ブルジンスキ氏はなぜUNAIDSに入ったのか エイズと社会ウェブ版267 

 グローバルファンド日本委員会のFGFJレポートNo.12(April 2017)に国連合同エイズ計画(UNAIDS)のリチャード・ブルジンスキ上級顧問(人権・ジェンダー・予防・コミュニティ担当)のインタビュー『HIV/エイズ流行収束への道 コミュニティのたゆまぬ努力』が掲載されています。

 リチャードは昨年12月に日本を訪れ、新宿二丁目のコミュニティセンターaktaなどで日本のHIV/エイズ関係者ともエイズ流行終結をめぐりかなり熱っぽく議論を交わしました。その来日の際のインタビューですね。

 カナダ出身のアクティビストで、インタビューによると、UNAIDSに転身したのは2009年でした。リチャードは・・・となれなれしく書くほど私自身は親しくはないのですが、国際エイズ・サービス組織協議会(ICASO)事務局長時代の1994年には横浜の第10回エイズ国際会議の国際顧問として活躍し、何度も日本を訪れているので、わが国のエイズ対策関係者には親しい友人がたくさんいます。

 ただし、私は横浜会議当時、新聞社のニューヨーク支局勤務だったので、お会いする機会はありませんでした。すれ違いだったわけですね。

 したがって、面識はないけれど、リチャードの活躍ぶりはエイズ取材でよく知っていました。圧倒的に強く印象に残っているのは、2001年も国連エイズ特別総会を取材したときでした。このときの総会で採択されたコミットメント宣言では、エイズ対策で支援が必要なバルナラブルな人たちの集団をリストとしてあげるかどうかで、加盟国間の駆け引きがあり、結局リストは盛り込まれませんでした。その特別総会の最終日、NGO代表として総会議場の演壇に立ったリチャードはこう語ったのです。

 『あなたたちはそのグループの名前を上げることはできないと決めた。だが、私にはできる。そこには男性とセックスをする男性、薬物注射使用者とそのパートナー、セックスワーカーとその客が含まれている』

 この演説で、宣言からは消されてしまった「バルナラブルな人たち」のリストが復活し、国連の公式の記録として残ることになりました。

 うわあ、かっちょいい・・・と私などは感動で心が揺さぶられ、ボールペンがわなわなと震えてメモが取れなかったほどです(注:うそ。ジャーナリストはこういうとき常に冷静であります)。

 おっと、思い出話で脱線してしまいました。インタビューに戻りましょう。

 そのアクティビスト中のアクティビストであるリチャードが国連機関であるUNAIDS入りしたのはなぜか。リチャードは当時、HIV/エイズ対策について、グローバルな連帯の中で新たな方法を模索する時期がきたのではないかと考えていたそうです。

 『ちょうどその頃、UNAIDS事務局長(当時)のピーター・ピオット氏と次期事務局長のミシェル・シディベ氏から、エイズ活動家としての経験を活かして、UNAIDSにコミュニティの風を吹き込んで欲しいと声がかかったのです』

 うわぁ、殺し文句ですね。シディベ氏からは就任後も「君は、国際官僚になるのではない。エイズ対策で取り残された人々のニーズに国連が応えられるように働きかけて欲しい」と念を押されたそうです。

 FGFJレポートはグローバルファンド日本委員会の公式サイトでpdf版をダウンロードできます。

 http://fgfj.jcie.or.jp/library#fgfj-report

 内容の充実した好インタビューに対し、揚げ足を取るようで恐縮ですが、冒頭部分で一カ所。《始まりは、1985 年にモントリオールで開かれたカナダ初の国際エイズ会議でした》という部分は、1989年の誤りではないかと思います。モントリオールの国際会議は閉会式の日にHIV陽性者が初めて壇上に立ち、演説を行ったことで知られています。そのとき演説を行ったのは、横浜会議でリチャードとともにコミュニティリエゾン代表の池上千寿子さんを支え、会議を成功に導いたドン・デュ・ガニエ氏でした。

 なお、当ブログでも、12月2日にリチャードがaktaを訪れた時のレポートを掲載してあるのでそちらもご覧下さい。

 http://miyatak.hatenablog.com/entry/2016/12/13/142216

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この写真はakta訪問時の記念撮影です。

 

Living Togetherの今日性 TOP-HAT News第104号 

 エイズソサエティ研究会議(JASA)が東京都の委託を受けて編集しているTOP-HAT Newsの第104号(2017年4月)が発行されました。HATプロジェクトのブログでもご覧いただけますが、ここでも再掲しておきます。 

  ◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆
1 はじめに Living Togetherの今日性
2 『抗HIV治療ガイドライン』最新版
3 速報値段階で前年より微増 2016年エイズ動向委員会報告
4 インフォグラフィックス結核HIV

    ◇◆◇◆◇◆

1 はじめに  Living Togetherの今日性
 11月に東京で開かれる第31回日本エイズ学会学術集会・総会の演題募集が5月9日(火)からスタートします。募集期間は6月30日(金)正午までとなっています。学会の演題募集は最終段階で1週間か2週間は期間延長するのが一種のお約束のようになっているので、7月上旬までは何とかなりそうですが、発表を考えている方は瀬戸際政策に走ることなく、早めに準備にかかってください。

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 今年の学会のテーマは『未来へつなぐケアと予防 Living Together』です。公式サイトに掲載されている生島嗣会長(特定非営利活動法人ぷれいす東京代表)のあいさつを紹介しましょう。

aids31.ptokyo.org 《「HIV陽性の人も、陰性の人も、どちらかわからない人も、一緒に生きている」というリアリティを共有するためのキャンペーン「Living Together」を、私たちが始めたのは2002年のことです。これは、エイズ対策において、HIV陽性者へのケアとHIVの感染予防は車の両輪として必要であり、当事者の参加が重要であることを伝えるメッセージでもありました》
 メッセージとしての「Living Together」には15年の蓄積があります。逆に言えば15年の月日を経てもなお、そのメッセージの重要性は色あせていません。
 《しかし国内では、HIV/エイズへの社会の関心はむしろ低下し、メディア等での報道も減っているのが現状です。多くの人がHIV/エイズに対しては今もなお、怖い病気のイメージを持っているのではないでしょうか》
 だからこそ、と生島さんは強調しています。
 《本会議では、HIV/エイズを通じて映し出される社会の課題、就労問題、介護や精神保健領域へのケアの連続性といった課題を解決するために、医療従事者、研究者、行政、NGO/NPO関係者、HIV陽性者など、立場を超えて語り合いたいと願っています。「未来へつなぐケアと予防 Living Together」というテーマには、大きな転換期を迎えつつある今だからこそ、あらためて考え、共有しておくべき核心が含まれているものと信じます》
 エイズ学会は毎年、世界エイズデー(12月1日)の前後に開催されています。基礎医学臨床医学社会医学の3つの分野の研究者だけでなく、エイズ対策の最前線の現場で予防や支援、啓発などの活動を続けているNPONGOのメンバー、そして最も重要な当事者というべきHIV陽性者も数多く参加しているのが、この学会の大きな特徴です。
 NPOの代表が会長を務めるのは2006年の第20回学会以来2回目となります。11年前の会長は、当時のぷれいす東京代表、池上千寿子さんでした。つまり、ぷれいす東京としても今回が2人目の会長を送り出す重要な機会となりました。
 治療の進歩を背景にして、『T as P(予防としての治療)』や『PrEP(曝露前予防服薬)』といった予防分野における新たな選択肢が大きく注目される中で、支援の最前線の現場にあるNPOの代表が今年の日本エイズ学会学術集会・総会の会長を務める。その今日的意味は何か。基礎、臨床、社会の枠を超えた横断的かつスリリングなプログラムが可能になるよう、たくさんの演題が集まることを期待したいですね。



2 『抗HIV治療ガイドライン』最新版
 『わが国におけるHIV診療を世界の標準レベルに維持すること』を目的にした『抗HIV治療ガイドライン』の最新版が3月に発行されました。平成10年度の初版発行以来、年1回のアップデートを続けているガイドラインです。
 厚労省『HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究班』の公式サイトでPDF版をダウンロードできます。



3 速報値段階で前年より微増 2016年エイズ動向委員会報告
 厚労省エイズ動向委員会が3月29日、昨年(2016年)の新規HIV感染者・エイズ患者報告の速報値を発表しました。
 HIV感染者報告  1003件(過去9位)
 エイズ患者報告      437件(過去6位)
      計             1440件(過去9位)
 前年の確定値はHIV感染者報告1006件、エイズ患者報告428件で合計は1434件でした。速報値の2~3カ月後に発表される確定値は例年、速報値よりやや増加しますが、HIV感染者・エイズ患者報告の合計は、1500件前後の横ばい傾向が依然として続いていると見られます。詳しくはAPI-Netのエイズ動向委員会報告のページで、2017年3月の委員長コメントをご覧下さい。 

