2022年確定値は884件 エイズ動向委員会報告 エイズと社会ウェブ版658

 第161回エイズ動向委員会が8月18日に開かれ、2023年(令和5年)第1、第2四半期の新規HIV感染者・エイズ患者報告数とともに、昨年(2022年)の年間報告確定値が公表されました。
 昨年の年間報告数は3月に速報値が発表されていますが、確定値はその時より新規HIV感染者・エイズ患者報告数の合計で14件、上積みされていました。小幅な増加です。
 ここでは、API-Netに掲載された動向委員会の委員長コメントから、確定値を中心に取り上げましょう。
 https://api-net.jfap.or.jp/status/japan/data/2023/2308/20230818_coment.pdf
 2022年の確定値の概要は以下の通りです。

 新規HIV感染者報告数  632件(過去20年間で20番目の報告数)
 新規エイズ患者報告数   252件(過去20年間で20番目の報告数)
  合計報告数       884件(過去20年間で20番目の報告数)

 年間の報告数をグラフにしてみました。2013年の年間1590件をピークに顕著な減少傾向が示されています。

   

 ただし、2022年の減り方がとくに大きいのは新型コロナウイルス感染症COVID-19の流行で、HIV検査件数そのものが大きく減っていることの影響もありそうです。
 報告全体に占めるエイズ患者報告の割合も計算してみました。
 2019年 26.9%、2020年 31.5%、2021年 29.8%、2022年 28.5%
 この割合が高いということは、感染してからエイズを発症するまで、感染を確認できなかった。したがって治療の開始も遅れることになります。
 一方、この割合が下がってくれば、感染から比較的、早期に検査を受けて自らの感染を確認し、治療を開始する人がそれだけ多くなるとの推測もできます。
 コロナ流行という大きな変動要因を抱えつつ、この割合が再び30%を下回り、さらに流行前の2019年レベルに戻りつつある。だからどうした・・・という分析は、この時期、特に重要ではないか。数字に弱い素人ながら、改めてそう思います。