけではありません。貧困や公的教育の欠如、ジェンダーの平等、ジェンダーに基づく暴力など、保健に対する社会的、経済的、構造的決定要因にも取り組む必要があります。同じように、社会的に弱い立場に置かれている人たちやキーポピュレーションの人たちが、法律やスティグマ、差別のために保健医療サービスから排除されることがないようにする必要もあります。

 効果の高い保健システムは常にコミュニティ主導の組織が中心になっています。エイズ対策の経験がそれを教えてくれました。何日か前に世界エイズデーを迎え、私たちは『コミュニティが変える』と呼びかけました。2400万人以上のHIV陽性者が治療を受けられるようになったのも、政策を求め、サービスを提供し、責任を持ってシステムを担えるようにしたコミュニティの活動があったからです。このことにまず感謝しなければなりません。

 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジが目にみえるかたちで成果を示せるようにするには、コミュニティ主導のサービスが実施できるよう資金を確保しなければなりません。コミュニティが中心になり、保健体制とその計画、実施、モニタリング、報告、研究には、すべての段階で加わる必要があります。

 今年のユニバーサル・ヘルス・カバレッジデーのテーマ『Keep the promise(約束を守ろう)』を踏まえ、私は各国政府とコミュニティに政治宣言が生み出した勢いを加速し、平等で質の高い保健医療サービスを必要な人すべてに届け、福祉を改善するという約束の実現に協力して取り組むよう求めます。それは、エイズ終結にも、持続可能な開発目標の達成にも、必要なことなのです。

 ウィニー・ビヤニマ

 UNAIDS事務局長 国連事務次長

 

 

PRESS STATEMENT

UNAIDS Executive Director's message on Universal Health Coverage Day

12 December 2019

 

On Universal Health Coverage Day, I stand in solidarity with all people who lack access to the health services that they need. Today, 10 000 of those people will die. Every two minutes, a woman will die giving birth. And every second, three people will be pushed into extreme poverty paying for health care. Today, those with the greatest need for health care are the least likely to get it. This must change, and it must change fast.

Universal health coverage is a human right that belongs to everyone on this planet. No matter who they are or where they live, everyone has the right to access quality health services without facing financial hardship. This was the historic commitment made by United Nations Member States in the political declaration made at the first-ever high-level meeting on universal health coverage last September.

Universal health coverage is central to our time and to the AIDS response, because better health outcomes are, first and foremost, about addressing inequities. Evidence that health coverage has truly become universal will be in improved health and in the elimination of the unacceptable inequality in health outcomes for the most marginalized populations. It will be the day when no parent has to make a choice between which child they will save because the cost of treatment is too high.

Each year, 100 million people are pushed into extreme poverty and 900 million face severe financial hardship paying for their health care. Despite commitments to bring these figures down, alarmingly they are on the rise. The fastest increase is in Africa, where two thirds of countries still charge user fees for all levels of care. This must change. User fees trap people, especially women and children, in cycles of poverty, illness and powerlessness. It is an injustice to force people to choose between paying for food, education or the health services they need. It is a human rights violation to detain patients in hospitals when they can’t afford their bill. Universal health coverage must lift the financial barriers to accessing health care. To ensure that rights are upheld and lives are saved, quality health care should be made available at the point of use for all people.

But universal health coverage needs also to go beyond the health sector, to address the social, economic and structural determinants of health, such as poverty, lack of formal education, gender inequality and gender-based violence. Similarly, it must ensure that vulnerable and key populations are not excluded from accessing health services owing to legal barriers or stigma and discrimination because of who they are.

The AIDS response has taught us that community-led organizations are central to any effective health system. A few days ago, we commemorated World AIDS Day with a call to recognize that communities make the difference. If today more than 24 million people have access to HIV treatment, it is first and foremost thanks to the work of those communities to advocate, deliver services and hold systems accountable.

For universal health coverage to achieve measurable health outcomes, it must fund and include community-led services. Communities need to be at the centre, involved in each step of health governance, planning, implementation, monitoring, reporting and research.

