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TOP-HAT News(トップ・ハット・ニュース)
第61号(2013年9月)
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TOP-HAT Newsは、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指し、毎月発行しています。特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて編集、発行を担当し、HATプロジェクトのブログに掲載しているほか、コンテンツは東京都発行のメルマガ「東京都エイズ通信」でも読むことができます。東京都エイズ通信の購読登録手続きは、以下のサイトでできます。 http://www.mag2.com/m/0001002629.html
当ブログでも今回の引っ越しを機に掲載を開始します。
◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆
1 はじめに オリンピックとエイズ対策
2 資料紹介: IOC、UNAIDSによるツールキット
3 第3回AIDS文化フォーラムin京都
4 ビルの壁面広告デザインを募集
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1 はじめに オリンピックとエイズ対策
2020年の夏季オリンピック・パラリンピックの開催都市が東京に決まりました。東京五輪招致委員会が9月7日、ブエノスアイレスの国際オリンピック委員会(IOC)総会で行った最終プレゼンテーションについてはすでに新聞やテレビで繰り返し報道され、皆さんよくご存じなので改めて言及する必要はないでしょう。ただし、HIV/エイズ対策との関係でひとつ強調しておきたいことがあります。
東京チームの招致成功の大きな要因の一つは、オリンピックムーブメント(オリンピック運動)に着目し、その重要性をアピールしたことにありました。五輪精神の核というべき考え方を真っ直ぐに訴えたことがIOC委員の心をつかんだことは想像に難くありません。それでは、そのオリンピック運動とは何か。7年後に東京でオリンピック・パラリンピックが開かれる以上、この点の認識の共有は、五輪関係者だけでなく、HIV/エイズ対策に取り組む人たちにとっても大切です。HIV感染の予防対策やHIV陽性者に対する差別、偏見との闘いもまた、オリンピック運動の重要な活動のひとつとなっているからです。
IOCは2004年に「スポーツを通じたHIVとエイズの予防に関する方針」を定め、国連合同エイズ計画(UNAIDS)とも協力のための合意文書を交わしています。昨年5月に更新された『スポーツを通じたHIV&AIDSの予防』というIOCのファクトシートには、その考え方が次のように説明されています。
http://asajp.at.webry.info/201309/article_3.html
《スポーツを人々に役立てるようオリンピック憲章が求めていることでも分かるように、IOCには道義的な責務がある。実際に草の根のプロジェクトに投資し、教育的な活動を促すことで、国連のミレニアム開発目標(MDGs)の目標6に盛り込まれているHIV/エイズとの世界的な闘いにも貢献してきた。エイズはスポーツ全体の将来に影響を与えており、すべての人がこの闘いの中でそれぞれの役割を担う必要がある。HIV/AIDS対策、および差別との闘いに私たちすべてが加わることを求められているのはこのためである》
こうした考え方のもとで、IOCはたとえば、UNAIDSと協力してオリンピックの聖火リレーでHIV陽性者に走る機会を提供したり、アジア、アフリカといった地域単位でスポーツとエイズに関するワークショップを開いたり、五輪大会の機会には地元組織委員会と協力して選手に向けた予防キャンペーンを展開したりといった活動を続けてきました。オリンピック開催期間中に選手村でコンドームが無料配布されることは新聞やテレビでもよく取り上げられていますが、それもエイズ対策への理解を広げる予防キャンペーンの一環であり、必ず予防啓発のチラシなどとともに配られているはずです。
日本の五輪関係者はこれまで、あまりHIV/エイズ対策に高い関心を示してこなかったようだし、国内のHIV/エイズ対策の関係者も五輪招致に並々ならぬ熱意を示してきたというわけではなさそうです。ただし、7年後に東京でオリンピック・パラリンピックが開催されることが決まった以上、東京五輪とHIV/エイズ対策の双方の関係者が理解しあい、協力していく場面は今後、否応なく増えていくことになります。ここはひとつ、「否応なく」などと言わず、積極的に流れを作っていくような決断を互いに期待したいですね。
2 資料紹介: IOC、UNAIDSによるツールキット
IOCとUNAIDSが協力して取り組む「スポーツを通じたHIVとエイズの予防」は具体的には各国の国内オリンピック委員会(NOC)に実施主体としての大きな役割が期待されています。ただし、「そんなこと言われたって、何をやったらいいのか・・・」と戸惑うNOCも多かったのでしょうね。2005年にはスポーツ関係者に向けてHIV/エイズ対策の基本的な考え方や研修に利用可能な素材などを提供するためのツールキット『力を合わせてHIVとエイズの予防に取り組もう』が発行されています。
このツールキットはIOCとUNAIDSが共同で発表し、2010年には第2版が出されています。HIV/エイズに関する基本的な情報の提供、大会期間中のキャンペーンを含むさまざまな活動例、プログラム開発のコツ、年齢層別のユース活動に関する具体的助言、専門的な助言や支援を得るための照会先などがまとめられ、英文のpdf版はネットでダウンロードできます。
http://www.olympic.org/Documents/Olympism_in_action/HIV_and_Aids/IOC-UNAIDS-MANUAL-EN.pdf
また、英語版のほか、フランス語、スペイン語、ロシア語、ポルトガル語、中国語、スワヒリ語にも訳されています。東京で、オリンピック・パラリンピックが開かれるのなら日本語版もほしいところですね(実はHIV/エイズ関係のNPOの間では仮訳を準備する動きも出ています)。
3 第3回AIDS文化フォーラムin京都
「エイズを知ろう、エイズで学ぼうⅢ」をテーマにした第3回AIDS文化フォーラムin京都が10月5日(土)、6日(日)の2日間、京都市上京区の同志社大学今出川キャンパスの良心館と寒梅館で開かれます。
横浜で今年20回目を迎えたAIDS文化フォーラムin横浜は毎年夏に開かれていますが、京都は秋です。横浜のフォーラムに京都から参加した人たちを中心にAIDS文化フォーラムin京都が始まったのは2年前でした。3回目となると、HIV/エイズについて幅広く学べる秋の啓発イベントとしてすっかり定着した感があります。盛りだくさんのプログラムは公式サイトでご覧ください。
http://hiv-kyoto.com/timetable.html
4 ビルの壁面広告デザインを募集
東京・新宿2丁目のビルの壁面にHIV感染症とHIV検査について知ってもらう広告を掲載するため、HIV治療薬に特化した製薬メーカー、ヴィーブヘルスケアがデザインの公募を行っています。
広告のサイズは幅4.8メートル、高さ2.4メートルなのでかなり目立ちそうですね。《「HIV 陽性であっても、友人や恋人との関係が今までと変わらない」「ゲイコミュニティに居場所がある」というメッセージ》をまず発信し、その上で今度は《「予防や治療についての知識を身につけよう」「早く検査を受けよう」という呼びかけ》につなげようという二段階作戦で、掲載は2014年1~6月、2014年7~12月の2期に分かれます。このため、デザインにも以下の条件が付いています。
【第1 期】「Living Together」(HIV に感染している人もしていない人もみんなこの街で一緒に生きている)というメッセージを入れる。
【第2 期】HIV 検査啓発メッセージを日本語もしくは英語で入れる。
デザイン募集期間は以下の通りです。
【第1 期分】2013 年9 月5 日(土)~10 月31 日(木)
【第2 期分】2014 年2 月1 日~2014 年3 月31 日(予定)
応募方法などはヴィーブヘルスケアのサイトでPDF版の「募集のお知らせ」をご覧ください。
http://glaxosmithkline.co.jp/viiv/healthcare/pdf/bld_ad_20130909.pdf