グローバルヘルス関連機関が目標達成に向け新たな協力体制を約束 エイズと社会ウェブ版354

 保健分野の主要な国際機関11組織が1016日、『すべての人に健康な生活と福祉を保証するための世界行動計画(The Global Action Plan for Healthy Lives and Well-being for All)』という協定を結びました。持続可能な開発目標(SAGs)の保健関連ターゲットの達成に向けて協力体制を組み、重複を避けつつ最大限の成果を上げていこうという協定です。

ドイツのメルケル首相ら政治指導者の要請を受け、世界保健機関WHO)が主導して結ばれたようです。

国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトにもプレスリリースが載っていたのでそちらを訳しました。WHOのリリースと同じものです。

 最近は世界中でいろいろなことが起き過ぎるほど起きていますね。したがって、あまり目立たなくなってしまった感じもしないことはないのですが、世界はいまSDGsの枠組みのもとに動いているという視点は一応、抑えておく必要があると思います。

 一方で、SDGsそのものに関しては、2016年に鳴り物入りで勢いよくスタートを切ったものの、いざ始めてみると2030年の目標達成はかなり苦しいねと改めて認識せざるを得ない。それが現状でしょうか。

保健分野についていえば、17ある目標のうち保健に特化した目標はひとつ(目標3)に押し込められています。ミレニアム開発目標MDGs)とはえらい違いですが、いまさらそのことに文句を言っても始まりません。

そもそも、人の健康はすべての開発目標の基盤ということで、SDGsと保健の関係は目標3だけにとどまるものではありません。リリースによると、保健関連のターゲットはSDGs17目標のうち14目標の50件近くに及んでいるそうです。こうなるとそれぞれの分野の専門機関がてんでんばらばらに「あれが必要」「これもやりたい」と言い出したら収拾がつかない。

外野からこういうことを素人が言い出すと、たちまち石つぶてが飛んできそうですが、ただでさえ縄張りには執着が強い方々が多くいらっしゃるのではないかと、かねがねお見受けしていました。ある程度、そうした自覚もあるのでしょうね、重複がないように調整しつつ協力して取り組んでいこうというのは当たり前のことだと思うけれど、それがなんと歴史的な取り決めなのだそうです。憎まれ口はこの程度にしてリリースの日本語仮訳をお読みいただきましょう。

 

 


www.unaids.org

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グローバルヘルス関連機関が目標達成に向け新たな協力体制を約束

                    プレスリリース

【ベルリン 2018.10.16】 保健、開発分野で世界を主導する11機関の代表が本日、国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成に向け、新たな協力強化の道を探る画期的なコミットメントに署名した。

 世界保健機関WHO)の調整により、このイニシアティブは11機関の仕事をつなげ、次のフェイズへと踏み出していく。

 このコミットメントはドイツのアンゲラ・メルケル首相、ガーナのナナ・アクフォ=アド大統領、ノルウェーのエルナ・ソルベルグ首相の要請を受け、アントニオ・グテレス国連事務総長の支援のもとで、2030年の持続可能な開発目標における保健分野のターゲットの達成に向けて世界の主要機関がより協力を強化するための計画の策定を目指している。

 「貧困を解消し、平和で包摂的な社会と安心できる環境を生み出すための持続可能な開発には人々の健康が不可欠です。しかし、主要な死亡と疾病の原因に対する対策はこれまでに大きな成果を上げてきたとはいえ、さらに努力を倍増させなければいくつかの保健関連のターゲットの達成は望めません」と各機関は本日、ベルリンで開かれた世界保健サミットで発表した。「すべての人に健康な生活と福祉を保証するための世界行動計画は、2030年のゴール達成に向けた成果を促す歴史的な約束であり、協力して取り組むための新たな方法を示しています」

 各機関は、資金を最大限に生かし、より透明性が高く、積極的な関与が可能になる手法の実現をはかるために協力していくことで合意した。この計画の第一フェイズは、align(提携)、 accelerate(加速)、 account(評価)の 3つの戦略アプローチで構成されている。

 

