『国連活動が優先すべきもの』 エイズと社会ウェブ版293

 当然のことだとは思いますが、今年の国連総会は安全保障に焦点が当てられています。もちろん国際保健や新興感染症対策も広い意味での安全保障課題ではあるのですが、現時点で国際社会の主要な関心事項はもっと対象を限定した意味での安全保障課題です。

 そうした中で、国際エイズ学会(IAS)のオーエン・ライアン事務局長が国連総会の通常会期開始に際し、IAS公式サイトのブログ欄に『The key priorities that need UN action』というレポートを載せています。 

(お詫びと訂正:IASのオーエン・ライアン事務局長のお名前を誤って、ロバート・オーエン事務局長と紹介してしまいました。チェックの機会はいくらでもあったのに、一晩ぐっすり眠って、翌朝遅く目が覚めるまでまったく気づかずにいました。お詫びして訂正します。それにしても、どうしてこんなことになったのか・・・)

www.iasociety.org

 日本語にするとタイトルは『国連活動が優先すべきもの』といったところでしょうか。本文の日本語仮訳はエイズソサエティ研究会議HATプロジェクトのブログに掲載しました。ちょっと長いけれどこちらもご覧ください。

 日本語仮訳:『国連活動が優先すべきもの』

 

 困難な課題を山盛りで抱える世界の現状の中で、HIV/エイズ対策はともすれば「置き去り」にされがちですが、関心が盛り上がったり、下がったりは世の常ですね。「エイズはもう旬じゃないから、ほどほどに」というわけにはいきません。 

ライアン事務局長もだからこそ、この時期にあえて『エイズの流行は事務総長に対し、さらにもう一つ大きな課題を突き付けるとともに、変革をもたらす機会も提供しています』と書いたのでしょうね。

今年1月に就任したアントニオ・グテーレス国連事務総長に対しては『世界は公衆衛生上の脅威としてのエイズ流行に終止符を打つことができるかどうか。任期中にそれを決定づける財政、政策、実践上の選択を迫られることになります』として、エイズ流行終結という国際社会の約束の実現に向け、明確なリーダーシップを発揮するよう求めています。

また、『エイズ対策の経験から得た教訓を踏まえ、より健康で安全で平等な世界のために事務総長が採用しうる5項目』も示しているので、その5項目も紹介しておきましょう。

・社会、経済格差との闘いに率先して取り組む

・世界の進歩を促す柱として人権と社会正義を重視する

 ・つらい仕事を積極的に引き受ける

 ・ユニバーサルアクセスを進め治療薬を手ごろな価格で利用できるようにする

 ・国連改革を加速させる

 

 それぞれに短い説明がついています。詳しくは日本語仮訳を読んでいただくとして、個人的に私が注目したのは、最初の『社会、経済格差との闘いに率先して取り組む』の中の次のような記述です。

『中所得国には信じられないほど裕福な人がいると同時に、世界の貧困層4分の3近くが暮らしています。社会の周縁に追いやられがちな人たちの間でHIVの新規感染が急速に拡大している地域でもあります』

HIV/エイズ分野では、ロシアや中国はその中所得国のカテゴリーに入るのだと思いますが、UNITED NATIONS(もともとは連合国という意味)である国連の中では大国です。安保理常任理事国であり、国際の平和と安全をめぐる課題に対しては拒否権も持っています。その大国でいまHIVの感染がどのくらい広がっていて、今後はさらにどこまで拡大していくのか。それがどうもいまひとつ、つかみきれません。

2番目の『世界の進歩を促す柱として人権と社会正義を重視する』にはこんな記述もあります。

『多くの国で独裁主義が広がり、市民社会は委縮し、人権の侵害や社会的な不公正を容認する傾向が強まる中で、国連事務総長は世界が認める指導者として、それに対抗しうる考えを明確に示す必要があります』

支援すべきは国なのか、人なのか。現実の問題として世界はいま、ますます悩ましい課題に直面しています。それらの課題と切り離して「HIV/エイズはあくまで医療の問題だから」などと無邪気に考える人はまあ、いないでしょう(と思っていたら、残念ながら日本にはいらっしゃるようなので、「そう多くはないでしょう」ぐらいにトーンを下げておいた方がいいかもしれませんね)。

かけ声はともかくとして、HIV/エイズの流行に対する国際社会の関心が以前より低下していることは否めません。エイズの流行は、終結どころか、現状のままでは再拡大を招きかねない。国連の外にある独立の専門家団体の事務局長が、あえて国連事務総長に改革を求めるのも、そうした危機の意識を強く感じているからではないかと思います。

 

 

新たな高品質抗レトロウイルス治療が90以上の低・中所得国で、価格を値引きしてスタート

国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトに掲載された2017921日付プレスリリースの日本語仮訳です。リリースに名を連ねる関係機関が多く、鳴り物入り雰囲気なので、大急ぎで日本語に訳しました。HATプロジェクトのブログにも掲載しましたが、例によって私の余分な感想を前振りして再掲します。