In recognizing the theme of this year’s Universal Health Coverage Day, “Keep the promise”, I call on governments and communities to keep up the momentum generated by the commitment in the political declaration and work together to advance equitable quality health services that reach the people in need and improve their well-being. This will be essential to both ending AIDS and the achievement of the Sustainable Development Goals.

 

Winnie Byanyima

Executive Director of UNAIDS

Under-Secretary-General of the United Nations

少し早めですが 東京都エイズ通信第148号


 年末なのでふだんより少し早めの発行ですね。東京都エイズ通信第148号(2019年12月12日)が昨日、配信されました。
 

www.mag2.com

 今年に入ってから12月8日までの新規HIV感染者・エイズ患者報告数は以下の通りです。

*************************************

● 平成31年1月1日から令和元年12月8日までの感染者報告数(東京都)
  ※( )は昨年同時期の報告数

HIV感染者   306件  (323件)   
AIDS患者  66件   (68件)   
 合計   372件  (391件)

HIV感染者数、AIDS患者数ともに昨年度よりも少なく報告されている。
*************************************

 昨年同時期と比べると、患者・感染者の報告数の合計で、19件少なくなっています。まだ、1年の終わりには23日も残した時点での集計なので、これから報告が急に増えるという可能性もないことはないのですが、報告ベースでは昨年より減少した状態で年を追えるのではないでしょうか。
 毎回、しつこく付け加えていますが、あくまで報告ベースの数字です。実際の感染の動向がどうなっているのかは、報告だけでは分かりませんが、毎年の報告数ン推移を比較することで、ある程度の類推はできそうです。
 これまでの年次報告で、新規HIV感染者・エイズ患者報告をみていくと、2017年が464件、2018年は422件でした。微妙なところですが、2019年は400件以下になるかもしれません。
 
 

『HIVは依然、不平等とスティグマ、差別、暴力による流行』 エイズと社会ウェブ版441

 12月1日の世界エイズデーに続いて、12月10日は人権デーです。国連合同エイズ計画(UNAIDS)のウィニー・ビヤニマ事務局長が人権デーに寄せるプレス声明を発表しました。

 参考までに紹介しておくと2017年から12月12日はユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)デーになっています。12月は1、10、12日とHIV/エイズ分野に関わりの深い記念日が続きますが、最近はどうも世の中からあまり関心を持たれていないようで、ちょっと残念ですね。ま、UHCについては改めて取り上げるとして、今回はUNAIDSプレス声明を紹介しておきましょう。

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www.unaids.org

 『HIVは依然として、不平等とスティグマ、差別、暴力による流行なのです。人権が侵害されれば、感染のリスクは高まり、HIV検査も治療も受けられません』

 12月10日は1948年に第3回国連総会で世界人権宣言が採択された日です。外務省公式サイトの人道・人権のページによると『人権および自由を尊重し確保するために、「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準」を宣言したものであり、人権の歴史において重要な地位を占めています』ということです。
 その宣言から2年後の国連総会で毎年12月10日を人権デーとすることが決まりました。今年は70回目の人権デーということになります。

 70年の時を経て、人権宣言はなお、HIV/エイズ分野においても、対策を支える大きな力になっています。新しい事務局長のもとで再スタートを切った今年のUNAIDS声明ではとくに、スティグマや差別を助長する法律や政策に焦点を当て、各国に撤廃や政策変更を強く求めています。

 『はっきりさせておきましょう。これらのコミュニティはあらかじめ取り残されていたわけではなく、すでに存在し、新たに制定されもする法律や政策、およびその執行により、取り残された状態に追い込まれていくのです』

 治療や予防の新たな技術の登場もまた、こうした視点を抜きにして語ることはできないと私は思います。日本ではどうなのかということも考えなければなりません。

 いまは同じことを目指しているように見えても、どこかで異なる夢を見ているのではないか。科学と技術の進歩に信頼を置きつつ、なお、そうした疑念・・・というか、ま世間知のようなものですね・・・もまた、個人的には保持しておきたい。そのあたりを踏まえつつ、変えるべきものと守るべきものを注意深く、見極めていく役割も、誰かが担う必要はありそうです。