Align:集合的な効果を高め、ジェンダーの平等やリプロダクティブヘルス、メンタルヘルス、新生児、児童、若者の健康などいくつかの優先事項の成果を上げていけるようにするため各機関は計画策定、資金確保、実施のプロセスを調整して進めていくことを約束した。

 

Accelerate:各機関は共通のアプローチを策定し、グローバルヘルスに関して成果達成を加速する可能性がある分野での活動を調整しながら進めていくことで合意した。7つの初期acceleratorsには、コミュニティと市民社会の関与、研究開発、データ、持続可能な資金確保などが含まれている。

 

Account:各国や開発パートナーへの透明性と説明責任を向上させるため、各保健機関は14の持続可能な開発目標分野にまたがる50近くの保健関連ターゲットについて、新たに共通の里程標を設定して取り組む。この里程標は重要なチェックポイントであり、2023年段階で世界がどこまで到達しているか、そして2030年目標の達成軌道に乗っているかどうかをはかる共通の指標になる。

 

 世界行動計画は、保健へのアクセスの障壁であり、女性や女児が性と生殖に関する保健サービスを含めた包括的で質の高いヘルスケアを受けることを妨げているジェンダーの不平等に対し、その解消に向けた集合的な行動を促し、資金を確保するテコにもなる。

 すべての人に健康な生活と福祉を保証するための世界行動計画には以下の期間が署名をした:GAVIワクチンと予防接種のための世界同盟、世界エイズ結核マラリア対策基金(グローバルファンド)、グローバル・ファイナンシング・ファシリティ(GFF)、UNAIDSUNDPUNFPAUNICEF、ユニットエイド、UNウィメン、世界銀行WHO。世界食糧計画は23か月中に参加することを約束。

 最終計画は20199月の国連総会で発表の予定。詳細は下記サイトでご覧ください。

 http://www.who.int/sdg/global-action-plan

 

 

 

Global health organizations commit to new ways of working together for greater impact

 

BERLIN, GERMANY, 16 October 2018—Eleven heads of the world’s leading health and development organizations today signed a landmark commitment to find new ways of working together to accelerate progress towards achieving the United Nations’ Sustainable Development Goals.

Coordinated by the World Health Organization, the initiative unites the work of 11 organizations, with others set to join in the next phase.

The commitment follows a request from Chancellor Angela Merkel of Germany, President Nana Addo Dankwa Akufo-Addo of Ghana, and Prime Minister Erna Solberg of Norway, with support from United Nations Secretary-General Antonio Guterres, to develop a global plan of action to define how global actors can better collaborate to accelerate progress towards the health-related targets of the 2030 Sustainable Development Agenda.

 Healthy people are essential for sustainable development – to ending poverty, promoting peaceful and inclusive societies and protecting the environment. However, despite great strides made against many of the leading causes of death and disease, we must redouble our efforts or we will not reach several of the health-related targets,” the organizations announced today at the World Health Summit in Berlin. “The Global Action Plan for Healthy Lives and Well-being for All represents an historic commitment to new ways of working together to accelerate progress towards meeting the 2030 goals. We are committed to redefine how our organizations work together to deliver more effective and efficient support to countries and to achieve better health and well-being for all people.”

The group has agreed to develop new ways of working together to maximize resources and measure progress in a more transparent and engaging way. The first phase of the plan’s development is organized under three strategic approaches: align, accelerate and account.

Align: The organizations have committed to coordinate programmatic, financing and operational processes to increase collective efficiency and impact on a number of shared priorities such as gender equality and reproductive, maternal, newborn, child and adolescent health.

Accelerate: They have agreed to develop common approaches and coordinate action in areas of work that have the potential to increase the pace of progress in global health. The initial set of seven “accelerators” include community and civil society engagement, research and development, data and sustainable financing. 

Account: To improve transparency and accountability to countries and development partners, the health organizations are breaking new ground by setting common milestones for nearly 50 health-related targets across 14 Sustainable Development Goals. These milestones will provide a critical checkpoint and common reference to determine where the world stands in 2023 and whether it is on track to reach the 2030 goals.

