TOP-HAT News 第113号(2018年1月)

  毎月1回発行のTOP-HAT News 第113号です。

 巻頭の「はじめに」は昨年11月に東京・中野で開かれた日本エイズ学会の報告です。少々、繰り返しの感がないこともないのですが、HI/エイズ分野の多様な論点が議論されたので、話題はつきません。今年は122日(日)から4日(火)まで、大阪国際会議場大阪市中央公会堂で開かれますというお知らせもあわせて掲載しました。そのころ日本はどうなっているのでしょうねえ。そうそう世界も・・・。

 

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        第113号(20181月)

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TOP-HAT News特定非営利活動法人エイズソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発マガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。

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エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部

 

 

◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

 

1 はじめに 出会いを生かす/第31回日本エイズ学会学術集会・総会から

 

2 今年は大阪

 

3 『デジタルとソーシャルメディア2018年トレンドをさぐる』 

 

4 男性はサービス提供のBlind Spot(死角) UNAIDS報告書

 

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1 はじめに 出会いを生かす/第31回日本エイズ学会学術集会・総会から

 新しい年を迎えても寒さが続きます。HIV/エイズの流行も依然、継続しています。今年も息長く、粘り強く情報の発信を続けていきますのでよろしくお願いします。

 第31回日本エイズ学会学術集会・総会は昨年1124日(金)から26日(日)まで、東京都中野区の中野サンプラザを主会場にして開かれました。学会終了後、公式サイトに掲載された生島嗣会長の「お礼のあいさつ」によると参加者は1500人を超えたということです。

 生島さんは、HIV予防啓発やHIV陽性者の支援活動を行っている特定非営利活動法人ぷれいす東京の代表です。今回の学会は、医学分野だけでなく、社会の様々な立場の人が幅広く参加していたことが例年にもまして印象に残りました。

例えば会議2日目の1125日に開かれた『アジアのMSMHIV~国を超えた連携を模索する』というシンポジウムでは、中国からBluedの管理運営会社のCEO最高経営責任者)であるGeng Le氏も参加し、発表を行っています。Blued2012年に中国で発足したゲイ向け出会い系アプリで、海外600万人を含む3000万人がユーザー登録をしているということです。

Geng Le氏はこのアプリの情報力をHIV検査普及や予防啓発のプラットフォームとしても活用することに強い意欲を示していました。

SNSによる人の出会いや情報の拡散が以前よりはるかに容易になっていることは、HIV感染の拡大要因の一つと考えられています。ただし、その同じ要因が同時にHIV予防対策の大きな潜在的可能性も有しています。『アジアのMSMHIV』は、その潜在力をめぐる議論がすでに理論上のレベルにとどまるものではなく、ビジネスの活力を生かした対応として現実の文脈の中で動き出していることも強く感じさせるシンポジウムでした。

SNSは第31エイズ学会でも、これまで以上に活用されていました。第112号の『2017年を振り返る』でも少し紹介したように、シンポジウムや全体会議の参加者にインタビューした動画はネット配信され、いまもYou tubeで見ることができます。

https://www.facebook.com/pg/31AIDSjp/videos/?ref=page_internal

先ほどのGeng Le氏や全体会議で講演を行った国連合同エイズ計画(UNAIDS)のルイス・ロウレス事務局次長ら海外からのスピーカーも含め、たくさんのメッセージが収録されています。全部で15本のインタビューは、1分程度から15分を超えるものまで長短様々ですが、エイズ対策の現在を把握するうえで貴重な資料といっていいでしょう。

様々な分野の様々な人が出会い、その出会いを生かしてHIV/エイズの流行に対応する力を広げていく。これこそが実は毎年のエイズ学会が担う最大の役割なのかもしれません。

 

 

 

2 今年は大阪

 第32回日本エイズ学会学術集会・総会は舞台を大阪に移して今年(2018年)122日(日)から4日(火)まで、大阪国際会議場大阪市中央公会堂で開かれます。

 テーマは『ゼロを目指して今、できること TowardZero- What I can do.』。学会長は国立病院機構大阪医療センターの白阪琢磨エイズ先端医療研究部長です。

 すでに公式サイトも開設されています。 

 https://www.c-linkage.co.jp/aids32/

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3 『デジタルとソーシャルメディア2018年トレンドをさぐる』  

 米国政府のHIV啓発サイト HIV.govに昨年末、『Digital and Social Media Trends to Watch in 2018』というレポートが掲載されました。

 https://www.hiv.gov/blog/digital-and-social-media-trends-watch-2018

HIV.govチームは以下の8つのトレンドを予測しています。

人工知能AI)の利用がさらに広がる。

・小スクリーン向けのビデオがさらに増える。

・チャットボットは単なるツールでなく、マーケティング経路にもなる。

ソーシャルメディアがブランドコンテンツとパーソナルコンテンツに分かれる傾向が続く。

・個別化(personalized)コンテンツが自動提示(automated)コンテンツにとって代わる。

・ネットで影響力を持つ人(online influencer)の力がさらに大きくなる。

・音声技術が定着する。

・保健通信機能(health communicators)が行動変容に向けた「マイクロモーメント(意図の即時実現)」(micro moments)に活用される。 

 

 

 

4 男性はサービス提供のBlind Spot(死角) UNAIDS報告書

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)は昨年121日の世界エイズデーに合わせ、男性に焦点を当てた報告書『blind spot』を発表しました。UNAIDSのミシェル・シディベ事務局長は報告書の発表に際し『女性、少女のHIVリスクを高めている不平等に取り組むこと』が世界のHIV/エイズ対策の最優先事項であることを指摘したうえで、男性が対策の「Blind Spot(死角)」になっている現状にも目を向ける必要があると強調しています。

『女性に比べると男性は、HIV検査を受けず、抗レトロウイルス治療へのアクセスが少なく、エイズ関連の疾病で死亡する傾向が強い』ことがデータで示されているからです。

 シディベ事務局長は『男らしさに対する誤った思い込みとステレオタイプな見方があるため、男性がセーファーセックスを実践したり、HIV検査を受けたり、治療を続けたり、セクシャリティについて話したりすることが困難な環境がつくられています』と述べ、『男性にも責任感が必要です。そうでないと、こうした虚勢が生命を奪うことになります』と警告しています。

報告書発表に関するプレスリリースの日本語仮訳をエイズソサエティ研究会議HATプロジェクトのブログに掲載したのでご覧ください。

http://asajp.at.webry.info/201712/article_2.html