いまこそ必読 『新エイズ予防指針と私たち―続けよう、HIVとの闘い』

 前回は2005年のエイズ予防指針見直しについて紹介しました。では、その次の2011年の見直しに関する議論(改正告示は2012年1月)は、どうだったのか。

 よくぞ聞いていただきました・・・え、聞いていない? そんなことを言わずに、こちらが参考にしていただけると思います。
 冒頭の対談には、エイズ予防財団の理事でもある国立大阪病院の白阪先生、日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラスの長谷川さん、さらに、おまけとして不肖・私の三者が参加。ともすれば、とりとめのない方向に話が流れがちなところを司会の永易さんがうまくまとめてくださいました。さすが伝説のエディターにしてライター、かつ行政書士。おそるべき編集の冴えというべきでしょう。

 

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公益財団法人 エイズ予防財団 | 新刊のご案内 7月15日発売 新エイズ予防指針と私たち ― 続けよう、HIVとの闘い ―


 「新刊のご案内」とありますが、2012年7月の新刊のご案内です。つまりもう、かなり旧刊のご案内になりますが、当時はどんなことが話し合われていたのか、いまだからこそおさえておきたい。
 もちろん、5年もの時間が経過すると、議論の中身はだいぶ変ってきます。残念ながらHIV/エイズに対する社会的な関心は極めて低いままだったという印象も個人的にはありますが、そうした状態にあってもなお、なんとか5年間、持ちこたえてきたということは、逆に成果として受けとめるべきなのかもしれません。

 ただし、持ちこたえてきたことが、これからも持ちこたえるだろうという楽観を保証する条件になるわけではない。このこともまた肝に銘じ、大急ぎで付け加えておきたいと思います。

 そもそも、どうして持ちこたえられたのかといいますと、それはもう、聞くも涙、語るも涙の物語が日本全国いたるところにありまして・・・抑えて、抑えて。

 いま検討されている課題の出発点という意味では、変ったように見えるものの不変性や継続性にも着目しておく必要があります。
 ということで、NHKの番宣戦略に刺激を受けたわけではありませんが、手前味噌を承知であえて・・・この時期には必読の一冊!。

第1章 HIVにかかわる人びとの「顔の見えるつながり」をつくりだそう(座談会)
第2章 「絵に描いた餅」からの離脱へ(改正エイズ予防指針の背景と課題)
第3章 HIVネットワークづくりの実際(もしあなたが市役所のエイズ担当になったら)
第4章 コミュニティの「ハブ」ステーションへ(コミュニティセンターaktaの取り組み)
第5章 地方ゲイCBOとの協働による地域対策(HaaTえひめの取り組み)
第6章 コミュニティアクション2011報告(たとえば、こういうやり方もあり!)
第7章 エイズの流行30年の曲がり角(世界のHIV/エイズ対策の歩み)
付  後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針(平成24年1月)