api-net.jfap.or.jp


4 インフォグラフィックス結核HIV
 結核HIV陽性者にとって最大の入院および死亡原因であり、2015年のエイズ関連の年間死者110万人のうち約40万人は結核で死亡している・・・。
 3月24日の世界結核デーにあわせ、国連合同エイズ計画(UNAIDS)が『結核HIV』に関するインフォグラフィックス(情報を分かりやすく図解した資料)を公式サイトで公開しました。世界結核デーのプレスリリースと合わせ、日本語仮訳版がAPI-Net(エイズ予防情報ネット)に掲載されています。
 http://api-net.jfap.or.jp/

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東京都エイズ通信第116号

 メルマガ東京都エイズ通信の第116号(2017年4月)が発行されました。 

archives.mag2.com


 今年に入ってから4月23日までの都内の感染者報告数は以下のようになっています。
 ( )は昨年同時期の報告数

   HIV感染者          111件  (118件)
   AIDS患者             31件   (34件)
   
      合計              142件  (152件)

 HIV感染者数、AIDS患者数ともに昨年同時期と同程度のペースで報告されています。

 ・・・ということなんですが、しいて言えば、昨年よりは微減で、年間を通して報告件数が少なかった一昨年よりは増加、つまり依然として横ばいの傾向ですね。

トランプ予算案に強い危機感 追加情報 どうなるフォガティセンター

 すいません。あまりにも知識が不足したままにトランプさんの予算提案を紹介してしまったので、フォローします。ネットで少し関連情報を調べました。依然として掘り下げ不足、表面をなぞっただけの追加情報ではありますが、補足しておきます。

 トランプ大統領の第一次予算提案は3月16日(木)に公表されています。

 提案通りだと、削減額は58億ドルで、18.3%のカットになるそうです。

 ただし、この提案がすんなり認められるわけではなく、議会の承認が必要です。政権与党の共和党の有力議員の中にも、NIH予算のカットには反対の方がたくさんいるので、この提案がそのまま認められることはなさそうです。

 ただし、まったく削減されずにすむのかというと、そうはいかないようです。削減幅をどこまで抑え込むかの攻防戦になりそうな雲行きです。

 国際エイズ学会(IAS)にも、油断はできないという警戒感は強いでしょうね。そもそも難問をどっさり抱えている現在の国際社会の中で「HIV/エイズとの闘いには、いまこそ資金が必要だ」と強調してみても、なかなか「そうだね」とは言ってもらえない苦しい事情があります。

 そうした現実も直視し、なおかつ研究の継続、拡充に向けた基盤を整えていかなければなりません。

 予算提案では廃止となっているフォガティ国際センターについての説明はこちら。 

 1968年7月1日、当時のジョンソン米大統領がNIHに国際保健研究のためのセンターを設立する大統領令に署名し、ジョン・E・フォガティ国際センターが創設されました。フォガティ氏は米国の国際保健政策の推進役となった米下院議員(民主党)で、1967年に亡くなっています。

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 NIHはフォガティ国際センターが設立50周年を迎える2018年(つまり来年ですね)の5月1日に記念シンポジウムを計画しているようですが、下手をするとお別れのシンポジウムになってしまうおそれもあります。

 サイトTOPに掲載されている《Our Role in Global Health》(国際保健における当センターの役割)の前文だけ、日本語仮訳で紹介します。

 

国際保健における当センターの役割

 国立衛生研究所(NIH)のフォガティ国際センターは、途上国で研究活動を行う米国および外国の研究者の基礎、臨床、応用研究を支援し、研修を行う。約50年にわたり、フォガティは、研究者の交流促進、研修の機会提供、途上国における研究計画の支援などを通じ、NIHと広範な国際保健コミュニティをつなぐ役割を果たしてきた。設立以来、世界各地から約6000人の研究者がフォガティプログラムで研修を受けている。

 フォガティ基金は全米約100大学で500以上のプロジェクトに助成を行っている。米国の科学者も、途上国を中心に多数の国で研究協力に取り組んでいる。フォガティはまた、ポリオ根絶、パンデミックへの対応、アフリカにおける研究能力の強化など重要な国際保健課題に対応するため、最高の頭脳を集めて会議を開催している。

 

 

Our Role in Global Health

The Fogarty International Center, part of the U.S. National Institutes of Health, supports basic, clinical and applied research and training for U.S. and foreign investigators working in the developing world. For nearly 50 years, Fogarty has served as a bridge between NIH and the greater global health community - facilitating exchanges among investigators, providing training opportunities and supporting promising research initiatives in developing countries. Since its establishment, about 6,000 scientists worldwide have received significant research training through Fogarty programs.