最新のインテグラーゼ阻害剤であるドルテグラビルを含めた抗レトロウイルス治療(ART)の合剤が低・中所得国で安価に使用できるようにする合意が成立したということで、国連総会の開かれているニューヨークで発表されました。これまでよりも効果の高い第一選択薬の組み合わせです。一日一錠の服用で、HIV陽性者の体内のウイルス量を大きく抑制し、副作用も少なく、耐性ウイルスの出現もかなり抑えられるということです。先進国ではすでに広く使用されているのですが、対象を低・中所得国向けに限り、ジェネリック薬の使用を認めて、患者一人当たり年間75ドルで使用が継続できるようになるというところがポイントです。

正直なところ、医学にはまったくの素人であり、HIV感染症の治療を受けているわけでもない私には、ARTの薬の中身の話はよく分かりません。すいません。プレスリリースの興奮ぶり(とにかく「私は興奮しました」というコメントが複数の関係者から出てくる)や、やたらと関係機関が多いことから、これは大変なことなんだろうと推察しました。

一応、訳し終えてから考えると、昨年6月の国連総会ハイレベル会合で、国際社会の共通目標として位置付けられた90-90-90ターゲットの高速対応を2020年までに実現できるのか・・・どうも雲行きが怪しいというのが、最近の趨勢です。このままではまずい。締め切りまでもう3年ちょっとしかないので、ここらで強力なてこ入れ策を示したい。特に世界の指導者がニューヨークの国連本部に集まる9月にアピールしておきたい。そんな事情も関係者の皆さん、とりわけ90-90-90ターゲットの主唱者であるUNAIDSにはあるのかもしれません(単なる私の推測で、根拠はありません)。

もちろん、重要な合意だとは思います。ただし、薬の価格ほどではないにしても、そのあたりは少し値引いて受け止める必要もありそうです。

プレスリリースにはアルファベットの頭文字が乱発されていました。私も訳しながら、DTGTLDを混同してしまい、作業が大幅に遅れてしまいました。ああ、雨が降り出し、窓のそとは暗くなっちゃったよ・・・。一応、私の理解で説明すると、

DTG ドルテグラビル

TLD テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、ラミブジン、ドルテグラビルの合剤   

ということでしょうか。

 その他、よく理解しきれていないところがどっさりあるので、ここはこう訳すべきじゃないのといった箇所があればご指摘ください。 

 

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www.unaids.org

 

新たな高品質抗レトロウイルス治療が南アフリカケニアなど90以上の低・中所得国で、価格を値引きしてスタート  プレスリリース

 

【ニューヨーク】 低・中所得国(LMICs)の公的機関向けにドルテグラビル(DTG)を含む一日一剤のHIV治療投薬を患者一人当たり年間約75ドルという手ごろな価格で利用できるようにするジェネリック薬の画期的な価格合意が発表された。世界で3670万人のHIV陽性者全員に高品質の抗レトロウイルス治療を提供するという国際的な普及目標は、この合意により大きな前進が期待できるようになる。国連合同エイズ計画(UNAIDS)の2016年推計では、生死を分ける治療薬を利用できるHIV陽性者は1950万人で、世界の陽性者総数の半数を何とか上回る状態に到達したところである。

 最高クラスのインテグラーゼ阻害剤であるDTGは、高所得国で広く使われ、世界保健機関WHO)からも新たな組み合わせの第一選択薬として推奨されている。また、米保健福祉省の「成人および青少年のHIV治療のための臨床医療に関する専門委員会」からも選択すべき治療薬の一つとされている。治療の質と継続性が改善されることに加え、DTGの普及によりHIV治療の第一選択薬の組み合わせは価格が引き下げられ、同時にもっと高額な第二、第三選択薬の組み合わせへの移行も減らすことが期待されている。WHO20177月、安全かつ迅速にDTGをベースにした抗レトロウイルス治療に移行するための手引きを各国に向けて発表している。

 この合意は南アフリカケニア両国政府が、国連合同エイズ計画(UNAIDS)、クリントン・ヘルスアクセス・イニシアティブ(CHAI)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団(BMGF)、ユニットエイド(UNITAID)、英国国際開発省(DFID)、米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)、米国国際開発庁(USAID)、世界エイズ結核マラリア対策基金(グローバルファンド)、およびMylan Laboratories LimitedAurobindo Pharmaとともに発表し、世界のどこでも質の高いHIV治療を受けられるようにする重要な一歩を踏み出した。

 「この合意は何百万というHIV陽性者の生活の質を改善するでしょう」とUNAIDSのミシェル・シディベ事務局長はいう。「90-90-90治療ターゲットを達成するには、より新しく、手ごろな価格で、効果の高い治療の選択肢が、ボルチモアからバマコまで、遅滞なく利用できるようにする必要があります」

 WHOのテドロス・アダノム事務局長は「何百万もの人にとって、より高品質かつ手ごろな価格で、長く続けられるHIV薬が使えるようになるこの合意をWHOは歓迎します。最も弱い立場に置かれた人たちの生命を救い、世界はHIVがなくなる状態に近づけるようになります。南アフリカケニアCHAIその他の組織がこの大きな合意に達したことを祝福します。流れを大きく変えるこの新たな治療法を安全なかたちで迅速に取り入れることができるようWHOは各国を支援していきます」

 テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、ラミブジン、ドルテグラビルを組み合わせたこの一日一錠ジェネリック合剤(TLD)は、DTG開発者であるViiVヘルスケアのライセンス合意のもとでMylanAurobindoが開発した。MylanAurobindoは最近、PEPFARプログラムのもとでの生産に関し、米食品医薬品局(FDA)から暫定承認を受けている。複数の臨床研究では、DTGを使った治療投薬は、低・中所得国が現在使っている治療薬の組み合わせよりも、より急速にウイルス量を抑制し、副作用は少なく、薬剤耐性を抑える可能性も高いことが示されている。

 「この革新的な合意には興奮します。南アフリカ政府はこの合意により、ドルテグラビルをベースにした合剤を提供できるようになり、その高い治療効果は患者に大きな利益をもたらすことになります」と南アフリカのアーロン・モツォアレディ保健相は語る。「価格が大きく引き下げられることで、今後6年間に南アフリカ9億ドルの医療費を節約でき、そのお金を使ってより多くの患者が新たに治療を開始できるのです。治療の強化がウイルス量の抑制につながれば、HIVの流行をより速く制御できるようになります。20184月から新たな支給を始めたいと考えています」

 「20167月に発表された抗レトロウイルス治療ガイドラインにより、保健省はドルテグラビルなどの新薬を含む新たな抗レトロウイルス薬の供給を始めました」とケニアクレオパ・マイル保健長官は語る。「ドルテグラビルは許容度が高く、有害事象が少なく、genetic barrierが高い(薬剤耐性が少ない)ことは研究によって示されています。こうした点を考慮してケニアは今年7月、国のARTプログラムにドルテグラビルを含めることを承認しました」

 「グローバルファンドは、何百万人もの生命を救うこの偉大なイニシアティブに加わることを非常にうれしく思います」とグローバルファンドのマライケ・ヴェインロクス事務局長代行は述べた。「HIVの流行の終結を目指して、私たちはこの病気にかかっている人がよりよい治療にアクセスできるよう支援を続けています」

 BMGFは最近、CHAIの支援を受け、新合剤の利用促進をはかるため、90か国以上の低・中所得国の公共部門が値下げ価格で購入できるようにする価格制限協定をMylanおよびAurobindoとの間で結んだ。TLDの価格の上限を設定するこの協定により、今後6年間で公共部門の購入額は10億ドルの節約が果たせるとの推計もある。

 「HIVエイズによる心痛と絶望感を深く感じた経験のある医師として、かつてないほど多くの人がより良い治療を受けられるようになる見通しに興奮しています」とBMGFのスー・デズモンド・ヘルマンCEOはいう。「この前例のないパートナーシップは、保健分野最大のものであり、最も大きなHIV陽性者人口を抱える国々で、高い効果の治療薬をより手ごろな価格で使えるようになるので、何百万人もの生命が救われます。ビル&メリンダ・ゲイツ財団は独自の立場からこの試みを支えていきます。私たちの投資によって何百万もの人が健康で生産的な生活を切り開けるようになることを私はうれしく思います」

 各国保健省およびプログラムマネージャーは、2018年になればTLDを平均予想価格で、患者一人当たり年間75ドルで注文できるようになるということを考えておくべきである。さらに詳しい価格設定については、Mylan または Aurobindoに問い合わせることができる。価格制限協定はViiVヘルスケアのドルテグラビル使用許可契約でカバーされる92カ国の公共部門からの購入に適用され、低・中所得国のHIV陽性者の90%以上が対象となる。 

 TLD普及に勢いをつけ、資金の限られている国で保健医療従事者がこの薬の扱いに習熟できるようにするため、ユニットエイドはCHAIとともに、2016年後半からケニア、ナイジェリア、ウガンダの早期適用3カ国に対し、ジェネリックDTG単剤を使用できるようにしてきた。WHOUSAID、各国保健省と協力して進めたこの革新的な試みは、各国に治療法を改善する機会を提供し、同時に妊婦や結核重感染患者など、一定の集団における重要なエビデンスを生み出している。

 「ユニットエイドの投資は、手ごろな価格でTLDを導入するための基盤となる先駆的な試みでした」とユニットエイドのレリオ・マルモラ事務局長はいう。「触媒としての私たちの活動を通して障壁を克服し、ケニアのように最新のHIV治療へのアクセスが可能になったのです」

 「この画期的な合意は、ドルテグラビルを含む一日一錠の合剤の価格を下げ、使いやすくすることで何百万もの患者の生命を救います」とCHAIのイラ・マガジナーCEOは述べた。「この薬の組み合わせは、飲みやすく、効果も高い。薬剤耐性ウイルスが生じる機会が少なくなるので健康状態も改善し、多くの患者が治療にとどまることができます」

 

 

 

New high-quality antiretroviral therapy to be launched in South Africa, Kenya and over 90 low-and middle-income countries at reduced price

 

New York – A breakthrough pricing agreement has been announced which will accelerate the availability of the first affordable, generic, single-pill HIV treatment regimen containing dolutegravir (DTG) to public sector purchasers in low- and middle-income countries (LMICs) at around US$75 per person, per year. The agreement is expected to accelerate treatment rollout as part of global efforts to reach all 36.7 million people living with HIV with high-quality antiretroviral therapy. UNAIDS estimates that in 2016, just over half (19.5 million) of all people living with HIV had access to the lifesaving medicines.

