持続可能な開発目標(SDGs)最終文書 17の目標 エイズと社会ウェブ版192

 

 「ポスト2015」の新たな国際社会の目標となる「持続可能な開発目標(SDGs)」について国連加盟国が8月2日、最終文書に合意しました。国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所の公式サイトに『持続可能な開発目標(SDGs)採択までの道のり』として、その概要が紹介されています。

 http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/presscenter/articles/2015/08/21/sdg.html

 

 今年が達成年になっているミレニアム開発目標MDGs)の成果を引き継ぎ、2016年から30年までの新たな目標を示すもので、9月25日〜27日に国連総会の「持続可能な開発に関するサミット」で正式に採択される見通しです。

 

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 UNDPのサイトによると『貧困や環境など17の目標と169項目の具体的な達成基準』が盛り込まれました。『途上国の開発課題が中心だったMDGsに比べて、SDGsは持続可能なエネルギーの利用拡大、海洋資源の保護、気候変動対策など先進国が自国での取り組みを求められる目標も多く盛り込まれています』と説明されています。かなり幅が広がった印象ですね。

 

 2000年にスタートしたMDGsはかなり野心的な目標が多く、最初の頃は「とても実現は不可能」と言われていました。もちろん、15年がたってもすべてが実現できたとは到底いえあませんが、「かなり健闘した」という評価はあります。たとえば、国連潘基文事務総長は7月6日に発表したMDGs報告書の中で「極度の貧困をあと一世代でこの世からなくせるところまで来た」と成果を強調しています。もちろん、「うまくいかなかった」とは言えない立場なので多少は割り引いて受け止める必要がありますが、失敗だったらここまでは言えません。そもそも、「MDGsの次はSDGsだ」という国際社会の動き自体が、MDGsは少なくとも失敗ではなかったという評価があることを示しています。

 

 そのMDGsの8目標の中でも6番目の感染症対策は、大きな成果があがった分野として評価されています。とりわけ、HIV/エイズ対策の成果は目覚ましい。2000年当時、低・中所得国で抗レトロウイルス治療が普及するなどということは、医療分野のおそらく大半の専門家が「できっこない」と考えていました。いまは1500万人が治療を受けています。感染予防のための様々な活動も世界各地で続けられています。

 

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)の推計では、MDGs発足以来の15年間で3000万人のHIV感染と780万人の死亡を防いだということです・・こう書くと「あっ、そうなの。じゃあ、エイズ対策はもういいでしょう」という意見がでてきそうですが、もちろん、もうよくなどありません。流行の克服への道は、ようやく半分までたどりついたかどうかというところです。ここで対策の勢いを失えば、せっかくの成果も台無しになり、近い将来、より困難な現実に直面してしまうでしょう。

 

 それはさておき、この15年の大きな流れを見渡せば、「MDGsは使える」という評価があり、NDGs8目標以外の分野からも、次の目標にはなんとか食い込みたいという動きが出てきた。その結果としての17目標、169達成基準です。UNDP駐日代表事務所のサイトには、17項目の目標のリストもあるので、まずは出発点としてご覧下さい。