 以下、プレス声明の日本語仮訳です。

   ◇

 人権デーに寄せる国連合同エイズ計画(UNAIDS)事務局長メッセージ

 2019年12月10日 プレス声明

 

 人権はエイズ終結の鍵であり、エイズの流行開始以来、続いている闘いとその成果の中心でもあります。

 私たちが人権を求めてこなければ、そして人権がエイズ対策の核心であることをたえず訴え続けてこなければ、2400万もの人が治療を受けられるようにはならなかったし、HIV陽性者の5人に4人が自らの感染を知っているという状態にもならなかったでしょう。そして、社会的に弱い立場に置かれ、排除されがちな集団およびHIV陽性者が、スティグマに妨げられることなく保健医療へのアクセスを確保するよう政府に責任をもって迫る力も得られなかったでしょう。

 それでもなお、エイズへの対応は終わったわけではありません。人権を妨げる障壁は残っています。HIVは依然として、不平等とスティグマ、差別、暴力による流行なのです。人権が侵害されれば、感染のリスクは高まり、HIV検査も治療も受けられません。

 世界の新規感染の54%はキーポピュレーションの人たちで占められています。サハラ以南のアフリカを除けば、75%です。2018年には世界全体で毎週6000人の思春期の少女と若い女性がHIVに感染しています。はっきりさせておきましょう。これらのコミュニティはあらかじめ取り残されていたわけではなく、すでに存在し、新たに制定されもする法律や政策、およびその執行により、取り残された状態に追い込まれていくのです。

 様々な差別や不平等のために、女性やキーポピュレーションは特異な脆弱性や障壁を経験しています。たとえば、薬物を使用している女性は、投獄される割合が極端に高く、HIV感染のリスクも男性の薬物使用者より高くなっています。

 セックスワーカー、ゲイ男性など男性とセックスをする男性、トランスジェンダーの人たち、薬物使用者には、刑法による過酷かつ容赦のない壁が立ちはだかっています。法律がスティグマと差別を広げ、ハームリダクションやHIV検査、治療、予防のサービスを受けるのを妨げています。コミュニティが連絡を取り合い、助け合うこともできなくなります。コミュニティを孤立に追い込み、社会から見えにくくし、暴力被害を広げるのです。

 こうした法律は人びととコミュニティが平等かつ健康的な生活を送ることを妨げ、プライバシーと家族を守る権利を侵害し、生命にすら影響を及ぼしています。

 しかし、私たちは少しずつ、この状態を覆してきました。セックスワークの非犯罪化により、過去10年でセックスワーカーとそのパートナーの新規HIV感染は33%から44%、減少しています。サハラ以南のアフリカの新たなエビデンスによると、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーインターセックスの人たちに支援的な法律がある国では、HIVに感染したゲイ男性など男性とセックスをする男性の間で自らのHIV感染を知っている人の割合が他の国々より3倍も高くなっています。また、薬物使用を非犯罪化し、ハームリダクションを提供している国では、薬物使用者のHIV感染が急減しています。

 もはやエビデンスがあるかどうかという話ではありません。必要なのはリーダーシップと政治的な決断と行動なのです。

 人権に関し、各国が真っ先に担うべき責務は「尊重」です。人権を侵害するのではなく、尊重することです。差別的な刑法を残したままでは、この最初のハードルを越えることはできません。

 法律は最も弱い立場に置かれ、支援を必要とする人たちを守るためにあります。迫害するためではありません。公衆衛生と人権を守る努力を妨害するためではないのです。

 

 

 

PRESS STATEMENT

UNAIDS Executive Director's message on the occasion of Human Rights Day

10 December 2019

 

Human rights are key to ending AIDS and have been at the heart of every struggle and every success we have had since the beginning of the epidemic. 