DTG, a best-in-class integrase inhibitor, is widely used in high-income countries and is recommended by the World Health Organization (WHO) as an alternative first-line HIV regimen, as well as a preferred treatment by the U.S. Department of Health and Human Services Panel on Antiretroviral Guidelines for Adults and Adolescents, among many others. In addition to improving treatment quality and retention, widespread use of DTG is expected to lower the cost of first-line HIV treatment regimens while also reducing the need for more expensive second- and third-line regimens. In July 2017, WHO issued guidance to countries on how to safely and rapidly transition to DTG-based antiretroviral treatment.

This agreement, announced by the governments of South Africa and Kenya, together with the Joint United Nations Programme on HIV/AIDS (UNAIDS), the Clinton Health Access Initiative (CHAI), the Bill & Melinda Gates Foundation (BMGF), Unitaid, the United Kingdom’s Department for International Development (DFID), the United States President’s Emergency Plan for AIDS Relief (PEPFAR), the U.S. Agency for International Development (USAID), and the Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria, with Mylan Laboratories Limited and Aurobindo Pharma, takes an important step toward ensuring the availability of worldwide high-quality treatment for HIV.

This agreement will improve the quality of life for millions of people living with HIV,” said UNAIDS Executive Director Michel Sidibé. “To achieve the 90-90-90 treatment targets, newer, affordable and effective treatment options must be made available—from Baltimore to Bamako—without any delay.”

WHO Director-General, Dr. Tedros Adhanom stated, "WHO welcomes this agreement which will make it possible to reach millions of people with better, more affordable and durable HIV drugs. This will save lives for the most vulnerable, bringing the world closer to the elimination of HIV. We congratulate South Africa, Kenya, CHAI and others on this landmark agreement. WHO will support countries in the safe introduction and a swift transition to this game-changing new treatment."

This one pill, once-a-day generic fixed-dose combination of tenofovir disoproxil fumarate, lamivudine, and dolutegravir (TLD) was developed by Mylan and Aurobindo under licensing agreements from ViiV Healthcare, the original developer of DTG. Mylan and Aurobindo both recently received tentative approval from the U.S. Food and Drug Administration (FDA) for their products under the United States PEPFAR program. Clinical studies demonstrated that treatment regimens that use DTG result in more rapid suppression of viral load, fewer side effects, and greater potency against drug resistance than current regimens used in LMICs.

 I am excited about this innovative agreement which will allow the government of South Africa to accelerate the introduction of the dolutegravir-based fixed-dose combination which will greatly benefit our patients due to its superior therapeutic qualities, said Minister of Health of South Africa Dr. Aaron Motsoaledi. “The considerable price reductions could yield savings of up to US$900 million over the next six years for us, which means that we can initiate additional patients on treatment with the same amount of resources. Ramping up treatment with good viral suppression will enable us to reach HIV epidemic control more quickly. We are aiming at launching the new tender in April 2018.”

In the antiretroviral therapy guidelines launched in July 2016, the Ministry of Health made provisions for use of newer antiretroviral medicines such as dolutegravir,” said Dr. Cleopa Mailu, Cabinet Secretary of Health in Kenya. “Research has shown that dolutegravir offers better tolerability, fewer adverse drug reactions, fewer drug interactions, and higher genetic barrier to resistance. It is with this in mind that, in July this year, Kenya approved its inclusion in the National ART Program.”

The Global Fund is excited to be part of this great initiative that will help us save more lives,” said Marijke Wijnroks, Interim Executive Director of the Global Fund. “As we strive to end HIV as an epidemic, we are committed to supporting people affected by diseases to access better products.”

The BMGF, with the support of CHAI, recently completed ceiling price agreements with Mylan and Aurobindo with the goal of accelerating the availability of the new fixed-dose combination to the public sector in over 90 LMICs at reduced pricing. The agreements, which set an upper price limit for TLD, are by some estimates expected to save public sector purchasers over US$1 billion over the next six years.

 As a doctor with deep, personal experience of the heartache and despair caused by HIV and AIDS, I’m excited by the prospect of bringing better treatment to more people than ever before,” stated BMGF CEO Sue Desmond-Hellmann. “This unprecedented new partnership - the largest of its kind ever seen in global health - will transform millions of lives by making a highly-effective drug more affordable to countries with the largest numbers of people living with HIV. The Bill & Melinda Gates Foundation is uniquely placed to help in this endeavor - and I’m delighted that our investment will give millions more people a shot at leading a healthy, productive life.”

Ministries of Health and program managers should anticipate being able to order TLD in 2018 at around a projected average price of US$75 per patient, per year. Further pricing details are available upon request to Mylan or Aurobindo. The ceiling price agreements apply to purchases for public sector use in all 92 countries covered under ViiV Healthcare’s dolutegravir licensing agreement, representing over 90 percent of people in LMICs currently living with HIV.

