改めてEnding the AIDS epidemicとは UNAIDSが公式サイトをリニューアル エイズと社会ウェブ版298

 先ほどアクセスして初めて気が付いたのですが、国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトがリニューアルされていました。

 

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www.unaids.org

 

 トップページには「our goal(私たちの目標)」として、Ending the AIDS epidemic by 20302030年のエイズ流行終結が掲げられています。その下の文章も訳しておきましょう。

UNAIDSは新規HIV感染を止めること、HIV陽性の誰もがHIV治療へのアクセスを保証されること、人権を擁護、促進すること、意思決定のためのデータを作成することに取り組んでいます』

UNAIDS is working towards stopping new HIV infections, ensuring that everyone living with HIV has access to HIV treatment, protecting and promoting human rights and producing data for decision-making.

 

 もうちょっと滑らかにならないかなあ。こんな感じでしょうか。

 

 『新たなHIV感染を防ぎ、HIVに感染している人は誰でも治療を受けられるようにし、人権を擁護、尊重します。また、そのために適切な判断ができるようデータを整えていきます』

 

 ちなみにAIDS BY THE NUMBERSとして2016年現在の以下の3つの人数も掲げられています。

 世界のHIV陽性者数 3670

 抗レトロウイルス治療を受けているHIV陽性者数 1950

 年間のHIV新規感染者数 180

 

 しつこいようですが、いま国際社会が共通目標としている『Ending the AIDS epidemic』はHIVに感染している人がいない世界ではなく、HIV陽性者を排除する社会(そんなこと言いだしたら自ずと失速してしまいそうですね)でもなく、新規感染の予防に力を入れつつ、同時にHIV陽性者が安心して治療を受け、生活していける社会です。予防と支援は対立する概念ではありません。

 2030年段階で年間の新規感染者数をゼロにすることが目標になっているわけではなく、世界全体で20万人以下に抑えることが目標です。2016年段階の9分の1以下ですから、実現には相当な困難が予想されています。無理だと断言する研究者もいます。

 それでも野心的な目標を掲げ、可能な限りその実現に向けて努力することの意味は小さくありません。

 ただし、ではどうすればそれが可能になるのか。そして、その努力のあり方はどのようにあってほしいかという点では、かなり議論が錯綜しています。一筋縄ではいかない世界の中にあって、HIV/エイズ対策だけが一筋縄でいくわけがありません。

 というわけで、この機会にもう一度、世界HIV陽性者ネットワーク(GNP+)のローレル・スプレイグ事務局長が世界HIV予防連合の創設会合で行ったスピーチを思い出してください。つい先日、当ブログでも取り上げたばかりですが、「そういうことか」と納得がいく指摘がいくつかあります。

 『HIV陽性者はなぜ予防に取り組むのか ローレル・スプレイグGNP+事務局長演説から』

http://miyatak.hatenablog.com/entry/2017/10/13/110440