Without us demanding our human rights and the tireless call to ensure that human rights remain central to the AIDS response, we would not have more than 24 million people on treatment today and four in five people living with HIV would not know their HIV status. Vulnerable and marginalized populations and people living with HIV would not have access to stigma-free health care or the ability to hold governments to account.

Yet the AIDS response is not over, and barriers to human rights remain. HIV is still an epidemic of inequality, stigma, discrimination and violence. Where people’s rights are breached, they are at higher risk of infection and are less likely to take an HIV test or to be on treatment.

Key populations now account for 54% of new infections globally―75% of new infections outside of sub-Saharan Africa. Globally, in 2018, 6000 adolescent girls and young women became infected with HIV every week. Let me be clear, these communities are not being left behind―they are being pushed behind, by laws, policies and practices that are created, enacted and implemented.

Intersecting forms of discrimination and inequality push women in key populations to experience unique vulnerabilities and barriers. We know, for example, that women who use drugs are disproportionately incarcerated and are at higher risk of HIV than their male counterparts.

Sex workers, gay men and other men who have sex with men, transgender people and people who use drugs face harsh and unforgiving barriers in the form of criminal laws. These laws increase stigma and discrimination and stop people accessing harm reduction and HIV testing, treatment and prevention services. They prevent communities from coordinating and working together, they isolate and render communities invisible and they increase levels of violence.

These laws affect lives and the rights of people and communities to equality, health, privacy, family and even life itself.

But, in a stroke of the pen we could reverse this. Decriminalization of sex work could reduce between 33% and 46% of new HIV infections among sex workers and their partners over 10 years. New evidence in sub-Saharan Africa has shown that knowledge of HIV status among gay men and other men who have sex with men who were living with HIV was three times higher in countries with more supportive laws for lesbian, gay, bisexual, transgender and intersex people, and countries that decriminalize drug use and provide harm reduction see HIV infections plummet among people who use drugs.

This is no longer about a need for evidence―it’s about leadership, political courage and action.

The first obligation of a country for its human rights is “respect”―the obligation to respect, not breach, people’s human rights. By keeping such criminal laws in place, we are failing at the first hurdle.

The law should protect, not persecute, the most vulnerable and must support, not sabotage, public health and human rights efforts.

著者と語る『LGBTヒストリーブック 絶対に諦めなかった人々の100年の闘い』

 尊敬するジャーナリストであり、酔っ払いおじさんでもある北丸雄二さんが12月5日午後、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見を行いました。日本記者クラブの公式サイトに会見リポートが掲載されています。 

www.jnpc.or.jp

 『LGBTヒストリーブック』は米国で子供向けに刊行され、日本では北丸さん訳で12月に出版されたばかりの本です。

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 英文タイトルには「for kids」と銘打ってありますが、諸君!今からでも遅くはない、元kidsの大人にとっても必読の文献というべきでしょう。北丸さんには、この機会に公民権運動としての米国のLGBT運動の歴史と最近の我が国の状況を含めてお話しいただくようお願いしました。

 かなり難易度の高いタスクですが、二日酔いの勢いを駆って、やすやすとこの離れ業をやってのけるのが、北丸雄二というジャーナリストであり、翻訳家であり、文芸評論家でもあるという定義しがたい人物の食えないところですね。

 才気煥発、博覧強記、話題豊富、万有引力のお話を所定の行数でリポートにまとめるのには苦労したよ(結局、さわりをちょっと紹介する程度で終わってしまったけれど・・・)。

 

ラグビーレジェンド、カミングアウトを語る TOP-HAT News 第135号(2019年11月)

 気が付けば寒波・・・。熊本のエイズ学会も世界エイズデーも過ぎてしまいましたね。気ぜわしい年の瀬です。掲載が少々、遅れてしまいましたが、TOP-HAT News の第135号(2019年11月)を紹介します。巻頭では『available in Japanese(日本語訳もあります)』ということで、国連合同エイズ計画(UNAIDS)の報告書やHIV/エイズ関係の英文資料を日本語に訳して紹介するプロジェクトを取り上げました。地道な作業ですが、最近はさまざまな場所で知識や情報のUPDATE!の必要性が指摘されています。