To build momentum for TLD and familiarize healthcare workers with the drug in resource-limited settings, Unitaid partnered with CHAI beginning in late 2016 to make generic DTG single tablets available in three early adopter countries: Kenya, Nigeria, and Uganda. Partnering with WHO, USAID, and the Ministries of Health, this innovative initiative is giving countries an opportunity to improve treatment offerings for their patients while also generating critical evidence on the use of DTG in certain populations, including pregnant women and tuberculosis (TB) co-infected patients.

Unitaid’s investments have laid the foundation for the ground-breaking introduction of TLD at an affordable price,” said Lelio Marmora, Unitaid’s Executive Director. “Through our catalytic work we are overcoming barriers, thereby enabling countries like Kenya to access the latest HIV treatments on the market.” 

 

This groundbreaking agreement will help improve the lives of millions of patients by reducing costs and increasing availability of a one pill, once daily fixed-dose-combination including dolutegravir,” stated Ira Magaziner, CEO of CHAI. “This drug combination is better tolerated and more effective and will lead to improved health outcomes by ensuring that fewer HIV patients develop drug resistance and that more remain on treatment.”

 

 

About UNAIDS

The Joint United Nations Programme on HIV/AIDS (UNAIDS) leads and inspires the world to achieve its shared vision of zero new HIV infections, zero discrimination and zero AIDS-related deaths. UNAIDS unites the efforts of 11 UN organizations—UNHCR, UNICEF, WFP, UNDP, UNFPA, UNODC, UN Women, ILO, UNESCO, WHO and the World Bank—and works closely with global and national partners towards ending the AIDS epidemic by 2030 as part of the Sustainable Development Goals. Learn more at unaids.org and connect with us on Facebook, Twitter, Instagram and YouTube.

About the Clinton Health Access Initiative

Founded in 2002, by President William J. Clinton and Ira C. Magaziner, the Clinton Health Access Initiative, Inc. (“CHAI”) is a global health organization committed to saving lives, reducing the burden of disease and strengthening integrated health systems in the developing world. Learn more at www.clintonhealthaccess.org                

About the Bill & Melinda Gates Foundation

Guided by the belief that every life has equal value, the Bill & Melinda Gates Foundation works to help all people lead healthy, productive lives. In developing countries, it focuses on improving people's health and giving them the chance to lift themselves out of hunger and extreme poverty. In the United States, it seeks to ensure that all people—especially those with the fewest resources—have access to the opportunities they need to succeed in school and life. Based in Seattle, Washington, the foundation is led by CEO Sue Desmond-Hellmann and Co-chair William H. Gates Sr., under the direction of Bill and Melinda Gates and Warren Buffett.

About Unitaid

Unitaid invests in new ways to prevent, diagnose and treat HIV/AIDS, hepatitis C, tuberculosis and malaria more quickly, affordably and effectively. It brings the power of new medical discoveries to the people who most need them. And it helps set the stage for the large-scale introduction of new health products by collaborating with Governments and funding partners such as PEPFAR and the Global Fund.

About the Global Fund

The Global Fund is a 21st-century partnership designed to accelerate the end of AIDS, tuberculosis and malaria as epidemics. As a partnership between governments, civil society, the private sector and people affected by the diseases, the Global Fund mobilizes and invests nearly US$4 billion a year to support programs run by local experts in more than 100 countries. The Global Fund’s operating costs are approximately 2 percent of grants under management, reflecting an exceptionally high degree of efficiency. By challenging barriers and embracing innovative approaches, we are working together to better serve people affected by the diseases.

About USAID

USAID is a key implementing agency of the U.S. President’s Emergency Plan for AIDS Relief (PEPFAR) and is responsible for over half of all PEPFAR programs with activities focused in 35 priority countries and regions, mainly in sub-Saharan Africa and Asia. For more information, please visit: www.usaid.gov  

 

♪帰り道は遠かった~ モースと江の島

 大森貝塚を発見したエドワード・モースの名前は確か、小学校の教科書にも載っていました。勉強が嫌いで、宿題を忘れてばかりいた私のようなダメガキでも、モースとヘボンの名前ぐらいは知っていた(と思います)。

 そのモースが米国から初来日したのは1877年(明治10年)のことでした。つまり、今年は来日140年ということで、藤沢市亀井野の日本大学生物資源科学部博物館では、『モースと相模湾の生き物』という企画展が開かれています。

 会期は715日~930日なので、夏の間は「いずれそのうち」と思っていましたが、あらら、もうすぐ終わってしまいますね。

 モースは『日本の動物学・考古学・民俗学など多くの学問の発展の礎を作ったことでも知られています』(チラシから)という大変な学者です。鎌倉のお隣の江の島には『太平洋沿岸では世界初となる(注:この言い方はちょっと変だけど)臨海実験所』を構え、シャミセンガイなど腕足動物の分類学・系統進化学の研究を行った時期もあるそうです。

 よし!と気合を入れて本日は江ノ電1日乗車券を購入して藤沢まで大遠征を敢行し、さらに小田急線に乗り継いで六会日大前駅徒歩3分の博物館を訪れました。

 企画展の様子は公式サイトをご覧ください。訪れる価値は十分にあります。 

Nihon University, College MUSEUM of Bioresource Sciences.

