HIV/エイズ 世界の現状と今後の資金需要 涙のPP編 エイズと社会ウェブ版243

 改めて言うまでもないことですが、8月はとにかく暑い。昔、昔、あるところに・・・じゃなかった、ちょっと昔、おじさんが東京で受験生をやっていたころには、夏を制するものこそが入試を制すなどと言われて、汗だくになって勉強したなあ。

 今日のおじさんがあるのも、あの夏のおかげ・・・といいますか、むしろ、あんなに受検勉強に励んでも、結局は今日のおじさんのようになってしまうのよ!クーッという思いもこの歳になると強いのですが、そのようなことは良い子の皆さんには決して伝えてはいけませんね。

 ついつい人生に対する愚痴が出ちゃうのはいかんともしがたいところであります。

 それはまあ、ともかくとして「夏に鍛えよ」という精神主義の後天性DNAはいまも暑くなると作動しちゃうようで、この夏はNPO法人IPC鎌倉地域振興会主催のパワーポイント講座全4回を受講し(いまは3回目が終了したところですが)、ついに、なんとか、ようやく、曲がりなりにも、パワーポイントのスライドというものを作成できるところに到達いたしました。先生は高齢者、生徒(3人)も高齢者という兆スローカーブの展開が幸いして、私にもよ~く理解できます。その成果の一部と申しましょうか・・・。もちろん、まだ入口段階ですが、練習のために自宅で作成したものから1枚。

 

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 元の資料は国連合同エイズ計画(UNAIDS)のファクトシート2016です。日本語仮訳がAPI-Net(エイズ予防情報ネット)に掲載されているので、その数字を拝借しました。

http://api-net.jfap.or.jp/status/pdf/UNAIDS_FACT_SHEET_2016_J.pdf

 ・・・ということで、相変わらず前置きが長くてすいません。拙いできばえをごまかすために少しだけ、注釈というか、数字に関する感想を付け加えておきましょう。

 まず、注目していただきたいのは、成人のHIV陽性者数が3490万人で、そのうち女性が1780万人と推計されています。つまり世界全体で見ると、女性のHIV感染が50%をわずかに超えています。

 全体をまるめてしまうと、キーポピュレーション(鍵を握る人びと)の存在を重視する視点が見失われてしまうおそれもあります。また、エイズ動向委員会の集計データでMSM(男性とセックスをする男性)の間での感染が報告の大半を占めている日本の現状とはかなり異なりますが、世界には女性が感染の高いリスクにさらされている地域がたくさんある。そして、実はそうしたリスクの背景となる要因の中には、日本の社会も共通して抱えているよものが必ずしも少ないわけではないといったことは認識しておく必要がありそうです。

 資金の面では、2020年の必要額が262億ドルであり、その10年後の2030年には239億ドルとなっています。つまり、今後5年間の高速対応により、投資の前倒しも含めてHIVの予防や治療のための資金を積極的に投入できれば、その成果で2030年以降はだんだんと必要な資金額も小さくなってくる。これがいま、予防としての治療の普及に世界が力を入れる理由になっているのですが、UNAIDSが具体的に数字で示したわけですね。とはいえ、推計額ですからご都合主義的な部分もないことはないのではないかという印象を私などは受けますが、それでも数字の魔力といいますか、なんとなくもっともらしい感じがしてくるから不思議であります。

 いま抗レトロウイルス治療を受けているHIV陽性者は1700万人もいて、これは過去15年間の大変な努力の成果なのですが、それでもなお世界のHIV陽性者総数と比べれば50%にわずかながら届いていません。今後5年間でいままでに倍する努力が必要だとされる所以です。

 ただし、世界はむしろ「エイズはもういいだろう」という感覚に傾いているようにも思えます。まさしくダーバンで英国のヘンリー王子が語ったように、私たちはいま「自己満足という新たなリスク」に直面していると言わざるをえません。