 UNAIDSからも「これは使えるぞ」という好感触と強調関係を獲得できたようなので、これからも少しずつ翻訳による文献紹介機能の充実をはかりたいと思います。

 2019年秋の日本列島は、ラグビーのW杯で大いに沸きました。あまり予想しなかったことですが、ダイバーシティの観点から、HIV/エイズに関する理解を広げる重要な機会にもなりました。プライドハウス東京2019のトークセッションには、ラグビーウェールズ元代表で英テレビ局ITVラグビー解説者でもあるギャレス・トーマス氏が登場しました。こちらのセッション報告『ラグビーレジェンド、カミングアウトを語る』もぜひお読みください。

 

 

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メルマガ:TOP-HAT News(トップ・ハット・ニュース)

        第135号(2019年11月)

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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発マガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。

なお、東京都発行のメルマガ「東京都エイズ通信」にもTOP-HAT Newsのコンテンツが掲載されています。購読登録手続きは http://www.mag2.com/m/0001002629.html  で。

エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部

 

 

  ◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに available in Japanese(日本語訳もあります)

2 セクシュアリティHIV・・・ラグビーレジェンド、カミングアウトを語る

3 記者会見『HIV感染症エイズ-予防・治療の新時代-』

4 『ヤローページ新宿2019』を無料配布

   ◇◆◇◆◇◆

 

1 はじめに available in Japanese(日本語訳もあります)

世界のHIV/エイズの流行について、現時点で最も信頼度の高いデータが得られるのはおそらく、国連合同エイズ計画(UNAIDS)が毎年7月に発表する年次報告書でしょう。その最新版である『Global AIDS Update2019』について、UNAIDSは公式サイトに特集ページも設けています。 

www.unaids.org

 報告書全文のPDF版がダウンロードできるほか、インタビュー動画やソーシャルメディア用素材、関連スライド集なども掲載されています。まさに情報の宝庫と言えそうですが、残念なことにすべて英語です。国連は英語、フランス語、ロシア語、中国語、スペイン語アラビア語公用語とされており、中でも英語による情報量が圧倒的に多い。

 したがって、国連機関の一つであるUNAIDSの資料が英語中心で、日本語にはめったにお目にかかれない。ま、それもしょうがないかと思いつつサイトを見ていくと、報告書の主要なメッセージをコンパクトにまとめた『Key Message』という資料のところには、欄外に小さく『This document is also available in Japanese (courtesy of API-Net)』という表示があります。『API-Netの好意により、日本語でも読めます』ということですね。

https://www.unaids.org/en/resources/documents/2019/2019-global-aids-update_key-messages

 ご存じの方も多いとは思いますが、一応、説明しておきましょう。API-Net(エイズ予防情報ネット)は厚労省の委託を受け、公益財団法人エイズ予防財団が運営しているHIV/エイズ分野の啓発・情報サイトです。

UNAIDSのサイトでThis document is also available in Japaneseの部分をクリックするとAPI-Netに掲載されている日本語版にリンクするようになっています。

 さらにAPI-Netには、キーメッセージ以外にもGlobal AIDS Update2019の特集ページから以下の3つのパワーポイント(PPT)スライド集が日本語に訳して掲載されています。

・Core epidemiology slides(主な流行推計スライド)

・Introduction and summary(イントロダクションとサマリーから)

・Community Engagement(コミュニティの関与)

国境を越えたウイルスの移動に対応するには、国境を越えた情報の共有が必要になる。このことはエイズの流行の初期から、ことあるごとに指摘されてきました。

それでも、言葉の壁が立ちはだかり、共有はなかなか進んでいません。研究者同士なら「英語の文献ぐらい、そのまま読めば」ということになるのかもしれませんが、本当に情報を必要としているのは誰なのかということを考えてみてください。英文で「そのまま読めば」と言って解決できる問題ではないでしょう。