 帰りは再び小田急に乗って江の島に寄り道し、『太平洋沿岸では世界初となる(注:なんとなくこの言い方、お気に入りになってきました)臨海実験所』はここにあったであろうという推定の地を訪れました。

 

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 江島神社参道の青銅の鳥居脇を左折します。小道を少し入ると・・・。

 

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 「推定地」というのは最近の調査でほぼここに間違いないということになったという意味です。案内板をアップにしてみましょう。

 

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いまは小道になっていますが、昔はこのあたりが海辺だったようですね。江の島にお寄りの節は、ぜひお寄りになって、先人の偉業をしのんでいただければ幸いです。

 

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帰り道。曇り空に少しだけ晴れ間が見えてきました。船が出ていきます・・・と思ったら、あれれ、沖合でUターンして隣の岸壁に戻ってきちゃったよ。せっかくのいい場面、ちょっとずっこけました(黙っていりゃあ、分からないのに)。 

 

警戒すべき拡大の背景・ロシアのHIV流行 その3 エイズと社会ウェブ版292  

 

 ぷれいす東京の生島さんから『東京都がおこなっているアジアの共同調査の会合で発表された、ロシアのトムスクからの報告』という資料を紹介していただきました。

 たぶん、この会議でしょうね。うかつにも、見過ごしていましたが、東京都福祉保健局、「グッジョブ!」だと思います。 

第8回共同調査研究会議 東京都福祉保健局

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【会議の概要】

『平成281220日から21日の日程で、東京において第8回共同調査研究会議が開催されました。参加都市はバンコクハノイ、マニラ、ソウル、トムスク台北で、平成27年度から各都市で取り組んでいるHIV/エイズに関する共同調査研究について報告及び意見交換を行いました。また、近年感染拡大が続く梅毒についても各都市の現状の対策を共有しました』

 

 トムスク報告については、以下のurlで発表スライドのpdf版を観ることができます。 

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/kansen/kansensyoproject/the8thJointResearchandSurvey.files/1220_08_Tomsk_HIV_JP.pdf

 州政府担当者の報告なので、その点は割り引いて考える必要がありますが、非常に興味深い内容だと思います。中でも個人的に注目したのは3枚目のスライドの『HIV陽性者数のハイリスク者層の割合が減少傾向』という図です。

 「ハイリスク者層」については、その前のスライドで、以下のように説明されています。

    ◇

 HIV感染リスクが高くなる行動をとるため、感染リスクが高まる層

  薬物使用者(以下PID

  セックスワーカー(以下SW

  男性と性交渉する男性(以下MSM

 これらの人々は周りが関わることが難しく、閉鎖的な存在とされている。

    ◇

 「閉鎖的な存在」はあんまりだと思います。ただし、閉鎖的なのは社会か、集団か、どっちだ・・・といった議論は、私には荷が重いので、ここでは回避しますが、「ハイリスク者層」はつまり、最近の用語でいえば「キーポピュレーション」とほぼ重なる層と考えてよさそうです。

 前置きが長くなりました。3枚目のスライドによると、『HIV陽性者数のハイリスク者層の割合』は、2005年には82.7%だったのが、2016年には59.0%となっています。

 これはどういうことでしょうか。

 2016年段階でトムスクHIV陽性者数全体の6割近くがキーポピュレーションで占められているということは、依然としてきわめて高い割合ではありますが、それ以外の人たちの感染も、この10年あまりでかなり増えているということになります。

 確かに感染がキーポピュレーションの枠を超えて社会全体に広がり始め、新たな流行の段階に入ったので、政権も危機感を持つに至った・・・という面はあるかもしれません。

 と、同時に2013年の同性愛宣伝禁止法制定に象徴されるロシア国内の状況を遠く極東の島国から推察すれば、こうした(つまり同性愛宣伝禁止法があるような)社会の中では、キーポピュレーションであるMSM層は、検査を受けることも避けたくなるだろうし、仮に感染が判明したとしても、自らの性的指向が明らかになるのを強く恐れ、自分は異性間の性行為で感染したと主張するのではないでしょうか。

 その場合、推計上の割合よりも実際のMSM層の感染の割合は、もう少し(場合によっては、もっとかなり)高いのかもしれません。

 日本のHIV感染動向も頭の片隅に置きながら、そんなことも小さな図から考えました。

 

警戒すべき拡大の背景・ロシアのHIV流行 その2 エイズと社会ウェブ版291

19945月にロシアのモスクワで開かれた第4回東欧・中央アジア地域エイズ会議(EECAAC)の開会式で、国連合同エイズ計画(UNAIDS)のミシェル・シディベ事務局長が行ったスピーチ原稿の日本語仮訳をHATプロジェクトのブログに掲載しました。

 http://asajp.at.webry.info/201709/article_6.html

演説そのものの仮訳はHATプロジェクトのブログをご覧いただくとして、ここでは冒頭に付した(解説)、および演説のさわりの部分を紹介しておきます。

    ◇

(解説) 少し前の資料ですが、19945月にロシアのモスクワで開かれた第4回東欧・中央アジア地域エイズ会議に出席した国連合同エイズ計画(UNAIDS)のミシェル・シディベ事務局長の開会式演説です。UNAIDSのサイトに掲載されている演説原稿の日本語仮訳を作成しました。何で3年以上前の演説をいまさら・・・と思われる方もたくさんいらっしゃるでしょうね。

