性来のものぐさであるうえ、身辺の変化といいますか、退職に伴う個人的な気ぜわしさも手伝って、ずいぶん長い間、中断状態が続いていましたが、ピーター・ピオット著『AIDS BETWEEN SCIEN AND POLITICS』の翻訳を細々と再会しました。その中の一節。コンビネーション予防に関する説明です。
『コンビネーション予防では数種類の対策を平行して進めなければならない。コンドーム使用の促進、セックスの相手の数を減らすための行動変容、パートナー間の年齢差の縮小、HIV陽性率の高い国における男性割礼手術、曝露前感染予防(PrEP)を含む抗レトロウイルス治療、注射薬物使用者への代替療法や注射針交換といったハームリダクションの方 策、性的暴力やアルコール乱用に対する構造的介入、HIV関連スティグマの解消といった対策だ。それぞれに異なる疫学的状況に即応し、そうした対策を適切に組み合わせていかなければならない。コンビネーション予防の考え方は、感染症対策の分野ではあまり馴染みがなかったが、公衆衛生や社会政策のプログラムでは実は目新しいものではない(注12)。たとえば禁煙や肥満対策のキャンペーンでは使われてきた。HIV予防で重要なことは、それぞれのリスク状況によって効果の高い組み合わせが変わってくることだ。この面ではさらに研究を進めていく必要がある』
そうだったのかぁ・・・説得力があるなあと改めて思います。本のタイトルは日本語に訳せば『エイズ 科学と政治の間』。ほんのさわりだけですいません。いやあ、勉強になることばかり・・・と訳しながら思います。
同じ著者の『NO TIME TO LOSE』の時と同じ翻訳チームで取り組んでいるので、チャンスに恵まれれば、皆さんに日本語版をお読みいただける機会がいずれ訪れるかもしれませんね。そのときはよろしく。