涼しいというか、冷えますね。調子に乗って半ズボンで町を歩いていたら風邪をひいたかな。年寄りに鼻水・・・これじゃあ、しゃれにもならない。
今年の8月は恐るべき冷夏でした。第24回エイズ文化フォーラムin横浜の初日も初秋を思わせる涼しい1日だったけれど、オープニングセッションの会場は超満員でした。その理由は・・・。
TOP-HAT News第108号(2017年8月)の巻頭は横浜から。HATプロジェクトのブログにも掲載しましたが、再掲します。
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TOP-HAT News(トップ・ハット・ニュース)
第108号(2017年8月)
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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発メールマガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
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◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆
1 はじめに 文化の視点でエイズをとらえる
2 国連UNHCR難民映画祭2017 全国6都市で開催
3 パリ声明を発表 IAS2017
4 世界のHIV陽性者数は3670万人
5 HIVによる免疫機能障害の認定基準見直しを要望
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1 はじめに 文化の視点でエイズをとらえる
毎年8月の最初の金・土・日曜に開催されるAIDS文化フォーラムin横浜は今年で24回目を迎えました。例年なら朝から噴き出す汗を拭き拭き会場に向かうのですが、なんと初日の8月4日は初秋を思わせる涼しい一日でした。
今年のテーマは「リアルにであう」。そしてオープニングトークセッションのタイトルが《ニュースとAVが抱える『リアルな壁』》。セクシー女優の吉沢明歩さんと元TBS報道キャスターの下村健一さんのお二人がゲストだったこともあって、会場は超満員でした。
「性」と「情報」はエイズ対策の二大キーワードであり、同時にバーチャルとリアルが複雑かつ微妙にからみあう分野です。司会の岩室紳也医師の巧みな話術もあって、ジャーナリズムと性産業、そして公衆衛生というかなり異なるようで、関係もありそうな分野の話題が違和感なくつながり、実り大きなセッションとなりました。
AIDS文化フォーラムが最初に開かれたのは1994年の夏でした。第10回国際エイズ会議という注目の大会議が横浜で開催された年です。この会議に参加するには登録料が7万円もかかるということでした。エイズ対策分野の専門家ならともかく、一般の人はそこまでして会議に参加したいとは思えない金額でしょうね。
ただし、エイズの流行は、専門家が集まって高度な議論を展開していれば、解決できるという現象ではありません。もっと多くの人が参加し、議論に加われる企画が必要だということで、東京を中心に活動していたアクティビストの一人が、エイズの流行の文化や社会にかかわる側面に注目した「もう一つの会議」を開催したいと奔走し、その考え方に共鳴した地元・横浜の人たちが中心になって、文化フォーラムの実現にこぎつけました。
国際的な大会議と並行して、一般の人が広く参加できる「もう一つの会議」が開かれたことは、それ自体が快挙です。ただし、AIDS文化フォーラムin横浜はそれでは終わりませんでした。その後も毎年夏には必ずフォーラムが開かれ、その時期、その時期に必要なテーマが散りあげられています。
文化の課題としてAIDSの流行をとらえていく。フォーラムのこうした考え方は横浜にとどまらず、21世紀に入ると全国に広がっていきました。京都では6年前からAIDS文化フォーラムin京都が開かれています。陸前高田と佐賀、そして今年は新たに名古屋でも開かれることになりました。のれん分けのような感じもしますが、それぞれのAIDS文化フォーラムにはそれぞれの課題や枠組みを生かした特徴があり、この多様なあり方こそが「文化」だなという印象も一方で受けます。
参考までに、すでに実施済みのものも含め、2017年のエイズ文化フォーラム開催日程を紹介しておきましょう。
6月17~18日 第3回AIDS文化フォーラムin佐賀
8月 4~ 6日 第24回AIDS文化フォーラムin横浜
9月24日 第1回AIDS文化フォーラムin NAGOYA
9月30~10月1日 第7回AIDS文化フォーラムin京都
12月 3日 AIDS文化フォーラムin陸前高田
このほかにも、東京や大阪では12月1日の世界エイズデーの前後を「エイズウィークス」として位置づけ、さまざまなイベントが計画されています。エイズの流行を「文化」の視点からとらえることの重要性はますます増していくようです。
2 国連UNHCR難民映画祭2017 全国6都市で開催
国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所と特定非営利活動法人国連UNHCR協会が主催する国連UNHCR難民映画祭2017が9月30日(土)から11月12日(日)までの間に、東京、札幌、名古屋、大阪、福岡、広島の6都市で開かれます。UNHCRは国連合同エイズ計画(UNAIDS)の共同スポンサーとなっている11国連機関のひとつです。
12回目となる今年の映画祭のテーマは『観なかったことにできない映画祭』。6都市で合わせて13作品が上映の予定で、入場は無料ですが、予約申し込みが必要です。
上映作品と上映スケジュール、申し込み方法などは、映画祭の公式サイトでご覧ください。
http://unhcr.refugeefilm.org/2017/
3 パリ声明を発表 IAS2017
第9回国際エイズ学会HIVに関する学術会議(IAS2017)が7月23日(日)から26日(水)まで、フランスのパリで開かれました。2年に1度、国際エイズ会議の間の年に開かれる会議で、以前は「国際エイズ学会HIV基礎研究・治療・予防会議」という長い名称でしたが、少しだけ短くなりました。
開催に先立ち、主催団体である国際エイズ学会(IAS)とフランス国立エイズ・ウイルス性肝炎研究機関(ANRS)が会議の公式サイトに連名で声明を発表し、会議の場でも報告されました。
声明ではHIV学術研究で重視すべき5つの領域が上げられています。文章が少し長くなっていますが、その中で太字にして強調されている部分は以下の通りです。
1 基礎医学
2 ワクチン開発
3 治療薬の処方や服薬支援
4 予防への投資と構造的障壁の克服
5 経済、投資効果
パリ声明の日本語仮訳はHATプロジェクトのブログで読むことができます。
http://asajp.at.webry.info/201708/article_1.html
4 世界のHIV陽性者数は3670万人
国連合同エイズ計画(UNAIDS)は7月20日、HIV/エイズに関する最新の推計をもとにした報告書『エイズ終結を目指す:90-90-90目標への前進』を発表しました。UNAIDSのプレスリリースがHATプロジェクトのブログに日本語仮訳で掲載されています。
http://asajp.at.webry.info/201707/article_3.html
2016年末現在の主な推計値は次の通りです。
・抗レトロウイルス治療を受けているHIV陽性者 1950万人
・世界のHIV陽性者数 3670万人[3080万~4290万人]
・年間の新規HIV感染者数 180万人[160万~210万人]
・年間のエイズ関連の病気による死者数 100万人[83万~120万人]
[]内の数字は推計の最小値と最大値で、この幅が小さいほど推計の確度が高いことを示しています。
5 HIVによる免疫機能障害の認定基準見直しを要望
「日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス」と「ぷれいす東京」の2つの特定非営利活動法人が7月13日、『ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害の認定基準に関する要望書』を連名で厚労省に提出しました。
『国際基準では治療を開始すべきでありながら、障害認定による治療助成の利用が制限され、抗HIV薬の服薬が遅れている現状』を指摘し、『治療へのアクセスを難しくしている認定基準の見直し』を求めています。
「JaNP+」および「ぷれいす東京」の公式サイトで要望書のPDF版を見ることができます。