実はロシアはいま、HIV陽性者数が推計で100万人を超え、年間の新規感染も10万人以上という危機的なHIV/エイズの流行の拡大に直面しています。なんでこうなったのかということを考えると、2013年、14年あたりが大きなターニングポイントだったのではないかという印象を受けます。

 少し振り返ってみましょう。2013年には6月にロシア同性愛宣伝禁止法が制定されています。これは同性愛の禁止ではなく、青少年に同性愛を容認するような宣伝をする行為を禁止し、違反者には罰金刑を科すという法律です。

 2014年になると、2月にソチ冬季五輪が開かれ欧米の政治指導者の多くが開会式の出席を取りやめています。同性愛宣伝禁止法に対する抗議だったといわれています。3月にはロシアがクリミア編入を宣言し、欧米主要国とロシアの対立はさらに深刻化します。この結果、G8サミットは2014年からG7サミットに戻ります。

 人権の尊重と注射薬物使用者や男性とセックスをする男性(MSM)といったキーポピュレーションへの支援をHIV/エイズ対策の柱とする欧米諸国とロシアのプーチン政権との対立はHIV/エイズ分野でも鮮明になっていきます。

 UNAIDSはその間に立って、それなりに健闘している様子がシディベ事務局長の演説からも伝わってきます。

 

     ◇

 

かなり難しい演説だったのではないかと思います。シディベさんは会議のホスト国であるロシアをそれなりに持ち上げ、配慮を示しつつ、それでもぎりぎりのところで苦言を呈しています。でも、その健闘もむなしく、ロシアのHIV/エイズの流行は今日の危機的状況を迎えることになってしまいました。以下、演説の一部から。

 

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世界がエイズ終結の議論を始める中で、この会議はいま、私がモスクワに携えてきたいくつかの困難な課題を問い直す勇気を持つべきです。

 

1. 30年もの努力と各国およびパートナーからの大きな投資にもかかわらず、そしてアフリカやアジアのように他の地域では減少しているというのに、なぜ東欧・中央アジア地域は新規HIV感染とエイズ関連の死亡の増加率が世界で最も高いのか。

2. 注射薬物使用者はこの地域で最も影響を受けている集団なのに、いまなお予防と治療を妨げる障壁があるのはどうしてなのか。

3. 東欧・中央アジア地域ではHIV陽性者の抗レトロウイルス治療普及率が30%にとどまっているのはどうしてなのか。しかも、世界保健機関WHO)の新たな治療ガイドラインに従えば、この割合はさらに16%に低下する。

4. ロシアの抗レトロウイルス治療第一選択薬の組み合わせは、どうして一人当たり年間2500ドルもかかるのか。他のBRICS(ブラジル、ロシア、インド、南アフリカ)諸国では自国生産薬が100ドル以下になっている。

5. 最後に、G20およびBRICS諸国の中で、ロシア連邦だけがHIV流行の拡大を続けているのはどうしてなのか。

 

難しい質問であることは私にもわかっています。しかし、モスクワでいま、これらの問題を議論しないわけにはいきません。

 

警戒すべき拡大の背景・ロシアのHIV流行 エイズと社会ウェッブ版290

 ロシアでHIV陽性者の支援活動を続けているThe Russian AIDS Center Foundation(ロシア人エイズセンター財団)の紹介記事が915日付で国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトに掲載されています。その日本語仮訳を作成し、HATプロジェクトのブログに載せたので、ご覧ください。 

asajp.at.webry.info

 財団の創設1周年を報じる短い記事ですが、創設者であるジャーナリスト・TV司会者のアントン・クラソフスキー氏は以下のように語っています。

HIV陽性者や薬物使用者への政府の対応を認めることはできません。レズビアン、ゲイ、バイセクシャルトランスジェンダーインターセックスの人たちに対する差別には強く反対しています』

プーチン政権下のロシアで、はっきりとこうした意見を表明できる団体が存在していること、そして、大国には何かと気を遣うことが多い国連機関の一つであるUNAIDSが公式サイトでその活動を紹介していること。これはもしかしたら、ロシアのエイズ対策が変化しつつあることを示す注目すべき動きなのではないかと個人的には感じました。

どのように変化するのか、あるいは結局しないのか。ロシアの事情に疎いわたくしにはもちろん、それは分かりませんが、ロシアのHIV/エイズの流行がいま、きわめて深刻な状態にあることは、今回の紹介記事からも、これまでのUNAIDSの報告からも十分、推測できます。

 たとえば、UNAIDSが今年7月に発表した報告書『エイズ終結を目指す:90-90-90目標への前進』には、各論編で90-90-90達成に向けた地域別の現状が示されています。