ニーズへの対応は、そのニーズに気づいた人が動き始めなければ進みません。API-Net掲載の日本語版作成にはエイズソサエティ研究会議のメンバーも協力し、UNAIDSとエイズ予防財団との信頼関係が少しずつ(本当に少しずつ)生まれてくる中で、いわばUNAIDS公認の啓発資材として利用できるところまでこぎつけたのです。ささやかなベスト・プラクティス事例と言えるかもしれません。

PPTスライド集の日本語版は、シンポジウムや講演会、啓発イベントなどでも活用できそうですね。エイズ予防財団に「使います」と、ひと声かけておけば、そっくりそのまま使うことも、その中の何枚かを部分使用することもできるということです。

 エイズ予防財団への連絡および問い合わせはこちらで。

 http://www.jfap.or.jp/prg/sendmail/SendMail.aspx

 

 

2 セクシュアリティHIV・・・ラグビーレジェンド、カミングアウトを語る

 ラグビーウェールズ元代表で英テレビ局ITVラグビー解説者でもあるギャレス・トーマス氏が、ラグビーW杯開催中の10月31日(木)夜、東京・神宮前のプライドハウス東京2019でトークセッションに参加しました。

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 トーマス氏はウェールズ代表として100試合に出場し、主将も務めた名選手。現役時代の2009年に男性同性愛者としての自らのセクシュアリティについてカミングアウトし、その後も2011年までトッププレーヤーとしてプレーを続けていました。

 また、2019年9月にはツィターでHIVに感染していることを公表し、HIVセクシャリティに関するスティグマと闘うために、積極的に発言を続けています。今回はW杯のTVコメンテーターとして来日したということです。トークセッションの模様はエイズソサエティ研究会議HATプロジェクトのブログでご覧ください。 

 https://asajp.at.webry.info/201911/article_2.html

 

 

3 記者会見『HIV感染症エイズ-予防・治療の新時代-』

 日本エイズ学会の松下修三理事長が10月23日午後、東京・内幸町の日本記者クラブで『HIV感染症エイズ-予防・治療の新時代-』をテーマに記者会見を行いました。日本エイズ学会が6月に発表した『HIV感染を理由とした就業差別の廃絶に向けた声明』に関する背景説明やHIV感染の予防と治療に関する最新情報などを包括的に報告しています。

 会見の様子は、日本記者クラブの公式サイトでYoutubeの動画も含め、紹介されています。

 https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/35512/report

 

 

4 『ヤローページ新宿2019』を無料配布

 東京・新宿二丁目を中心にした新宿のタウン情報とHIV検査をはじめとする性の健康情報を組み合わせた冊子『ヤローページ新宿2019』がコミュニティセンターaktaや新宿二丁目界隈のバーで無料配布されています。

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 厚労省委託事業『同性愛者等向けコミュニティセンターを活用した広報等一式』によりヤローページとしては3年ぶりに発行。6ページにわたる新宿広域マップや二丁目のバーなどのお店情報、HIV/エイズに関する検査・相談情報、専門医へのインタビューなど盛りだくさんな内容の40ページです。詳細はaktaの公式サイトをご覧ください。

   http://akta.jp/

 

堂々公開! akta youtube channel

 新宿二丁目のコミュニティセンターaktaが、12月1日の世界エイズデーを機にyoutube channelを開設、公開しました。

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 コミュニティアクションのFeatures欄にも簡単な紹介記事を掲載したので、ご覧ください。
 《分かりやすいぞ、akta youtube チャンネル》
 http://www.ca-aids.jp/features/247_youtube.html

『初回は、国のHIV検査の方針を検討する厚労科研「HIV検査受検勧奨に関する研究」研究代表者であり、都立駒込病院感染症課部長の今村顕史先生(医師)に、「HIV検査を早めに受けることが昔以上に大事だって聞いたんですけど、ほんとですか?」というタイトルで、インタビューを行いました』(akta公式サイトから)