去るものは日々に疎し・・・ということではあるけれど、少しは余韻を残したい。昨日のSANKEI EXPRESSに掲載されたコラムです。
【鎌倉海びより】85 砂浜に架かる橋
8月最後の1週間、関東地方は気温が一気に下がり、秋を感じさせた。雨模様だったこともあって、8月31日でシーズンを終えた鎌倉の海水浴場も、かなり落ち着いた雰囲気になっていた。
月が明けて1日からはもう海の家の撤収作業が始まっている。この夏も一部海水浴客の傍若無人の振る舞いには、かなりうんざりさせられたが、それでも静かになってくると、夏の終わりがどこか寂しい。
由比ガ浜と材木座海岸を結ぶ滑川河口の仮設橋も間もなく撤去される。にぎやかなうちにと思い、8月23日(土)に河口よりやや上流の海岸橋から写真を撮った。
少し離れると、国道134号の滑川橋と仮設の木橋が2階建てに見える。橋のたもとで魚獲りに興じる子供たちの姿もあり、どこかに昔ながらの海水浴場の雰囲気も残る。これも木橋効果だろう=写真。
大雨などで増水していなければ、滑川の河口はせいぜい膝ぐらいの深さなので、海水浴客は裸足でそのまま、じゃぶじゃぶと川を渡ることができる。その点では海水浴シーズン限定の「砂浜に架かる橋」の機能的効果は、それほど大きくない。
むしろ木橋の恩恵に浴するのは、朝夕に砂浜を散策する地元の人たちではないか。できれば、9月から11月ごろまでの散策シーズンにこそ、残っていてほしいという気もする。残念ながら台風の季節に重なってしまうこともあって、残すわけにはいかないのでしょうね。
残暑は9月に入ってからも続くが、海水浴場の夏はひとまず終わった。マナー向上を呼びかけた条例の効果はあったのか、なかったのか。海水浴場開設132年の次の夏に向け、さらに何が必要なのか。海水浴の老舗・鎌倉にとっては、新たな検討を開始する季節でもある。