The Global Action Plan will also enhance collective action and leverage funds to address gender inequalities that act as barriers to accessing health, and to improve comprehensive quality health care for women and girls, including sexual and reproductive health services.

The organizations that have already signed up to the Global Action Plan for Healthy Lives and Well-being for All are: Gavi the Vaccine Alliance, the Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria, the Global Financing Facility, UNAIDS, UNDP, UNFPA, UNICEF, Unitaid, UN Women, the World Bank and WHO. The World Food Programme has committed to join the plan in the coming months.

The final plan will be delivered in September 2019 at the United Nations General Assembly.

For more information, www.who.int/sdg/global-action-plan

 

 

『ギャグにできない事態への対応』

 現代性教育研究ジャーナルに連載中のコラム『多様な性のゆくえ One side/No side』の18回目です。こちらのサイトでご覧ください。
 『ギャグにできない事態への対応』 

www.jase.faje.or.jp


 No91(2018年10月15日発行)のPDF版13ページに掲載されています。


 米国のトランプ政権による拡大版グローバル・ギャグ・ルールの影響は深刻なようですが、こんな指摘もあります。

『一方で、アフリカ数カ国の調査事例から、各国の国内法で保健医療提供者に対し妊娠中絶に関するカウンセリングや専門医療機関への照会を積極的に行うよう定めている場合には、拡大版ギャグ・ル ールの適用を免れることもあるという』
 以下あくまで私の感想です。
 『さすがに米国政府も大統領の息のかかった職員ばかりで構成されているわけではなく、現場レベルでは何とか適用除外を正当化できる理由を探している職員も多いのではないか』
 日本は援助対象国というわけではないので、少々話を広げ過ぎではありますが、危機管理対策として次のようなことは共通して言えるのではないでしょうか。
 『そうなると、援助対象国の国内法をその理由にすることも十分に考えられる。逆に言えば、人権や人の生死に関わる健康問題について、理屈の通った制度や法律を整えておくことが、国の危機管理対策として極めて重要かつ有効だということでもあるだろう』

 

夕暮れは 夏色の秋 空も波も

 また真夏が戻ってきましたね。一瞬の真夏日、なんちゃって。本のタイトルじゃないんだから。

 

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 でも、夕暮れが近づいてくるとさすがに秋の空かな。材木座海岸から稲村ケ崎方向を望む。定番の風景ですが、表情はいつも、そして時々刻々と変化しています。

 

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 雲の穴から光のシャワーが降り注ぎ、やがて夕日が姿を現します。

 

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 空も、そして波も、火事かと思うぐらいに燃えています。オレンジ色が強烈過ぎて富士山がどこにあるのかよく分からない。今日あたりは見えると思ったのだけど・・・。

 

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 そして陽が沈むと、ああ、暑い中を今日も一日、よく歩いたなあ・・・という鎌倉観光のみなさんが滑川河口にはこんなにたくさん。まだ明るいけれど、風も涼しくなってきました。

 

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 さあ、そろそろ帰りますか。

 

エイズ対策のレガシー TOP-HAT News第121号(2018年9月)

 最近は「レガシー」という言葉も日本語化してそのまま通用するようになりましたね・・・と言い切っていいのかどうか、微妙なところです。オリンピック・パラリンピックのおかげで、新聞の記事やテレビのニュースでも「レガシー」のまま使っていることもあるし、分かっているようでなんだかよく分からないような気もするし。

 TOP-HAT News第121号ではちょっとドキドキしながらそのレガシーをタイトルにしました。

 《辞書を引くと『遺産』『相続財産』といった訳語がでてきますが、カタカナの「レガシー」で通用することも多くなりました。『遺産』であるだけでなく、『新しい価値の創造』といた現在進行形の意味も含まれているようです》

 2001年に国連エイズ特別総会が開かれた当時の国連事務総長で、同じ年にノーベル平和賞を受賞したコフィ・アナン氏が8月に亡くなりました。特別総会最終日に国連エイズ合同計画(UNAIDS)のピーター・ピオット事務局長と並んで記者会見を行っていた姿を思い出します。アナン氏が残したレガシーとは何か。遅ればせながらささやかな追悼の文章でもあります。 