 

Fogarty funds more than 500 projects involving about 100 U.S. universities. The U.S. scientists, in turn, collaborate with colleagues in numerous foreign countries, most of them in the developing world. Fogarty also convenes the best scientific minds to address critical global health research problems such as polio eradication, pandemic response and strengthening research capacity in Africa.

 

トランプ予算案に強い危機感 国際エイズ学会(IAS)

 トランプ政権の発足で、米国はどう変わるか。少なくとも国際保健の分野では、かなり困った事態が進行しつつあるようです。国際エイズ学会(IAS)もともと科学の側に立つ組織なので、言わずもがなの感もなくはないのですが、科学擁護論の特集ページを設け、三人の研究者の話を聞いています。大統領の第一次予算提案で、国立衛生研究所(NIH)の予算の大幅削減が示されているからです。やむにやまれる気持ちからの特集でしょうね。

 その前文の日本語仮訳です。

《今日では、HIV完治や予防ワクチン、長期持続型の抗レトロウイルス薬などの開発の可能性を含め、HIVとの闘いの歴史的な成果をほぼ手中に収めようとするところまでこぎ着けている。それなのに米大統領の第一次予算提案(2018年度大統領予算案骨子)はそのために必要な医科学研究予算を大幅に削ろうとしているのだ》

 IASによると、NIH予算は《フォガティ国際センターの廃止を含むNIH予算の18%削減》が提案されているということです。フォガティ国際センターは外国人研究者が研究を進められるように支援を行っているセンターのようです。私はよくしらないのですが、NIHで研究生活を送った方なら詳しいかもしれませんね。

 3人の研究者の発言は、IASサイトでご覧下さい。英文です。余裕がなくてすいません。短い前文を訳すのが精一杯でした。

 

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科学の側に立つ

http://www.iasociety.org/IASONEVOICE/Standing-up-for-science

 米国の支援と投資は、保健分野における最も画期的であり、世界の歴史にも残る成果を担ってきた。国立衛生研究所(NIH)は、抗レトロウイルス治療や曝露前予防抗レトロウイルス薬など、極めて効果の高い治療法を生み出し、死に至る感染症を慢性の管理可能な疾病へと変えてきた。米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)と世界エイズ結核マラリア対策基金(グローバルファンド)を通じてその医学的成果を実用化することで、何百万という人の命が救われたのだ。いくつかの国では、その成果によりHIVの母子感染を排除することにも成功している。米国はこうした信じがたい成果により、人々の健康を守るための意欲的で創造性豊かなアプローチを推進する世界のリーダーとして認められ、尊敬を集め、称賛されてきた。

 今日では、HIV完治や予防ワクチン、長期持続型の抗レトロウイルス薬などの開発の可能性を含め、HIVとの闘いの歴史的な成果をほぼ手中に収めようとするところまでこぎ着けている。それなのに米大統領の第一次予算提案(2018年度大統領予算案骨子)はそのために必要な医科学研究予算を大幅に削ろうとしているのだ。撤退している場合ではない。加速の時なのだ。研究にさらに進め、科学的な発見を積み上げ、同時にその成果を最も必要としている人たちに届けられるようなシステムの基盤と協力体制を気づいていかなければならない。

 私たちがいままさに直面している保健課第に挑み、多くの人の生命を救うために必要なツールを生み出していくには、NIHが複数年の研究資金を確保できるようにしなければならない。フォガティ国際センターの廃止を含むNIH予算の18%削減提案は、新たな研究助成の道を阻み、重要な研究成果をもたらす努力を損なうことになる。フォガティセンターの廃止で浮かせる予算はわずかなものだ。NIH予算の0.1%に過ぎない。だが、それは恐ろしい結果を招くことになる。極めて重要な研究の担い手となる新しい世代の研究者を世界が失うことになるのだ。

 米国の予算削減の影響の大きさを理解していただくために、IASメンバーである3人の主導的な医科学研究者から話を聞いた。以下にご紹介しよう・・・。

 

 

 

Standing up for science

 

The support and investment of the United States has been responsible for some of the most groundbreaking and historic health milestones in the world. The National Institutes of Health (NIH) has led to highly effective treatments, such as of life-saving antiretroviral therapy and pre-exposure antiretroviral prophylaxis, turning a fatal infection into a chronic, manageable one in many places. Millions of lives have been saved by implementing those scientific advances through the US President's Emergency Plan for AIDS Relief (PEPFAR) and The Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria, including the elimination of mother-to-child HIV transmission in several countries. These incredible achievements have positioned the US as a global leader in aspirational and innovative approaches to human health, garnering respect and gratitude from the world.