(注)報告書についてはとりあえずプレスリリースだけ日本語に訳し、当ブログに掲載してありますので、どんな報告書かご関心がおありの方はこちらをご覧ください。

http://miyatak.hatenablog.com/entry/2017/07/22/120855

全体としては「まだまだ不十分ではあるけれど、世界はそれなりに健闘しています」というトーンのプレスリリースだったのですが、その中でも『中東・北アフリカ、東欧・中央アジアでは、90-90-90目標に向けた成果は芳しくない』と明記されています。

しかも、東欧・中央アジアHIV新規感染については『感染の増加は警戒すべき状態である』とダメ出しされており、その新規感染の大半はロシアで発生していることにも言及しています。どれほど警戒すべきなのか。報告書の各地域編によると、こんな状態です。

《東欧・中央アジアHIV流行は拡大を続けている。2016年の新規HIV感染件数は19万件 [16万~22万件]で、2010年当時の12万件 [10–13万件]より60%も多い

 《この地域のHIV流行はとくにロシアとウクライナ2つの国が中心となっている。地域全体の81%はロシア、9%ウクライナの流行と考えられるからだ。ロシアの流行は急速な拡大を続けている:新規感染件数は2010年に62581件だったのが、2016年には103438件となっている》

 《The HIV epidemic in eastern Europe and central Asia continues to grow. The estimated 190 000 [160 000–220 000] people newly infected with HIV in the region in 2016 was a 60% increase over the 120 000 [100 000–130 000] in 2010. 》

 《The region’s HIV epidemic is primarily within two countries: the Russian Federation and Ukraine. These countries accounted for an estimated 81% and 9% of new HIV infections in 2016, respectively. The Russian Federation’s epidemic continues to grow rapidly: the number of newly reported cases increased from 62 581 in 2010 to 103 438 in 2016. 》

 (UNAIDS  Ending AIDS: progress towards the 90–90–90 targets  p164

 参考までに、同じUNAIDSのサイトのAIDS Infoというデータ集の2016年新規感染者数推計によると(ロシアの数字はまだ報告されていないことになっていますが)、南アフリカ27万人)、ナイジェリア(22万人)に次いで世界で3番目に年間の新規感染者数が多いことになります。

http://aidsinfo.unaids.org/ 

2010年には南アフリカ38万人)、ナイジェリア(23万人)だったと推計されているので、それと比較すると、南アフリカは大幅に減少、ナイジェリアも曲がりなりにも減少しているのに対し、ロシアの増加は際立っています。

こうした急速な新規感染の増加により、ロシア国内のHIV陽性者数はすでに100万人を超え、昨年の段階で推計108万人に達しているようです。

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 どうしてこういうことになったのか。詳しい情報がないので遠回しの言い方になって恐縮ですが、『HIV陽性者や薬物使用者への政府の対応を認めることはできません。レズビアン、ゲイ、バイセクシャルトランスジェンダーインターセックスの人たちに対する差別には強く反対しています』という先ほどのクラソフスキー氏のコメントが背景を表しているように思います。

また、UNAIDSの特集記事には財団事務所とみられる写真が掲載されています。その集合写真の背景に、キース・へリングの「Silence = Death」のポスターと同じ「見ざる、聞かざる、言わざる」の絵が飾られているのも象徴的ですね。

 

『性的マイノリティとトイレ』 エイズと社会ウェッブ版289

 好評のうちに・・・かどうかはまったく分かりませんが、現代性教育研究ジャーナルの連載コラム One Side/No side6回目に到達しました。915日発行のNo78の後ろの方に控え目に載っています。妥当な扱いだと思います。及び腰ながらよく半年も続いたもんだ・・・などと書いたら読んでもらえなくなりそうですが、日本性教育協会のウェッブサイトでPDF版がダウンロードできるので、ぜひお読みください(どうも言っていることが矛盾しているね)。筆者としては微妙な心理があるんだって。

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www.jase.faje.or.jp

 

 今回はタイトルにもある通り、7月に行われた『性的マイノリティとト イレフォーラム~安心快適のトイレ環境を目指して ~』に出席した際の感想を中心にした報告です。

 『解決策として、車いす対応トイレの名称を「だれで もトイレ」と改め、性的マイノリティや赤ちゃんを連れたお父さん、お母さんでも使えるようにしている公共機関や企業もある。 だが、そのことが逆に新たな問題を生み出してもいるという。他の利用者が増えるので、車いすの利用者は結果として長く待たされる。逆にトランスジェンダーの人たちは、車いすの利用者を待たせることが心苦しく、利用をためらってしまう』

 疑問を感じることもなく「トイレは当たり前のように男女別でそこにある」と思っていたおじさん層の一員としては、身につまされること、反省すべきことの多いフォーラムでした。

『トイレを男女兼用にすれば問題は解決するという意見もあるが、女性からは「おじさんの入ったトイレを一緒に使うのはいや」という反発も出てくる。身から出た錆かもしれないが、おじさん当事者としてはやや切ない。「小便器がない家庭で育った若い層が増えているので、男子トイレの小便器はだんだんなくなっていくだろう」というトイレ研究者の指摘もあった』

問題の所在はどこにあるのか。ビジネスも含め、いろいろな人がいろいろな立場からトイレについて考えている。おじさんの逃げ口上のような言い方で恐縮ですが、そのことに大いなる可能性を見いだせるフォーラムでもありました。