 

 

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メルマガ:TOP-HAT News(トップ・ハット・ニュース)

        第121号(20189月)

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TOP-HAT News特定非営利活動法人エイズソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発マガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。

なお、東京都発行のメルマガ「東京都エイズ通信」にもTOP-HAT Newsのコンテンツが掲載されています。購読登録手続きは http://www.mag2.com/m/0001002629.html  で。

エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部

 

 

◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

 

1 はじめに  エイズ対策のレガシー

 

2 11年ぶり1400件以下に 2017エイズ動向委員会報告確定値

 

3  Global Topics(グローバル・トピックス)』創刊

 

4  HIV陽性者への精神・心理的支援とそのための連携体制構築 ウェブサイト紹介

 

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1 はじめに エイズ対策のレガシー

 2020年の東京オリンピックパラリンピックの準備が進む中で、『legacy(レガシー)』という言葉が日本国内でしばしば使われるようになっています。辞書を引くと『遺産』『相続財産』といった訳語がでてきますが、カタカナの「レガシー」で通用することも多くなりました。『遺産』であるだけでなく、『新しい価値の創造』といた現在進行形の意味も含まれているようです。

 少し前の話になりますが、国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトに820日付けで《Kofi Annan’s AIDS legacy(コフィ・アナンが残したエイズ対策のレガシー)》が掲載されました。818日に80歳で亡くなったコフィ・アナン元国連事務総長を追悼する文章で、筆者はミシェル・シディベUNAIDS事務局長です。 

 

コフィ・アナン氏は、ガーナ出身の国連職員としてPKO局長などを務め、19971月、国連事務総長に就任しました。以来210年の間、国連のトップとして世界の平和や人権の尊重、貧困の解消といった課題に取り組み、事務総長在任中の2001年には国連とともにアナン氏自身もノーベル平和賞を受賞しています。 

もちろん、その努力がすべて大きな成果を収めたわけではなく、うまくいっかなかったこともたくさんありました。20019月の米中枢同時テロをはさみ、世界はより大きな困難に直面して現在に至っています。ただし、そのことでアナン氏を過少に評価することもまたできません。

 

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(コフィ・アナン氏。背広の襟にはレッドリボン UNAIDS公式サイトから)

 アナン氏の多方面にわたる功績の中でも、とりわけ評価すべきなのは実は、21世紀の最初の10年間における世界規模のHIV/エイズ対策への貢献だったのではないでしょうか。UNAIDSのミシェル・シディベ事務局長は追悼文の中で次のように書いています。

 《20世紀から21世紀への移行期は、エイズ否認主義がピークに達した時期でした。アナン氏がそれを打破する力になりました。「アフリカでは昨年、この大陸のすべての戦争による死者よりも多くの人がエイズで亡くなっています。エイズはこの大陸における最も大きな危機であり、各国政府は何らかの対応を迫られています。エイズの流行を恥と感じ、沈黙で対応する状態に終止符を打たなければならないのです」と2001年に述べています》

 ニューヨークで6月に国連エイズ特別総会が開かれた年です。米中枢同時テロで世界貿易センタービルが崩壊する3か月前のことでした。翌2002年の1月には世界エイズ結核マラリア対策基金(グローバルファンド)が創設されています。

激動の2001年の中で、戦争や紛争の解決ほど目立った動きではなかったかもしれませんが、世界は確実に希望への投資を開始し、そのきっかけを作ったキーパーソンの一人がアナン氏だったことは記憶しておく必要があります。

 ミシェル・シディベ氏の追悼文『Kofi Annan’s AIDS legacy(コフィ・アナンが残したエイズ対策のレガシー)』は、エイズソサエティ研究会議HATプロジェクトのブログに全文の日本語仮訳を掲載しました。

 https://asajp.at.webry.info/201808/article_4.html

 

 

 

2 11年ぶり1400件以下に 2017エイズ動向委員会報告確定値

 国内の新規HIV感染者・エイズ患者報告数が11年ぶりに1400件を下回りました。厚労省エイズ動向委員会がまとめた2017年の年間報告確定値によると、新規HIV感染者報告976 件、エイズ患者報告 413 件で、患者・感染者報告の合計は1389 件でした。いずれも過去11位ということです。