 

Today, potentially historic gains against HIV are within our grasp, including the possibilities of an HIV cure, a preventive vaccine and long-acting antiretroviral regimens. Yet, the US President’s first budget proposal threatens to slash support for the necessary life-saving scientific research that would get us there. This is not the time to pull back, but to put our foot on the gas to advance research and scientific discovery, as well as the delivery platforms, systems, and partnerships to make the research meaningful to reach the people who need it.

 

To generate the tools we need to save lives and tackle the health issues we face today, the NIH needs to be secure in its funding to make new commitments for multi-year research grants. The proposed 18% cut to the NIH budget – which includes the elimination of the NIH’s Fogarty International Center – would prevent the awarding of new grants and cripple important research endeavours. The budget savings from elimination of the Fogarty Center will be minimal – representing only 0.1% of the NIH budget – but the costs will be staggering, depriving the world of new generations of researchers who would undertake studies of vital importance.

 

To better understand the full ripple effects from the US funding cuts, we talked to three IAS Members and leading scientific researchers. Here is what they had to say…

ATLAS2018 東京編 エイズと社会ウェブ版266

 オランダのアムステルダム近郊にスタジオを持つフリーランスの写真家、マーヨライン・アンネガーンさんが東京を訪れ、4月18日に東京・新宿二丁目のコミュニティセンターaktaで日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス(JaNP+)理事の長谷川博史さんにインタビューを行いました。アンネガーンさんとともにビデオ機材の設定やインタビューの質問役を担っていた男性、ハンス・ヴァン・ダイクさんは、私の拙い英語ヒアリングが正しく機能していたとしたら、彼女の夫で、今回はアシスタントとして同行したということです。

 聞き間違いだったらごめんなさい。何しろ撮影後に一緒に食事をしたakta近くの中華料理店『随園』が大繁盛だったことから、飲みかつ語る人々の声がざわざわと響き合う中で、かろうじて音声を拾うかのような聞き取りになってしまったもので・・・ま、言い訳だけど。

 お二人は2018年7月にアムステルダムで開かれる第22回国際エイズ会議(AIDS2018)に向けたプロジェクトATLAS2018のスタッフです。えっ、なに? と思わず聞き返す人も多いのではないでしょうか。私も4月17日まではそうでした。つまり、まったく知らなかった。まずはこのプロジェクトの公式サイトをご覧いただきましょう。

 http://atlas2018.org/

 ABOUT US欄のチームというページにメンバーが紹介されています。それを見ると、アンネガーンさんはPhotographer、ヴァン・ダイクさんはCreative advisorとなっています。何となく分かったような、分からないような肩書きだけど、まあ、いいか。

 事前に大手町でエイズ動向委員会の岩本愛吉委員長のインタビューと撮影を行っていたそうで、岩本さんを含めた3人がakta到着したのはもう夕方でした。暗くならないうちに・・・ということで、akta前の路地でまず撮影。トワイライトの雰囲気が東京のゲイタウンに対する彼女のイメージにしっくりきたのかもしれませんね。

 

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 呼ばれたわけでもないのに、なぜか野次馬で参加していた私も便乗して、撮影風景を1枚、撮らせていただきました。

 

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 参考までにこちらは、インタビューを終えたマーヨラインさん、長谷川さん、岩本さんのスリーショット。ヴァン・ダイクさんはこういうとき、記念撮影の被写体側には入らず、撮影役にまわります。今回の東京ツアーの中心はマーヨラインさんということのようです。

 これも撮影後の食事の際に聞いた話ですが、マーヨラインさんは1986年に自らのHIV感染を知ったそうです。長谷川さんにaktaで会ったとき、ほおのこけ方が初期の治療薬の副作用に特有のもののようだったことから「長谷川さんはいつ感染したのだろうか」と思った。インタビューの結果、長谷川さんの方が感染の時期が少し遅いことが分かったので、「私が勝った」などと話していました。

