4298 【鎌倉海びより】80 T字路の町

 

 坂ノ下界隈は大変な人ですね。休日の夕方になるとアジサイ散策から海辺へと人の流れができます。お目当ては押しボタン式の信号を渡って、T字路の向こう側なんだけど、なかなか青にならないんだこれがまた・・・。

 昨日のSANKEI EXPRESS紙に掲載されたコラム『鎌倉海びより』の第80回目です。http://www.sankeibiz.jp/express/news/140624/exg1406241610003-n1.htm

 

【鎌倉海びより】80  T字路の町

 鎌倉の海岸線を走る国道134号はかつて有料の湘南道路だった。有料部分は鎌倉区間と逗子区間に分かれ、鎌倉区間は1956年から75年まで料金が徴収されていたという。戦後高度成長期の青春というか、日本ではこの20年ほどの間に東京五輪大阪万博が開催されている。若者の夢を乗せて車が走る道路だったんでしょうね。

 由比ガ浜の市街地から海岸へと向かう道を歩いていると、必ずこの国道に突き当たる。当然、道路の向こうは海=写真。

  

 散歩の途中で、ああ、そうか!と思いあたった。鎌倉を舞台にしたフジテレビのドラマ「続・最後から二番目の恋」のエンディングには毎回、主演の小泉今日子さんと中井貴一さんのデュエットが流れる。その劇中歌のタイトルが『T字路』。なるほどね。なんとなく大人になっちゃったんだけど、人生のT字路で、これから先はさて、どうしようかという歌です。

 作詞・作曲の横山剣さんには、クレージーケンバンドで「俺の話を聞け」と歌うど迫力イメージが強かったが、『T字路』のライトな感覚もなかなかいい。「由比ガ浜の夕日」などというフレーズがさらっと入って、鎌倉の海の光景と人生の岐路に立つ男女の姿が目に浮かんでくる。

 6月4日に発売されたCDも、大ヒットというわけにはいかないが、かなり注目は集めているようだ。車でT字路に突き当たれば、右へ曲がるか、左へ行くか。どちらかを選ぶしかない。

 ただし、大人げないままてくてくと人生を歩いてきたおじさんには、実はもう一つの選択肢が…。ふふふ、徒歩ならば国道脇の石段で砂浜に出る手があるからだ。

 せっかくの鎌倉。皆さんもおいでの際には車を避け、少しだけ砂浜でくつろぐ時間をキープしてください。