感染者・患者報告の合計が1300件台に減ったのは2006年の1358件(406件、952件)以来で、HIV感染者報告が1000件の大台を割ったのも2006年以来11年ぶりです。

国内の患者・感染者報告数は2007年から10年間にわたり、年間1500件前後で横ばいの状態が続いていました。詳しくはAPI-Netの『日本の状況=エイズ動向委員会報告』で20188月の委員長コメントをご覧ください。

 http://api-net.jfap.or.jp/status/index.html

 

 

 

3 Global Topics(グローバル・トピックス)』創刊

 世界の三大感染症とされるエイズ結核マラリアについて、国際的な動向や課題をわかりやすくまとめた『Global Topics(グローバル・トピックス)』が創刊されました。グローバルファンド日本委員会(FGFJ)が年4回、季刊で発行します。

創刊号は『結核の最新動向』です。『結核は“昔の病気”あるいは“貧しい国の問題”と思われがちですが、日本を含む先進諸国も関わるグローバルヘルス最大の課題の一つです』とFGFJは説明しています。926日には、ニューヨークの国連本部で結核に関する「国連総会ハイレベル会合」が開かれました。

Global Topics』では、結核の世界的な発生状況や課題、終息に向けた国際社会の動向を概説しています。世界全体でみると、結核HIV陽性者の最大の死亡原因でもあります。FCFJの公式サイトで創刊号のPDF版がダウンロードできます。

http://fgfj.jcie.or.jp/topics/2018-07-30_global-topics-vol-1

 

 

 

4  HIV陽性者への精神・心理的支援とそのための連携体制構築 ウェブサイト紹介

 厚生労働省の『HIV陽性者に対する精神・心理的支援方策および連携体制構築に資する研究班』が公式サイトを開設しました。

 https://www.haart-support.jp/psychology/index.htm

 『HIV感染症は抗HIV薬の多剤併用療法によって慢性疾患と捉えられるまでになったが、精神疾患や認知機能の低下、その他様々な心理的問題を有するHIV陽性者が一定数いることが指摘されており、その支援やケアは重要な課題である。本研究では、薬害被害者を含むHIV陽性者の精神医学的・神経学的・心理学的問題を明らかにし、それに対する支援方策を提示すること、またHIV陽性者に支援を提供するために必要な連携体制を構築することを目的とする』 (研究の目的から)

 

試合では寝込まないように 浅原選手も日本代表メンバーに選出

 11月に予定されている国際試合シリーズに臨むラグビー日本代表のメンバーが1日、発表されました。試合スケジュールも含め、日本代表の公式サイトをご覧ください。

 

www.rugby-japan.jp

個々の選手の実力は私には分からないので、人選が妥当なのかどうかの判断はできませんが、個人的な感想として「よかったな」と思うのは、プロップで東芝ブレーブルーパスの浅原拓真選手が選ばれていることです。酔っぱらって路上に寝込み、車にひかれちゃったけど軽傷だった、あの浅原選手です。

 変な自粛ムードに流されることなく、よく選んだ!とジェイミー・ジョゼフHC(ヘッドコーチ)には、あっぱれ!を進呈したい。

 ま、これほど頑健なら人情としても選びたくなるよね。報道で知る範囲の情報ですが、ご本人は反省しているし、『運転手の方にも直接お詫びを申し上げ、その際に励ましのお言葉も頂戴しました』(スポニチ)ということでした。あとはその『励まし』に応えるべく、大いに活躍していただきましょう。

 蛇足ながら、試合では寝込まずに立ってプレーをすることが大切です。今度はペナルティをとられちゃうよ。

 

『PEPFAR:最初の15年』 エイズと社会ウェブ版353

 米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)は20031月、当時のブッシュ大統領がアフリカとカリブ諸国のエイズ対策に5年間で150億ドルを支出する考えを表明し、議会で超党派の賛同を得て制度化されました。