 ご夫妻は翌日、ぷれいす東京を訪れ、スタッフ何人かともインタビューを行いました。東京ツアーの成果は5月にATLAS2018の公式サイトに報告される予定です。

そのときにはまた、紹介するとして、取りあえず予告編の《ATLAS 2018  東京のゲイメン》の日本語仮訳を作成しました。英文はこちら

 

     ◇

 

ATLAS 2018  東京のゲイメン

 UNAIDSの最新の統計によると、1億2700万の人口を有する日本国内のHIV陽性者数は1万7000人(0.013%)にとどまっています。他のアジア諸国と比べると非常に低く抑えられているのです。報告された感染症例の60%以上はゲイコミュニティからのものであり、したがってその多くが東京からの報告であることは驚くにあたりません。

 私たちは日本のHIVの流行がどうなっているのかということに関心があります。この大国には独特の歴史と文化があるからです。HIVの流行はゲイコミュニティにとってどんな意味があるのでしょうか。日本でHIVやセックスについて語るのは容易なのでしょうか、それとも困難なのでしょうか。HIVはタブーであるということなのか、あるいはもっと何かがあるのでしょうか。

 マーヨライン・アンネガーンとハンス・ヴァン・ダイクが2017年4月に東京を訪れ、HIV陽性者および何人かの政策決定者に面会し、写真を撮って話を聞きます。このページでは、写真、Volgs(ビデオ・ブログ)、テキストにより、日本における準備の最新情報と面会の様子をお伝えします。カンボジアの時と同じように、このページでは2017年5月から編集した動画、写真、記事を掲載する予定です。

 

【ATLAS2018 ‘I Will Speak, I Will Speak’】

 5大陸14カ国のHIV陽性者の顔と声を伝えるマルチメディア・プロジェクト。2015年に最初の発表が行われた。(AIDS2018)で全体のプレゼンテーションを予定している。(注:AIDS2018=第22回国際エイズ会議。オランダのアムステルダムで2018年7月23日から27日まで開催)

 

 

 

ATLAS 2018

Gay Men from Tokyo

 

According to the latest figures from UNAIDS, only 17,000 people (0.013%) of Japan’s 127 million live with HIV. That’s a manageable number compared with other Asian countries. More than 60% of the infections are found in the gay community, so it’s not surprising that the most registered infections are in Tokyo.

 

We’re curious about HIV in Japan because of this great country’s unique history and culture. What does the HIV epidemic mean to the gay community? How easy or difficult is it for people to communicate about sex and HIV in Japan? Is HIV a taboo, or is there more to it?

 

In April 2017 Marjolein Annegarn and Hans van Dijk will travel to Tokyo to make portraits, reports and stories about men with HIV and some policymakers. On this page we’ll keep you up to date with photos, vlogs, and texts about the final preparations and the meetings in Japan. As with the Cambodian material, from May 2017 you’ll find on this page the edited films, photo documents and written pieces.

 

ATLAS2018 ‘I Will Speak, I Will Speak’.

Multimedia project giving a face and voice to people with HIV and Aids in 14 countries and 5 continents. First publications 2015. Overview presentation: the biennial ‘Aids conference 2018’ to be held in Amsterdam, The Netherlands.

 

 

 

目に青葉 モンローウォーク 水の音 ~ パクるにしてももうちょっと・・・ 

 節度がないと言いますか。すいません、一気に初夏になってしまいましたね。半袖姿の観光客も増えました。鎌倉の町は冬から春を駆け抜けて、はや新緑が目にしみる季節です。

 

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 鎌倉市雪ノ下の川喜多映画記念館。映画会に多大な功績があった川喜多長政、かしこ夫妻の旧宅が鎌倉市に寄贈され、映画記念館になっています。右のガラス張りの建物が記念館。奥に屋根だけ見える木造家屋は旧和辻哲郎邸を移築したもので、ゲストハウスとして使われ、アラン・ドロンも訪れたそうです。敷地の長い屏の内側に通路が設けられ、お庭を見ながら通り抜けできるようになっています。

 

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 その通路を通り抜け、記念館正面へ。ただ今、【特別展】鎌倉映画地図 開催中。 
 

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 意外に・・・といっては失礼ですが、訪れた人たちにけっこう受けている記念撮影用パネル。E.T.と七年目の浮気とタイタニック。あなたならどれにする?おじさんはやっぱり真ん中かなあ・・・。

 

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 こちらは小町三丁目の東勝寺橋から見た滑川。市街地からちょっと細い路地を入っただけで、清流のこのたたずまい。これからどんどん緑が増えます。日は長くなるし、最高の季節ですね。