繰り返しのような内容ですが、こちらも紹介しておきましょう。グローバルファンドの第5次増資会合閉幕後に国連合同エイズ計画(UNAIDS)が発表したプレス声明の日本語仮訳です。
グローバルファンドの増資会合は大成功でしたということで、歓迎の意が示されています。私ももちろん、そのこと自体は結構なことだと思います。
ただし、2030年のエイズ流行終結を目指すにはさらにエイズ対策資金の上積みが必要。この声明で示されているUNAIDSの推計では2020年時点で年間260億ドルということです。6月の国連総会ハイレベル会合を含め、このところ、やるぞやるぞという決意表明がことあるごとになされてきました。これからもなされるでしょう。でも、どうなのかな・・・極東の片隅で不遇を託つおじさんは、盛り上がっている皆さんを見ると、ついついひがみっぽくなってしまいます。
大した根拠のない個人的な感想で恐縮ですが、世界の動きを見ていると、これからさらにエイズ対策に流れる資金が増えていくとはちょっと思えない。「エイズはもういいだろう」感覚は度し難いというか、侮りがたいというか。日本国内にいると、そんな感じで、今夜あたりはもう、にわかに秋風が身にしみてきました。
グローバルファンドへの全面的な支援をドナーが約束、UNAIDSは将来のHIV資金確保に期待
ジュネーブ2016年9月20日 ―世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)への力強い支援を約束したドナー、パートナーのすべてに対し、国連合同エイズ計画(UNAIDS)は称賛を惜しまない。カナダのモントリオールで開かれた第5次増資会合で、世界のドナーはグローバルファンドが求めていた2017~19年の必要額130億米ドルのうち129億米ドル分の誓約を行った。
グローバルファンドの推計では、この支援により来年以降3年間にエイズ、結核、マラリアの三大感染症により失われる800万人の生命を救い、3億人の感染を防ぎ、持続的な保健システム構築を助けることができる。
「グローバルファンドはエイズ、結核、マラリアの継続的な流行に対応するための不可欠なパートナーです」とUNAIDSのミシェル・シディベ事務局長は語った。「これらの疾病に効果的に対応することで、何百万という人の生命を救い、同時に貧困や不平等、差別と闘うことができるのです。今回の増資はエイズ終結という野心的な目標の実現に極めて大きく貢献を果たすことになります」
新たな資金約束は前回(2013年)の増資会合の誓約額120億米ドルを大きく超えている。民間ドナーと革新的資金メカニズムによる誓約額は2倍以上になっている。いくつかの国が新たに誓約国に加わり、他にもカナダ、ドイツ、日本などが拠出誓約を大きく増額した。グローバルファンドへの拠出誓約に加え、コートジボワールはUNAIDSの活動の支援にも100万米ドルを誓約した。
2015年には低・中所得国のHIV対策に使われた資金は推計190億米ドルだった。その資金の約57%は各国の国内の公的資金および民間資金だった。海外からの援助資金は43%で、このうち23%が米国政府の二国間援助、9%がグローバルファンド、3%が慈善団体の資金、残りは他の国の二国間援助および多国間機関の援助だった。
公衆衛生上の脅威としてのエイズの流行を2030年までに終結させるという世界目標を実現するには、2020年時点で2015年実績をさらに70億米ドル上積みした年間資金が必要になるとUNAIDSは推計している。
UNAIDS encouraged for future of HIV funding as donors pledge full support to the Global Fund
GENEVA, 20 September 2016—UNAIDS applauds all donors and partners for their demonstration of a strong commitment to the Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria (Global Fund). At its Fifth Replenishment Conference in Montreal, Canada, donors pledged US$ 12.9 billion of the US$ 13 billion called for by the Global Fund for the three-year period 2017–2019.
For the three diseases, the Global Fund estimates that the amount raised will save 8 million lives, avert 300 million infections and help build sustainable systems for health.
“The Global Fund is an essential partner to address the continuing epidemics of AIDS, tuberculosis and malaria,” said Michel Sidibé, Executive Director of UNAIDS. “Through an effective response to these diseases we can improve the lives of millions of people and simultaneously address poverty, inequality and discrimination. This replenishment is an enormous contribution to our collective ambition of ending AIDS.”
The new financial commitments represent a significant increase compared to the US$ 12 billion in pledges made at the previous replenishment conference. Private donors and innovative financing mechanisms more than doubled their pledges to the Global Fund compared to the last conference. Several new countries made pledges and others increased commitments, including Canada, Germany and Japan. In addition to pledging to the Global Fund, Côte d’Ivoire announced a pledge of US$ 1 million to support the work of UNAIDS.
In 2015, an estimated US$ 19 billion was available from all sources for the global response to HIV in low- and middle-income countries. Around 57% of resources were from domestic public and private resources and 43% were from international sources, including 23% from United States of America Government bilateral contributions, 9% from the Global Fund, 3% from philanthropies and the rest from other bilateral and multilateral sources.
To meet global targets to end AIDS as a public health threat by 2030, UNAIDS estimates that US$ 26.2 billion will be needed in 2020, around US$ 7 billion more than was available in 2015.