 とはいえ、保守派であり、妊娠中絶には厳しい立場をとる共和党ブッシュ大統領がなんでまたエイズ対策にそんなに熱心なの・・・といった懐疑論も当初はありました。

 共和党政権であるか、民主党政権であるかに関わりなく、米国がそこまで本気にならざるを得ない。HIV/エイズの世界的流行はそれほどの緊急事態だったということでもあります。(もちろん、いまも大変な事態ですが、それ以上の切迫感がありました。現状は、ある程度の成果があがったことから、どことなく世界が切迫感を欠き始めていることに、むしろ危機感を持つ必要があります)

 2001年の国連エイズ特別総会を経て、2002年に世界エイズ結核マラリア対策基金(グローバルファンド)が創設され、その翌年にPEPFARが生まれています。

 グローバルファンドとPEPFARという2つの資金供給源がなければ、その後、流行の拡大を何とか食い止めるという成果はあり得なかったでしょう。

 PEPFARブッシュ政権からオバマ政権、そして現在のトランプ政権まで、15年間にわたって大きな貢献を果たしてきました。

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)は、2018年版のPEPFAR成果報告書が発表されたのを機会に公式サイトで紹介記事を掲載しています。短い記事ですが、PEPFARがいかに重要な貢献を果たしてきたか、ほめたたえる内容です。トランプ政権になって拡大版グローバルギャグルールが採用され、低・中所得国のHIV/エイズ対策がかなり大きなダメージを受けているというようなことには、外交的配慮もあるのか触れていません。

 それはそれで重要な論点なのですが、どう対応するのか、微妙なところです。 

 PEPFARを統括するデボラ・バークス大使(世界エイズ調整官)はオバマ政権時代の20144月に就任し、人事が無茶苦茶といわれるトランプ政権に移行してからもすでに2年近く留任しています。下手に政権の批判をしてバークス大使がとばっちりを受けるような事態を招きでもしたら元も子もないではないか。勝手に推測すれば、UNAIDSの側にもそんな配慮があるのかもしれません。あくまで、もしかしたらという程度の根拠のない推測です。

 当ブログでは以前、拡大版グローバルギャグルールについても取り上げたことがあるので参考までに、そちらも紹介しておきましょう。 

miyatak.hatenablog.com

 

 話をもとに戻して、以下、UNAIDSPEPFAR紹介記事の日本語仮訳です。マンデラさんの写真をバックにしたお二人がバークス大使(右)とシディベ事務局長ですね。 

 

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PEPFAR:最初の15

  2018.9.28 UNAIDS Feature Story

www.unaids.org

  米国のジョージ・Wブッシュ大統領2003年の一般教書演説で構想を明らかにした米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)は、2018年で創設15年を迎えた。過去15年の間にPEPFARは地球規模のHIVへの対応を劇的に変え、米国の政権が以後、民主、共和両党へと交代していく中でも、エイズの流行に対応するPEPFARの活動には超党派の支援が続いている。

 最初は5年間で150億ドルの資金でスタートし、PEPFARはこれまでに700億ドルの資金貢献を果たしてきた。その資金は目覚ましい成果を収めている。2017年には、世界でHIV治療を受けている2170万人のHIV陽性者のうち、子供100万人を含む1330万人はPEPFARの支援により治療が保障されている。さらに20185月にはPEPFARの支援で治療を受けている人が1400万人を超えたことが発表されている。

 PEPFARは主要なHIV予防プログラムにも資金を提供してきた。自発的な男性器包皮切除によるHIV感染の予防効果は、2003年からPEPFAR1520万件分の手術の資金を提供したことで大きく高まっている。母子感染予防サービスへの支援で220万人の赤ちゃんがHIVに感染せずに生まれている。また、8550万人がHIV検査を受け、その結果kとして治療を開始したり、HIV感染を防ぐための予防サービスを受けたりすることができるようになった。

 2017年には、HIVによって両親を失ったり、弱い立場に置かれたりしている子供たち640万人がPEPFARによる支援を受けている。また、PEPFAR DREAMというプログラムにより、プログラム実施地域では、思春期の少女や若い女性の新規HIV感染が2540%も減少している。

