『鍵を握る個別施策層』 エイズと社会ウェブ版673

 どういうわけか、今回は具体的な動きがなかなか把握できませんが、厚労省エイズ予防指針見直し作業がいま、現在進行形で進んでいるようです。もうちょっとオープンいしてもいいように思うけれど・・・。その見直しがどうなるかということも意識しつつ、前回に続き、個別施策層について取り上げました。

 現代性教育研究ジャーナル No.154(2024年1月15日発行)の連載コラム「多様な性のゆくえ」第81回です。9ページに載っています。

 https://www.jase.faje.or.jp/jigyo/journal/seikyoiku_journal_202401.pdf

《Vulnerable(脆弱な)と規定してしまうと、流行に対し無力な印象も免れない。国連合同エイズ計画(UNAIDS)の報告書などで、Vulnerable Population に代わって Key Population(流行とその対策の鍵を握る人たち)が多用されるようになったのはこのためだろう》
 こうした議論は、20世紀から21世紀へと移行する前後に盛んに交わされていたように思います。予防指針に個別施策層が位置づけられていった時期とほぼ重なります。
《ところが、予防指針の改定を重ねる中で、個別施策層は対策上の配慮の対象としては引き続き強調されていたものの、対策をともに担うべき主体としてとらえる視点は失われていったように見える》
 今回の予防指針改定作業は、個別施策層の意味をもう一度、とらえ直す機会かもしれません。