 PEPFAR927日、2018年版の成果報告書を発表し、20172020年戦略の初年度の成果を報告しています。53カ国のエイズ対策を支援し、このうち13カ国はすでに、HIVの流行をコントロールするための2020年高速対応目標の軌道に乗っています。ほかの多くの国も、HIV予防、治療のサービスへのアクセスを確保するための資金を増やし、政策を充実させれば、軌道に乗ることが可能になります。

 「PEPFARの貢献が世界中のHIV陽性者およびHIVに影響を受けている人たちの人生を変えてきました」とUNAIDSのミシェル・シディベ事務局長は語る。「長期にわたるパートナーシップを誇りに思い、男性、女性、子供、そして最も排除されやすい人たちのために、今後も緊密な協力して活動を続けていくことを期待しています」

 

 

 

PEPFAR: the first 15 years

  28 September 2018

First announced during the 2003 State of the Union Address by the then President, George W. Bush, the United States President’s Emergency Plan for AIDS Relief (PEPFAR) is celebrating its 15th anniversary in 2018. Over the past 15 years, PEPFAR has dramatically changed the landscape of the global response to HIV, and bipartisan support across successive administrations since its launch has continued to ensure that PEPFAR expands it work towards controlling the AIDS epidemic.

Launched with an initial budget of US$ 15 billion over its first five years, PEPFAR has gone on to commit US$ 70 billion to the AIDS response. The funding has had remarkable results: in 2017, PEPFAR was supporting 13.3 million of the 21.7 million people living with HIV on treatment, including 1 million children, and in May 2018 announced that more than 14 million were on treatment.

PEPFAR has funded major HIV prevention programmes. The preventative effect of voluntary medical male circumcision on HIV transmission has been ramped up by funding more than 15.2 million circumcisions since 2003. Prevention of mother-to-child transmission of HIV services have ensured that 2.2 million babies have been born HIV-free, while 85.5 million people have accessed HIV testing services, allowing the people taking the tests to start on treatment or access HIV prevention services to stay HIV-free.

PEPFAR’s work with children orphaned or otherwise made vulnerable by HIV resulted in more than 6.4 million children being supported by PEPFAR in 2017, while the PEPFAR DREAMS programme saw new HIV infections among adolescent girls and young women drop by 25–40% in those locations in which the programme was implemented.

On 27 September PEPFAR published its 2018 progress report, showing the progress made one year into its 2017–2020 strategy. PEPFAR supports the AIDS response in 53 countries—of those, 13 are already on track to control their HIV epidemics by 2020, while many more could still do so through scaling up resources and policies to ensure access to HIV prevention and treatment services.

The contributions of PEPFAR have transformed the lives of people living with or affected by HIV around the world,” said Michel Sidibé, Executive Director of UNAIDS. “We are very proud of our longstanding partnership and look forward to continuing to work closely together to deliver results for men, women and children, particularly the most marginalized.”

 

報告の減少傾向続く 東京都エイズ通信第133号 

 東京都エイズ通信の第133号(20189月号)が配信されました。926日までの東京都の新規HIV感染者・エイズ患者報告数は昨年と比べると依然、微減の傾向です。報告ベースのこの数字が何を意味するのか、啓発や支援の現場の感覚ともあわせて推察を進める必要があります。私の能力の及ばない範囲の作業なので、専門家の分析を仰ぎたいですね。

archives.mag2.com

 

   ◇

平成3011日から平成30926日までの感染者報告数(東京都)

  ※( )は昨年同時期の報告数

HIV感染者      253件  (274件)

AIDS患者         48件  (  71件)

合計             301件  (345件)

HIV感染者数、AIDS患者数ともに昨年同時期を下回っています。

   ◇

 2017年まで過去10年間の報告の年次推移はこちらで見ることができます。

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/kansen/aids/newsletter.files/NL_No.168.pdf

 東日本大震災があった2011年は大きく減り、その後また横ばい傾向に戻っていましたが、今年は減少傾向に転じています。報告の数字は実際の感染の動向と同時に(あるいはそれ以上に)その時々の出来事の影響も受けます。今年は何が起きているのでしょうか。